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秋久ルート
第19話
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秋久さんの言葉に、柿田さんも渋沢さんも目をきらきらさせている。
「え、お姫様が作ったんですか!?」
「お姫様というより、もう天使…」
「ふたりとも、取り敢えず先に食べようか」
「あ、はい」
「いただきます!」
このふたりにとって、私が作ったものはどう感じるんだろう。
「なんだこれ、すごく美味しい…!」
「疲れている頭に沁みる…」
不安に思っていたけれど、ふたりの反応を見る限り嫌がられているわけではなさそうだ。
「お嬢ちゃんの料理、ふたりとも美味いってよ。本当に助かった。ありがとな」
「私はただ、できることをやつただけなので…」
「外に出られない地獄の忙しさのなか、これは助かります!」
「最近まともに食べてなかったので、本当にありがたいです」
すごい勢いで完食してくれたうえにおかわりまでしてくれた。
どう表現したらいいかなんて分からないけれど、このふたりはいい人みたいだ。
私を怒鳴りつけずに、ご飯を食べてくれたから。
「ボス、いい人捕まえましたね」
「そういうのじゃない。ただ、彼女をひとりにすると危ないからな」
「やっぱりちょっと怪しい…」
「あんまり言うようなら、次はもやしのオンパレードにしてやる」
「す、すみませんでした」
そんな会話が続いた後、花菜が椅子から身を乗り出して話しはじめる。
「渋柿コンビ、報告書は?」
「これでいいと思います」
「花菜が納得するかは分からないけど、取り敢えずどうぞ」
「ええ…まあ、分かった。柿田、今さんづけしなかったから、後でまた私の料理味見してね」
柿田さんは顔を青くして秋久さんの方を見ている。
助けを求められた秋久さんは、苦笑いして花菜に何か話していた。
「…で、お嬢ちゃん。何か用事があったんだろう?」
「えっと、この本が読めなくて…」
「悪い、それはいつも持ち歩いてるものなんだ。お嬢ちゃんに渡すのはこっちだったな」
秋久さんは、周りの人たちをまとめる力があると思う。
他の人たちから信頼されているように見えるし、この人なら信じられると思う気持ちはなんとなく分かる気がする。
ただ、本のことはあまり触れてほしくないのかもしれない。
「お嬢ちゃん、どうした?」
「あ…ごめんなさい、なんでもないんです」
「何か困ったことがあればすぐに言ってくれ」
「ありがとうございます」
ありきたりなことしか言えない私は、またこんな反応をしてしまう。
本当はもっとちゃんと向き合いたいのに、迷惑をかけて俯いている。
「あの部屋にいていいんですか?他にお手伝いできることは…」
「今はないな。だが、もしかすると少し手伝ってもらうことになるかもしれない」
「私にできることなら…頑張ります」
「頼りにしてる」
秋久さんの大きな手は、いつも私を優しく撫でてくれる。
その手のぬくもりに、とても安心した。
「え、お姫様が作ったんですか!?」
「お姫様というより、もう天使…」
「ふたりとも、取り敢えず先に食べようか」
「あ、はい」
「いただきます!」
このふたりにとって、私が作ったものはどう感じるんだろう。
「なんだこれ、すごく美味しい…!」
「疲れている頭に沁みる…」
不安に思っていたけれど、ふたりの反応を見る限り嫌がられているわけではなさそうだ。
「お嬢ちゃんの料理、ふたりとも美味いってよ。本当に助かった。ありがとな」
「私はただ、できることをやつただけなので…」
「外に出られない地獄の忙しさのなか、これは助かります!」
「最近まともに食べてなかったので、本当にありがたいです」
すごい勢いで完食してくれたうえにおかわりまでしてくれた。
どう表現したらいいかなんて分からないけれど、このふたりはいい人みたいだ。
私を怒鳴りつけずに、ご飯を食べてくれたから。
「ボス、いい人捕まえましたね」
「そういうのじゃない。ただ、彼女をひとりにすると危ないからな」
「やっぱりちょっと怪しい…」
「あんまり言うようなら、次はもやしのオンパレードにしてやる」
「す、すみませんでした」
そんな会話が続いた後、花菜が椅子から身を乗り出して話しはじめる。
「渋柿コンビ、報告書は?」
「これでいいと思います」
「花菜が納得するかは分からないけど、取り敢えずどうぞ」
「ええ…まあ、分かった。柿田、今さんづけしなかったから、後でまた私の料理味見してね」
柿田さんは顔を青くして秋久さんの方を見ている。
助けを求められた秋久さんは、苦笑いして花菜に何か話していた。
「…で、お嬢ちゃん。何か用事があったんだろう?」
「えっと、この本が読めなくて…」
「悪い、それはいつも持ち歩いてるものなんだ。お嬢ちゃんに渡すのはこっちだったな」
秋久さんは、周りの人たちをまとめる力があると思う。
他の人たちから信頼されているように見えるし、この人なら信じられると思う気持ちはなんとなく分かる気がする。
ただ、本のことはあまり触れてほしくないのかもしれない。
「お嬢ちゃん、どうした?」
「あ…ごめんなさい、なんでもないんです」
「何か困ったことがあればすぐに言ってくれ」
「ありがとうございます」
ありきたりなことしか言えない私は、またこんな反応をしてしまう。
本当はもっとちゃんと向き合いたいのに、迷惑をかけて俯いている。
「あの部屋にいていいんですか?他にお手伝いできることは…」
「今はないな。だが、もしかすると少し手伝ってもらうことになるかもしれない」
「私にできることなら…頑張ります」
「頼りにしてる」
秋久さんの大きな手は、いつも私を優しく撫でてくれる。
その手のぬくもりに、とても安心した。
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