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冬真ルート
第66話
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「そうそう、そのまま真っ直ぐ」
「言われなくてもちゃんとやる」
ふたりは息ぴったりみたいで、声を聞いているだけで安心した。
「なんでそんなに俺たちを追いかけるんだ…」
「悪い子にはお仕置き。それが僕のポリシーだからだよ」
「事件を解決するため」
そんな話をしているふたりに向かって、何かが迫っている音がする。
少しだけ頭をあげると、大きな機械を運んでいる人たちが見えた。
恐らくふたりは気づいていない。
「ま、待ってください」
「その女、一体どこから、」
「向こうの道は、今通れないんです。つ、通行止めです」
この人たちが悪い人じゃないなら、そのまま帰ってくれるはずだ。
けれど、もしそうじゃなかったら…
「意味の悪いことを言ってないでどけ!」
「こ、来ないでください…!」
勢いよく鎌を振り上げると、相手はにたにたと笑った。
「そんなもので何ができる?」
「私の大切なものを、馬鹿にしないでください」
相手が持っていたものに向かって思いきり振り下ろすと、何かが割れる音がして粉々に砕けていた。
それを見て、相手ががたがたと震えはじめる。
「俺たちの秘密兵器を壊しただと…」
「なんなんだおまえは」
声をあげた直後、乾いた音が鳴り響いた。
赤い。私の肩が赤く染まっている。
「ひ、う…」
悲鳴をあげそうになったのを堪えて、鎌を片手で持ちなおす。
「寄るな、化け物!」
ごん、と音がして、今度は頭に痛みがはしった。
「帰って……」
そう話すのでせいいっぱいになっていると、目の前に誰かが現れる。
聞こえてきたそれはナイフの音だった。
「…俺たちのお姫様に手を出したのか。馬鹿だね…俺たちを追うくらいなら死なずにすんだかもしれないのに」
冬香さんが遠ざかっていって、足音がもうひとつ近づいてくる。
「月見」
「と、ま……」
「この場所じゃ弾を抜くのが厳しい」
「え……?」
私を優しく抱きしめる腕は、傷と反対側の肩にそっと当てられている。
「痛く、な、」
「そんなわけないでしょ」
腕に細い針みたいなものが当たってびっくりしていると、それがずぶずぶと肌に入ってきた。
「…怖い?」
ゆっくり頷くと、冬真はぽろぽろ零れた涙を拭ってくれた。
「少し寝てて。その間に片づけておくから」
その直後、だんだん体が重くなってきてそのまま目を閉じる。
「蕀姫、大丈夫そう?」
「処置を施せば間に合う。今は麻酔で寝てるから、早く運ばないと」
意味が分からない言葉を聞きながら、ゆっくり意識が落ちていく。
最後に聞こえたのは、僕のせいだという後悔の言葉だった。
「言われなくてもちゃんとやる」
ふたりは息ぴったりみたいで、声を聞いているだけで安心した。
「なんでそんなに俺たちを追いかけるんだ…」
「悪い子にはお仕置き。それが僕のポリシーだからだよ」
「事件を解決するため」
そんな話をしているふたりに向かって、何かが迫っている音がする。
少しだけ頭をあげると、大きな機械を運んでいる人たちが見えた。
恐らくふたりは気づいていない。
「ま、待ってください」
「その女、一体どこから、」
「向こうの道は、今通れないんです。つ、通行止めです」
この人たちが悪い人じゃないなら、そのまま帰ってくれるはずだ。
けれど、もしそうじゃなかったら…
「意味の悪いことを言ってないでどけ!」
「こ、来ないでください…!」
勢いよく鎌を振り上げると、相手はにたにたと笑った。
「そんなもので何ができる?」
「私の大切なものを、馬鹿にしないでください」
相手が持っていたものに向かって思いきり振り下ろすと、何かが割れる音がして粉々に砕けていた。
それを見て、相手ががたがたと震えはじめる。
「俺たちの秘密兵器を壊しただと…」
「なんなんだおまえは」
声をあげた直後、乾いた音が鳴り響いた。
赤い。私の肩が赤く染まっている。
「ひ、う…」
悲鳴をあげそうになったのを堪えて、鎌を片手で持ちなおす。
「寄るな、化け物!」
ごん、と音がして、今度は頭に痛みがはしった。
「帰って……」
そう話すのでせいいっぱいになっていると、目の前に誰かが現れる。
聞こえてきたそれはナイフの音だった。
「…俺たちのお姫様に手を出したのか。馬鹿だね…俺たちを追うくらいなら死なずにすんだかもしれないのに」
冬香さんが遠ざかっていって、足音がもうひとつ近づいてくる。
「月見」
「と、ま……」
「この場所じゃ弾を抜くのが厳しい」
「え……?」
私を優しく抱きしめる腕は、傷と反対側の肩にそっと当てられている。
「痛く、な、」
「そんなわけないでしょ」
腕に細い針みたいなものが当たってびっくりしていると、それがずぶずぶと肌に入ってきた。
「…怖い?」
ゆっくり頷くと、冬真はぽろぽろ零れた涙を拭ってくれた。
「少し寝てて。その間に片づけておくから」
その直後、だんだん体が重くなってきてそのまま目を閉じる。
「蕀姫、大丈夫そう?」
「処置を施せば間に合う。今は麻酔で寝てるから、早く運ばないと」
意味が分からない言葉を聞きながら、ゆっくり意識が落ちていく。
最後に聞こえたのは、僕のせいだという後悔の言葉だった。
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