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冬真ルート
第20話
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翌日、冬真さんは大学に行くと話して家を出た。
秋久さんが来てくれたけれど、何をしていてもぼんやり考えこんでしまう。
「お嬢ちゃん、大丈夫か?」
「あ、はい。ごめんなさい」
「俺に謝る必要はないが、何かあったなら相談に乗るくらいはできる。気になることでもあるのか?」
この人になら、話してしまってもいいだろうか。
「…不安なんです」
「不安?」
「冬真さんに、お弁当を作ってみたんです。だけど、上手くできたか自分では分からなくて…」
美味しいのか美味しくないのか、私の感覚はちゃんと合っているだろうか。
自分で作ったものなんて端の方や余ったときしか食べてこなかった。
そんな私が作ったもので、満足してもらえただろうか。
「あいつは言葉が足りないが、お嬢ちゃんが作ってくれたことにきっと感謝してる。それに、料理は気持ちが大事だってよく言うだろ?
お嬢ちゃんが食べてほしいって作ったものなら、あいつはきっと嬉しいと思ってる」
秋久さんの言葉に説得力を感じたけれど、それでもやっぱり不安になって俯いてしまう。
「お嬢ちゃん、顔が青いがもしかして具合が悪いのか?」
「いえ、大丈夫です」
「…そうか。少し待ってろ」
秋久さんは小さな機械を取り出して、何か作業をしはじめた。
よく分からないまま昼食をふたり分よそっていると、私に向かって笑いかけてくれる。
「あとは帰ってくるのを待つだけだ。それより、腕の包帯を巻きなおした方がよくないか?」
「そう、ですね。ご飯を食べてからやります」
「困ったら俺がやるからすぐ言ってくれ。いただきます。…うん、美味いな」
「ありがとうございます」
喜んでもらえるのは嬉しいけれど、私が1番喜んでほしいのは冬真さんなのかもしれない、
勿論、色々な人たちに喜んでもらえることにはとても感謝しているけれど…何かが違うように感じる。
「…お嬢ちゃん、字は読めるか?」
「はい。大丈夫です」
「これ、冬真から送られてきたんだ」
「え?」
《お弁当を作ってもらうなんて経験なかったから、いまいちどんな反応をしたらいいか分からない。でも、自分で作ったものよりずっと美味しい気がする。
直接言葉にするのは難しいけど、彼女の体に負担がかかってないか心配になる》
「さっき、お嬢ちゃんのお弁当の味はどうかって送ってみたんだ。…やっぱり美味しいって、冬真も思ってるみたいだ」
「よかったです。迷惑になっているんじゃないかと思っていたので…」
「迷惑なら、はじめから持っていったりしない。それに、あいつは人が考えていることをよく読み取る奴だから…」
そこまで秋久さんが話したところで、玄関の扉が開く音がした。
「早く帰ってきて、お嬢ちゃんと直接話をしたがるはずだ」
秋久さんが来てくれたけれど、何をしていてもぼんやり考えこんでしまう。
「お嬢ちゃん、大丈夫か?」
「あ、はい。ごめんなさい」
「俺に謝る必要はないが、何かあったなら相談に乗るくらいはできる。気になることでもあるのか?」
この人になら、話してしまってもいいだろうか。
「…不安なんです」
「不安?」
「冬真さんに、お弁当を作ってみたんです。だけど、上手くできたか自分では分からなくて…」
美味しいのか美味しくないのか、私の感覚はちゃんと合っているだろうか。
自分で作ったものなんて端の方や余ったときしか食べてこなかった。
そんな私が作ったもので、満足してもらえただろうか。
「あいつは言葉が足りないが、お嬢ちゃんが作ってくれたことにきっと感謝してる。それに、料理は気持ちが大事だってよく言うだろ?
お嬢ちゃんが食べてほしいって作ったものなら、あいつはきっと嬉しいと思ってる」
秋久さんの言葉に説得力を感じたけれど、それでもやっぱり不安になって俯いてしまう。
「お嬢ちゃん、顔が青いがもしかして具合が悪いのか?」
「いえ、大丈夫です」
「…そうか。少し待ってろ」
秋久さんは小さな機械を取り出して、何か作業をしはじめた。
よく分からないまま昼食をふたり分よそっていると、私に向かって笑いかけてくれる。
「あとは帰ってくるのを待つだけだ。それより、腕の包帯を巻きなおした方がよくないか?」
「そう、ですね。ご飯を食べてからやります」
「困ったら俺がやるからすぐ言ってくれ。いただきます。…うん、美味いな」
「ありがとうございます」
喜んでもらえるのは嬉しいけれど、私が1番喜んでほしいのは冬真さんなのかもしれない、
勿論、色々な人たちに喜んでもらえることにはとても感謝しているけれど…何かが違うように感じる。
「…お嬢ちゃん、字は読めるか?」
「はい。大丈夫です」
「これ、冬真から送られてきたんだ」
「え?」
《お弁当を作ってもらうなんて経験なかったから、いまいちどんな反応をしたらいいか分からない。でも、自分で作ったものよりずっと美味しい気がする。
直接言葉にするのは難しいけど、彼女の体に負担がかかってないか心配になる》
「さっき、お嬢ちゃんのお弁当の味はどうかって送ってみたんだ。…やっぱり美味しいって、冬真も思ってるみたいだ」
「よかったです。迷惑になっているんじゃないかと思っていたので…」
「迷惑なら、はじめから持っていったりしない。それに、あいつは人が考えていることをよく読み取る奴だから…」
そこまで秋久さんが話したところで、玄関の扉が開く音がした。
「早く帰ってきて、お嬢ちゃんと直接話をしたがるはずだ」
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