物置小屋

１人向け・イベント系

夜空に浮かぶ涙(若干切なめにした...つもりです)

わあ、ベランダから見える星も綺麗だね。
ところで...どうして泣いてるの？
もしかして、出掛けられなかったから？ごめん、俺からもっと連絡すればよかったね。
...覚えてなかったんだよね？それなら、謝らなくていいんだよ。君は何も悪いことしてないから。
誰も、病気になりたくてなってる訳じゃない。
忘れたくて忘れてた訳じゃない。
それに、これはあくまで俺の持論だけど...君が忘れてたってことは、それだけ楽しみにしててくれたってことでしょ？
俺にはそれが、なんだか嬉しかったんだ。
不謹慎だって怒られるかもしれないけど、本当に喜んでくれていたんだなって、そう思ったよ。
自分のことを責めないで？
俺がずっと側にいるから。
側にいて、君が忘れちゃったことは全部補うから。
たとえ明日、今日の君のことを覚えていなくても...俺が全部覚えてるから。
一人で抱えて、明日に怯えなくてもいいんだよ。
...お願い。泣いてていいから、今はこうやって抱きしめさせて？

少し落ち着いた？それならよかった。
ああ、そうだ。日記つけるんでしょ？大丈夫、君が書き終わるまで別の場所にいるから。
覗いたりしないよ。だから、ゆっくり書いてて。
飲み物を準備して、リビングで待ってるね。


さて、何にしようかな。
...ん？短冊？一体どこから飛んで...違う。
これ、彼女の字だ。
『一秒でもいいから、恋人との大切な想い出を長く頭に留めておけますように』
...いつ書いたんだろう、これ。もしかして、今日街に行って大きな笹に結んでこようって話をしてたから？
流星群並みの、流れ星...。
...どうしてこんな残酷なことするんだよ。
毎日泣いてる彼女を見ていられない。
それに...決して俺も全く平気な訳じゃない。
なんで大事な想い出を彼女から奪っていくの？
友だちも作らずに、毎日一人で平気ですって顔してるけど...本当は誰より寂しがり屋なんだよ。
俺からも頼むから...お願いだから、もうこれ以上彼女から明るい未来を奪わないでよ。
楽しそうな笑顔を、奪っていかないでよ...。
...駄目だ、気持ちを切り換えないと。
こんなに湿っぽかったら心配をかけてしまう。
彼女に隠しとおせるといいんだけど...。

書き終わった？お疲れ様。
君が好きなブレンドのアイスティー、淹れておいたよ。
これからどんどん暑くなっていくと思うと、少しだけ嫌になっちゃうね。
そういえば、さっき流星群みたいな量の星が流れてたの、見た？ね、すごかったよね。
あんなの初めて見た...。何かお願いした？秘密？それなら深くは聞かない。
その代わり、俺も教えない。
ええ、狡くないよ...。ほら、早く飲まないと君の分も飲んじゃうよ。
うそうそ、そんなに焦らなくても飲まないよ。
...ねえ、大好きだよ。
特に理由はないけど、言いたくなっただけ。
これから先、たとえどんなことが待ち受けていようと...俺は君を愛し続けるから。
これからもずっと一緒にいようね。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
ごめんなさい、誰かよく書くタイプの人で七夕の話を綴ろうと思っていたのですが、結局暗めになってしまいました...。
因みに短冊の内容は私がしたことがある願いです。
私の場合は『全般、大切な記憶が少しでも長く持ちますように』でしたが...あの頃より短くなってしまいました。
受け入れて側にいてくれる人がいたらどうなるか、やっぱりこれも理想の欠片なのです。