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秋久ルート
第45.5話
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呼び出された先には冬真がいて、呆然と立ち尽くす背中に話しかける。
「何があった?」
「秋久さん…」
話によると、ホーソーンのアジトが何者かにより襲撃を受けたらしい。
春人と夏彦は救援の暗号を送ったカルナから事情を聞いているらしいが、どうもひっかかる。
「最初に現場を調べたのは冬真か?」
「うん。いつもなら夏彦がやるんだけど、今日は僕にやってほしいって春人さんに言われたんだ。
カルナと話をするなら呼んでくるけど…」
「悪い。頼んだ」
あまり冬真にばかり負担をかけるわけにはいかないが、恐らく春人は夏彦の様子がおかしいことに気づいている。
それならふたりを側において俺が捜査した方がいいだろう。
「まさか守護神自らお出ましとはね」
「状況はどうなってる?」
「会員が数人やられたわ。幸い死人は出なかったけど、アジトはあのとおり全焼…まさかあんな劇物まで扱えるとは思ってなかった」
「…ディアボロか」
「訳の分からないことを言っていたけど、一部が宗教の用語だったわ。うちの会員の中に宗教に詳しい子たちがいて、彼らが教えてくれたの。
…あんなふうに冒涜するなんてって悲しんでいたわ」
カルナは真っ暗な空を見上げ、夜に吸いこまれるような声で呟いた。
「ただ、怪我が酷い会員がひとりいるの。あなたのところのお医者さんに診せてもらえない?」
「今持ってる情報と交換なら頼んでみる」
「…ディアボロの教祖が近々この近くのバーで集会を開くらしいわ。
時間しか入手できてないけど、一応候補は渡しておくわ」
「助かる」
大量の場所が記されたメモ用紙を受け取り、それを冬真に渡す。
「リセッター、お願いするわ」
「あんまり呼ばれたくないんだけど…。患者はどこ?」
「向こうで安静にしているはずよ」
ふたりが話しながら遠ざかっていくのを見送りながら、なんとなく体が怠いのを感じる。
「秋久、僕たちはこれで失礼します」
「ああ。分かったことは後で共有データを作っておく」
あくまでいつもどおり振る舞うが、夏彦はいつもより元気がないし春人には疲労の色が滲み出ている。
ここで俺が動けなくなって迷惑をかけるわけにはいかない。
「…俺じゃ無理なのか」
誰もいない帰り道、十字のネックレスを空にかかげる。
あいつは器用で誰からも好かれる奴で…今頃生きていれば色々な話ができたかもしれない。
「教えてくれ、夏樹」
そんな言葉に答えが返ってくるはずもなく、ただ虚しく吸いこまれて消えていった。
「…ただいま」
テーブルの上に見覚えのない鍋があるのを発見し近づくと、そこには1枚のメモが置かれた。
《よろしければ食べてください》
そのぬくもりに視界が滲む。
心が弱っているときにこれは流石に響く。
「…思ったより弱っているのか、俺は」
「何があった?」
「秋久さん…」
話によると、ホーソーンのアジトが何者かにより襲撃を受けたらしい。
春人と夏彦は救援の暗号を送ったカルナから事情を聞いているらしいが、どうもひっかかる。
「最初に現場を調べたのは冬真か?」
「うん。いつもなら夏彦がやるんだけど、今日は僕にやってほしいって春人さんに言われたんだ。
カルナと話をするなら呼んでくるけど…」
「悪い。頼んだ」
あまり冬真にばかり負担をかけるわけにはいかないが、恐らく春人は夏彦の様子がおかしいことに気づいている。
それならふたりを側において俺が捜査した方がいいだろう。
「まさか守護神自らお出ましとはね」
「状況はどうなってる?」
「会員が数人やられたわ。幸い死人は出なかったけど、アジトはあのとおり全焼…まさかあんな劇物まで扱えるとは思ってなかった」
「…ディアボロか」
「訳の分からないことを言っていたけど、一部が宗教の用語だったわ。うちの会員の中に宗教に詳しい子たちがいて、彼らが教えてくれたの。
…あんなふうに冒涜するなんてって悲しんでいたわ」
カルナは真っ暗な空を見上げ、夜に吸いこまれるような声で呟いた。
「ただ、怪我が酷い会員がひとりいるの。あなたのところのお医者さんに診せてもらえない?」
「今持ってる情報と交換なら頼んでみる」
「…ディアボロの教祖が近々この近くのバーで集会を開くらしいわ。
時間しか入手できてないけど、一応候補は渡しておくわ」
「助かる」
大量の場所が記されたメモ用紙を受け取り、それを冬真に渡す。
「リセッター、お願いするわ」
「あんまり呼ばれたくないんだけど…。患者はどこ?」
「向こうで安静にしているはずよ」
ふたりが話しながら遠ざかっていくのを見送りながら、なんとなく体が怠いのを感じる。
「秋久、僕たちはこれで失礼します」
「ああ。分かったことは後で共有データを作っておく」
あくまでいつもどおり振る舞うが、夏彦はいつもより元気がないし春人には疲労の色が滲み出ている。
ここで俺が動けなくなって迷惑をかけるわけにはいかない。
「…俺じゃ無理なのか」
誰もいない帰り道、十字のネックレスを空にかかげる。
あいつは器用で誰からも好かれる奴で…今頃生きていれば色々な話ができたかもしれない。
「教えてくれ、夏樹」
そんな言葉に答えが返ってくるはずもなく、ただ虚しく吸いこまれて消えていった。
「…ただいま」
テーブルの上に見覚えのない鍋があるのを発見し近づくと、そこには1枚のメモが置かれた。
《よろしければ食べてください》
そのぬくもりに視界が滲む。
心が弱っているときにこれは流石に響く。
「…思ったより弱っているのか、俺は」
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