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春人ルート
第86話
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「成程、たしかにこれなら証拠になるだろうな」
冬真さんの家まで帰った後、ちょっとした質問に答えながら鞄の中身を確認してもらっていた。
その一言にほっとしつつ、さっきの人たちがどうなるのか気になって仕方がない。
「お手柄だな、お嬢ちゃん」
「えっと、ありがとうございます…」
そんなにすごいことをしたわけではない。
結局他の人たちの力を借りて、ぎりぎりのところで持ち出せる分しか運んでこられなかった。
「本当にごめんなさい。足手まといになってしまいました…」
「これだけの成果をあげたんだから、全然足手まといじゃない。ただ…無茶したね、春人さん」
「すみません。どうしても現場を見ておきたかったんです。他にも様々な設備を整えておきましたし…」
そう言って春人がポケットから取り出したのはガムだった。
ただ、よく見ると普通のガムとは少し違うような気がする。
「ねえ、それって噛み終わり?」
「いいえ。これはこれでいいんです。だって…残党1匹逃がすつもりはありませんから」
笑いながらガムをつまんだ春人の指先に、小さな部品がのっているのが見える。
「まさかそれ、発信器か?」
「流石ですね、リーダー」
「…成程、それを相手に踏ませればいいのか」
秋久さんは苦笑しながらにこやかに微笑む春人と視線をあわせる。
「因みに今回は逃亡者が3人いたので、彼らにくっつけておきました」
「そんなに逃してた?」
「あの建物、どうやら地下通路があるようです。地面から人が顔を出していましたから」
「その表現だとなんかすごいことになってるの気づいてる!?」
春人は彼なりにみんなの役にたてる方法を考えた、ということだろうか。
それにしても、そんな発想をしたことがなかった。
…やっぱり彼はすごい。
「もう少しで本当に決着がつく。難事件解決の為、みんなにももう少しだけ協力してほしい」
秋久さんの呼びかけに3人がそれぞれ反応する。
「僕にできることなんてあんまりないかもしれないけど、頑張ってみるよ」
「俺はもうちょっと情報集める。何か分かったらすぐ報告するね」
「僕はただ道具を作ることしかできませんが、役に立てるよう頑張ります」
「無理だけは絶対にするなよ」
他の人たちが解散した後、私はなんとなく眠れなくて軽い夜食を作らせてもらっていた。
許可をもらっておいてよかったと思いつつ、なんとか1品仕上がる。
「…無心卵焼き、できました」
「それ、俺も食べていい?」
後ろをふりかえると、そこには包帯を巻き直してもらったであろう春人がコップ片手に立っていた。
「ど、どうぞ。あんまり自信はないので、美味しくなかったら言ってください」
「君の料理がまずいはずがない」
黒柿色の髪がゆらゆらと揺れたかと思うと、春人がゆっくり一口食べた。
「どうでしょうか…?」
少し間が開いて、小さな声が耳に届いた。
「…やっぱり美味しい」
冬真さんの家まで帰った後、ちょっとした質問に答えながら鞄の中身を確認してもらっていた。
その一言にほっとしつつ、さっきの人たちがどうなるのか気になって仕方がない。
「お手柄だな、お嬢ちゃん」
「えっと、ありがとうございます…」
そんなにすごいことをしたわけではない。
結局他の人たちの力を借りて、ぎりぎりのところで持ち出せる分しか運んでこられなかった。
「本当にごめんなさい。足手まといになってしまいました…」
「これだけの成果をあげたんだから、全然足手まといじゃない。ただ…無茶したね、春人さん」
「すみません。どうしても現場を見ておきたかったんです。他にも様々な設備を整えておきましたし…」
そう言って春人がポケットから取り出したのはガムだった。
ただ、よく見ると普通のガムとは少し違うような気がする。
「ねえ、それって噛み終わり?」
「いいえ。これはこれでいいんです。だって…残党1匹逃がすつもりはありませんから」
笑いながらガムをつまんだ春人の指先に、小さな部品がのっているのが見える。
「まさかそれ、発信器か?」
「流石ですね、リーダー」
「…成程、それを相手に踏ませればいいのか」
秋久さんは苦笑しながらにこやかに微笑む春人と視線をあわせる。
「因みに今回は逃亡者が3人いたので、彼らにくっつけておきました」
「そんなに逃してた?」
「あの建物、どうやら地下通路があるようです。地面から人が顔を出していましたから」
「その表現だとなんかすごいことになってるの気づいてる!?」
春人は彼なりにみんなの役にたてる方法を考えた、ということだろうか。
それにしても、そんな発想をしたことがなかった。
…やっぱり彼はすごい。
「もう少しで本当に決着がつく。難事件解決の為、みんなにももう少しだけ協力してほしい」
秋久さんの呼びかけに3人がそれぞれ反応する。
「僕にできることなんてあんまりないかもしれないけど、頑張ってみるよ」
「俺はもうちょっと情報集める。何か分かったらすぐ報告するね」
「僕はただ道具を作ることしかできませんが、役に立てるよう頑張ります」
「無理だけは絶対にするなよ」
他の人たちが解散した後、私はなんとなく眠れなくて軽い夜食を作らせてもらっていた。
許可をもらっておいてよかったと思いつつ、なんとか1品仕上がる。
「…無心卵焼き、できました」
「それ、俺も食べていい?」
後ろをふりかえると、そこには包帯を巻き直してもらったであろう春人がコップ片手に立っていた。
「ど、どうぞ。あんまり自信はないので、美味しくなかったら言ってください」
「君の料理がまずいはずがない」
黒柿色の髪がゆらゆらと揺れたかと思うと、春人がゆっくり一口食べた。
「どうでしょうか…?」
少し間が開いて、小さな声が耳に届いた。
「…やっぱり美味しい」
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