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1人向け・other
たとえ明日、君からいなくなったとしても。(分類不能・記憶障害の恋人)
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どこか、行きたいところあるか?
今度の休みの予定、まだ全然決めてなかっただろ。
...ちょっと待って。もしかして、覚えてない?
大丈夫、ちゃんと説明するから。
俺は明後日まで休みなんだけど、君は明日朝から知り合いと出会う約束をしてて...。
夕方には戻ってこられそうだから、それからちょっとだけ遠出して、その場所の近くに色んな場所があるからまわってみようって話をしてたんだ。
...思い出せないのは、君のせいじゃない。
それに、すぐ忘れちゃったってことは君がそれだけ楽しみに思ってくれたってことでしょ?
だから、そんなふうに俯く必要ないんだよ。
君が忘れても、俺がずっと覚えてる。
不安になったらなんでも聞いて。知っていることならなんだって話すから。
君が書いてるそれの方が正確だろうけど、俺がちゃんと言葉で伝えたいんだ。
今のことを書いておきたいからちょっと待ってって?勿論いいよ。
時間かかってもいいから、ゆっくり書いてて。
俺は今からご飯作ってくる!
書き終わったらできるまで待ってて。
本当に楽しそうに書いてるな...。
...駄目だ、やっぱりちょっと辛い。忘れて傷ついたような顔をしてるあの子を見るのも、俺との時間が忘れられてることも。
もうちょっとでいいから彼女の頭のなかに留めてよ、神様。
あんなに辛そうにしているのをこれから先ずっと見続けて、ただ側にいることしかできないなんて...。
もっと何かできるといいのに。
俺は、覚えてることしかできないのかな...。
お待たせ!書き終わった?それじゃあ筆記用具片づけて...いただきます。
ほら、早く食べないと冷めちゃうよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
記憶がなくなるというのは、やっぱりなれません。
私のは後天的なもので、七歳の一月から...原因不明、治療法なし。
全てを忘れるわけではありませんが、楽しいとか嬉しいとか、そういった感情が伴うと分からなくなります。
はじめは二ヶ月持っていたのが、今では長くて三日、短いと一時間持ちません。
三ヶ月ほど会わないと相手の顔さえ出てこなくなります。
ただ、忘れられる側の辛さも分かります。
私は祖父がまだ生きていた頃、ヘルパーさんだと認識されていました。
「やっぱり家が一番いい」...最期にほっとした様子で言っていたそんな言葉を、私は今でもよく覚えています。
忘れる私は人の側にいてもいいのか。
そもそも、側にいてくれる人はいるのか。
日記をつけながら毎日考えます。
今度の休みの予定、まだ全然決めてなかっただろ。
...ちょっと待って。もしかして、覚えてない?
大丈夫、ちゃんと説明するから。
俺は明後日まで休みなんだけど、君は明日朝から知り合いと出会う約束をしてて...。
夕方には戻ってこられそうだから、それからちょっとだけ遠出して、その場所の近くに色んな場所があるからまわってみようって話をしてたんだ。
...思い出せないのは、君のせいじゃない。
それに、すぐ忘れちゃったってことは君がそれだけ楽しみに思ってくれたってことでしょ?
だから、そんなふうに俯く必要ないんだよ。
君が忘れても、俺がずっと覚えてる。
不安になったらなんでも聞いて。知っていることならなんだって話すから。
君が書いてるそれの方が正確だろうけど、俺がちゃんと言葉で伝えたいんだ。
今のことを書いておきたいからちょっと待ってって?勿論いいよ。
時間かかってもいいから、ゆっくり書いてて。
俺は今からご飯作ってくる!
書き終わったらできるまで待ってて。
本当に楽しそうに書いてるな...。
...駄目だ、やっぱりちょっと辛い。忘れて傷ついたような顔をしてるあの子を見るのも、俺との時間が忘れられてることも。
もうちょっとでいいから彼女の頭のなかに留めてよ、神様。
あんなに辛そうにしているのをこれから先ずっと見続けて、ただ側にいることしかできないなんて...。
もっと何かできるといいのに。
俺は、覚えてることしかできないのかな...。
お待たせ!書き終わった?それじゃあ筆記用具片づけて...いただきます。
ほら、早く食べないと冷めちゃうよ。
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記憶がなくなるというのは、やっぱりなれません。
私のは後天的なもので、七歳の一月から...原因不明、治療法なし。
全てを忘れるわけではありませんが、楽しいとか嬉しいとか、そういった感情が伴うと分からなくなります。
はじめは二ヶ月持っていたのが、今では長くて三日、短いと一時間持ちません。
三ヶ月ほど会わないと相手の顔さえ出てこなくなります。
ただ、忘れられる側の辛さも分かります。
私は祖父がまだ生きていた頃、ヘルパーさんだと認識されていました。
「やっぱり家が一番いい」...最期にほっとした様子で言っていたそんな言葉を、私は今でもよく覚えています。
忘れる私は人の側にいてもいいのか。
そもそも、側にいてくれる人はいるのか。
日記をつけながら毎日考えます。
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