物置小屋

１人向け・慰め系

たとえ、あなたの声が失われたままでも。(慰め系・不器用な恋人)

もしもし。
どうした？大丈夫...なわけ、ないよな。
ちょっと待ってて、すぐ行くから。


ただいま。
ちょっとは落ち着いた？
電話したとき、泣いてただろ。
気づかないとでも思ってた？
...俺はそこまで鈍くねえよ。
取り敢えずご飯作るから待ってろ、その様子じゃ何も食べてないんだろ。
分かった分かった、お前は泣いてない。
ただ、泣いてようがいまいがちゃんと夕食は食べてもらうからな。

この材料ならあいつが好きなオムライスとかか...？
卵が少ないから、ちょっと路線変更してガーリックライスにするか。

ほら、出来たぞ。
俺も一緒に食べるから、早くこっちこい。
スプーン持って...隙あり。
やっぱり泣いてたんじゃねえか。目が赤い。
そんなに謝らなくていい。けど、何があったかは話してもらうからな。
急かさないから、ゆっくりでいい。
取り敢えず食べるぞ。
...美味いか？ならいい。
ところで、どうして電話だったんだ？
電話じゃいけなかったとかじゃなくて、お前が言いたいこと分からないから...は？メールを送ろうとして間違えた？
相変わらず抜けてるとこあるな、お前。
けど、間違えてくれたお陰で泣いてることは分かった。
嫌なこと言われたのか？...だから買い物に行けなかったのか。
卵とか飲み物とか、少なくなったらいつも買ってきてるのに今日は違ったから。
世の中には、人を傷つけるつもりしかない奴も多い。
そいつはきっと、お前の耳がいいことに気づいていなかったんだろうな。
...けど、そんな奴等のこと考えるな。
今だけは俺が忘れさせてやるよ。


ほら、ちょっと横になれ。
いつも思うけど、お前の髪さらさらだな。
撫でられるのは嫌だったか？
...あ、そ。じゃあこのまましばらく撫でてやるよ。
涙を止める必要なんてない。
いっぱい泣いて、ストレス発散しろ。
私なんか、とか思うなよ。
手の動きでそれくらい分かる。
今書こうとしたのはそういう意味だろ？
分かりやすい奴。
...だから、そんなに焦って書く必要ない。
なんでって...お前の言葉が聞きたいから。
ゆっくり整理して伝えてくれればそれでいい。
『どうして私といてくれるの？』って...そんなの、好きだからに決まってるだろ。
俺はお前が好きで、一緒にいたいって思うから。
確かにお前の声も好きだったけど、俺はそのままのお前がいいんだ。
今目の前にいる、ちょっと抜けてて、無茶ばっかりして、けど誰より人に優しくできるお前がいい。
どんな姿になっても愛する自信あるし、必ず見つけてやる。
だから...私はダメなんだなんて思うな。
...っ、恥ずかしいこと言わせるな。
今日はもう休め、それでまた明日もお前の言葉と物語を聞かせろよ。
...ちゃんと読んでる。お前が書く話、俺のよりずっと読みやすくて好きだ。
って、余計なこと言ったな。
『いつも読んでるけど楽しくなる』、か...お前が楽しいならそれでいい。
『いつもお仕事ご苦労様』って、それはお互い様だろ。
次の物語も楽しみにしてる。
...ちょっと頭あげろ。
ほら、こうやって腕枕して手握っててやるから寝ろ。
一生側にいて、その寂しさを俺が祓ってやるから...おやすみ。
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理想の欠片です。
『声が出なくてもそのままの君がいい』なんて、多分現実では誰にも言われたことないので...。
妹に腕枕したことはあるけどされたことはないし...『ゆっくり書いていい』とも言われたことがありません。
「早く治せよ、じゃないとあんたと一緒にいるあたしらも変な目で見られるだろ」
実際血が繋がった人間に言われた言葉ですが...そんなこと言う人に一緒にいてほしいなんて思わないから安心してと独り思う、それが現実。