物置小屋

黒蝶

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物語の欠片

『童話売りの魔女』第2話候補

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目の前には、小さな男の子。
「あなたは一体...」
男の子は寂しそうに笑っていた。
私は遠ざかっていく背中を追いかける。
「お願い、待って!」
袖を掴もうとしたとき、視界がぼやけてきて...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「...の」
何か声がしたような気がして、重い瞼をあげる。
「あの、大丈夫...?」
ぱっと目を開けると、見たことがない黒髪の少女がいた。
「ようやく、気づいた...」
「あの、ここは?」
「私の、家」
(いや、それは見ればなんとなく分かるんだけど...)
たしかバイト帰りだったはずなのに、どういう状況なのか全く呑みこめない。
「あなたは誰?」
「私は、童話の魔女」
『童話の魔女』。噂に聞いてないわけではなかったが、演技か何かだと思った。
「童話の魔女さんが、どうして...」
「クロエで、いい。あなたに、童話を見せたがっている人がいる。あなたは無理矢理物語に引きずりこまれただけ。それを、私が助けた」
(本物の魔女なんだ...)
言葉を聞いただけで、なんとなく本当なのではないかという気がした。
「しばらくは、童話にひきこまれやすいかもしれない。でも...」
「でも?」
クロエは真っ直ぐ私を見て、小さな声で一息に言った。
「ちゃんと、王子様を思い出して」
「王子、様...?」
私は何かを忘れているのかもしれない。
「今日はもう帰った方がいい」
「また来ていいの?」
「勿論。待ってる。私も...彼も」
その言葉の意味を、そのときの私は理解しきれていなかった。
帰り道、待ってると言ったクロエのことを思い出す。
(本当に吃驚するくらい不思議な体験だったな...)
魔女だということはさておき、仲良くしてみたいと思った。
私には、友人がいないに等しいからだろうか。
それとも...あの寂しそうな瞳が気になっているからだろうか。
(取り敢えず家に帰ろう)
月光が照らす道をただ歩く。
『彩葉』
どこかで、優しく名前を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
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半分ミステリーなのですが、この時点では謎がまだまだ多いと思います。
連載するかはさておき、もう少し書いてみようと思います。
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