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秋久ルート
第29話
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「どんどん俺の事情に巻きこんでる気がする。悪い」
「私は、秋久さんとの生活が楽しいです」
「…そうか」
秋久さんに悲しい顔をしてほしくないし、私はここでの生活で自分がいてもいいんだと初めて思えた。
ありがとうなんて言葉をかけてもらえたのも、料理を美味しいと言って食べてもらえたのも…他にも沢山嬉しいことを知ることができたと思う。
「お嬢ちゃんは本当に楽しそうな顔をするようになったな」
「そう、かもしれません」
「どういう反応だ、それは…。まあ、楽しそうじゃなくて楽しいならそれでいいんだけどな」
頭を撫でてくれるのは癖なのか、それとも安心させてくれているのか…。
どのみち、私はそうされるのが嫌じゃない。
「私は、秋久さんの役に立てているでしょうか?」
「俺は別に役に立つ立たないで周りにいる奴を決めてるわけじゃない。
ただ、俺はいつもお嬢ちゃんに助けられてる」
その一言で安心したけれど、優しさで言ってくれているだけなら申し訳ない。
「…秋久さんはお世辞を言うような人じゃない。だから、そんなに不安がらなくていいんじゃない?」
「は、はい」
どうして冬真さんに考えていたことが分かってしまったんだろう。
顔に出ていたのだろうか。
頭がぐるぐるしていると、秋久さんが冬真さんを撫でた。
「おまえはもう少しいい方を気をつけような」
「秋久さんこそ、無自覚に人を撫でるのはやめて。あと、もうちょっと周りに頼ることを覚えたほうがいいと思う」
「…相変わらず鋭いな」
今の会話で、冬真さんの人の気持ちを察知する力がすごいことが分かった。
「あの、俺もいるんだけど…そろそろ会話に入ってもいい?」
「ああ、悪い。すっかり忘れていつもの調子で話してた」
その一言で、途中から報告があるからと夏彦さんがやってきていたことを思い出す。
「あんたはもうちょっと向こうにいて」
「分かったから、そこまで冷たい視線向けないでまー君」
「…態度次第」
ふたりは仲が悪いのかと思っていたけれど、そういうわけではなさそうだ。
飲み物を淹れて貸してもらっている部屋に戻ろうとした瞬間、何かが夏彦さんに飛びついた。
「え、何!?」
足の方から唸り声が聞こえて目線を下に向けると、甘栗が小さく震えながら声をあげていた。
「…甘栗、危ないですからこっちにきてください。心配しなくても、誰も秋久さんに意地悪しようとしてないですから…。
向こうで一緒にお話しましょう」
多分、甘栗からすれば夏彦さんが秋久さんを苛めているように見えたのだろう。
実際はそんなことないと分かっているから、なんとか説得することができた。
「ありがとう…月見ちゃん天才!」
「い、いえ。大したことはしていないので…失礼します」
甘栗を抱きかかえて、そのまま奥の部屋へ小走りで入る。
変な態度をとっていないか不安になったけれど、甘栗も怪我をしていないみたいで安心した。
「私は、秋久さんとの生活が楽しいです」
「…そうか」
秋久さんに悲しい顔をしてほしくないし、私はここでの生活で自分がいてもいいんだと初めて思えた。
ありがとうなんて言葉をかけてもらえたのも、料理を美味しいと言って食べてもらえたのも…他にも沢山嬉しいことを知ることができたと思う。
「お嬢ちゃんは本当に楽しそうな顔をするようになったな」
「そう、かもしれません」
「どういう反応だ、それは…。まあ、楽しそうじゃなくて楽しいならそれでいいんだけどな」
頭を撫でてくれるのは癖なのか、それとも安心させてくれているのか…。
どのみち、私はそうされるのが嫌じゃない。
「私は、秋久さんの役に立てているでしょうか?」
「俺は別に役に立つ立たないで周りにいる奴を決めてるわけじゃない。
ただ、俺はいつもお嬢ちゃんに助けられてる」
その一言で安心したけれど、優しさで言ってくれているだけなら申し訳ない。
「…秋久さんはお世辞を言うような人じゃない。だから、そんなに不安がらなくていいんじゃない?」
「は、はい」
どうして冬真さんに考えていたことが分かってしまったんだろう。
顔に出ていたのだろうか。
頭がぐるぐるしていると、秋久さんが冬真さんを撫でた。
「おまえはもう少しいい方を気をつけような」
「秋久さんこそ、無自覚に人を撫でるのはやめて。あと、もうちょっと周りに頼ることを覚えたほうがいいと思う」
「…相変わらず鋭いな」
今の会話で、冬真さんの人の気持ちを察知する力がすごいことが分かった。
「あの、俺もいるんだけど…そろそろ会話に入ってもいい?」
「ああ、悪い。すっかり忘れていつもの調子で話してた」
その一言で、途中から報告があるからと夏彦さんがやってきていたことを思い出す。
「あんたはもうちょっと向こうにいて」
「分かったから、そこまで冷たい視線向けないでまー君」
「…態度次第」
ふたりは仲が悪いのかと思っていたけれど、そういうわけではなさそうだ。
飲み物を淹れて貸してもらっている部屋に戻ろうとした瞬間、何かが夏彦さんに飛びついた。
「え、何!?」
足の方から唸り声が聞こえて目線を下に向けると、甘栗が小さく震えながら声をあげていた。
「…甘栗、危ないですからこっちにきてください。心配しなくても、誰も秋久さんに意地悪しようとしてないですから…。
向こうで一緒にお話しましょう」
多分、甘栗からすれば夏彦さんが秋久さんを苛めているように見えたのだろう。
実際はそんなことないと分かっているから、なんとか説得することができた。
「ありがとう…月見ちゃん天才!」
「い、いえ。大したことはしていないので…失礼します」
甘栗を抱きかかえて、そのまま奥の部屋へ小走りで入る。
変な態度をとっていないか不安になったけれど、甘栗も怪我をしていないみたいで安心した。
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