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夏彦ルート
第34話
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「いくら相手が犯罪者とはいえ、それ以上は見過ごせない。…やめて」
「それは無理。だって俺、すごく怒ってるから」
夏彦はまた相手の体を吹き飛ばす。
もしも暴力をふるわれすぎたら大変なことになる。
もしも相手が動かなくなったら、彼の人生は滅茶苦茶になってしまう。
すると、足元でソルトが動いたときとは別の音がした。
どうやら近くまで蔦を引き寄せることができたらしい。
それをなんとか拾って、血まみれの手で握りしめる。
「──お願い、あの人たちの動きを止めて」
そう念じることしかできないけれど、襲撃犯たちの動きを止められれば夏彦が誰かを傷つけなくてよくなるかもしれない。
すると、蕀さんたちが少しずつ伸びていって相手の足に絡まっていく。
「なんだこれ、切れない…!」
「そこまで。あなたたちを逮捕します」
隙間から見えるのはそこまでが限界だけど、聞こえてくる音からして多分捕まえられたのだろう。
少し時間が経ってからロッカーの扉が開かれる。
「月見ちゃん、やっぱりここにいたんだ…。怪我してない?」
「だ、大丈夫です」
「…手、大丈夫じゃないでしょ?」
さっきまで痛みなんて感じている余裕がなかったからか、今はいつも以上にずきずきしているような気がする。
「ごめんなさい…」
「俺の方こそ、上手く追い出せなくて怖がらせちゃってごめんね。
花菜を呼んでくれたのも月見ちゃんなんでしょ?本当にありがとう」
「いえ、私は何も…」
何もできなかった。
もっと役にたちたいのに、寧ろ迷惑だったかもしれない。
「取り敢えず手当てするから、こっちに来てくれる?」
「…はい」
「ソルトももう出てきていいよ」
ソルトはにゃあ、とひと鳴きして歩き出す。
やはりロッカーにずっといるのは狭いし苦しかっただろう。
「あ、あの…」
「どうかしたの?」
「夏彦は、」
「あ、いた!」
扉が勢いよく開けられたと思うと、花菜がこちらに駆け寄ってくる。
「無事でよかった…。月見はいないしなっちゃんは本気で怒るしで、流石に焦ったよ」
「ごめん、今ちょっと忙しいから後にして。月見ちゃんはずっとロッカーに隠れててくれたんだけど、怪我してるから」
「ごめん!また後でね」
花菜は急ぎ足で部屋を出てしまった。
普段の夏彦ならもっと優しく言い聞かせるように話しそうな気がするけれど、やっぱり怒っているのだろうか。
「ごめん。実はあの侵入者たちの目的はなんとなく分かってるんだ。
狙いは俺だろうし、すぐ帰ってくれるとありがたかったんだけど…」
「どういう、ことですか?」
「事情はまた今度ゆっくり話すよ。その前に傷口を洗わないとね」
夏彦はそう言っていつもどおり処置してくれる。
なんだかいつもより心が痛んだような気がした。
「それは無理。だって俺、すごく怒ってるから」
夏彦はまた相手の体を吹き飛ばす。
もしも暴力をふるわれすぎたら大変なことになる。
もしも相手が動かなくなったら、彼の人生は滅茶苦茶になってしまう。
すると、足元でソルトが動いたときとは別の音がした。
どうやら近くまで蔦を引き寄せることができたらしい。
それをなんとか拾って、血まみれの手で握りしめる。
「──お願い、あの人たちの動きを止めて」
そう念じることしかできないけれど、襲撃犯たちの動きを止められれば夏彦が誰かを傷つけなくてよくなるかもしれない。
すると、蕀さんたちが少しずつ伸びていって相手の足に絡まっていく。
「なんだこれ、切れない…!」
「そこまで。あなたたちを逮捕します」
隙間から見えるのはそこまでが限界だけど、聞こえてくる音からして多分捕まえられたのだろう。
少し時間が経ってからロッカーの扉が開かれる。
「月見ちゃん、やっぱりここにいたんだ…。怪我してない?」
「だ、大丈夫です」
「…手、大丈夫じゃないでしょ?」
さっきまで痛みなんて感じている余裕がなかったからか、今はいつも以上にずきずきしているような気がする。
「ごめんなさい…」
「俺の方こそ、上手く追い出せなくて怖がらせちゃってごめんね。
花菜を呼んでくれたのも月見ちゃんなんでしょ?本当にありがとう」
「いえ、私は何も…」
何もできなかった。
もっと役にたちたいのに、寧ろ迷惑だったかもしれない。
「取り敢えず手当てするから、こっちに来てくれる?」
「…はい」
「ソルトももう出てきていいよ」
ソルトはにゃあ、とひと鳴きして歩き出す。
やはりロッカーにずっといるのは狭いし苦しかっただろう。
「あ、あの…」
「どうかしたの?」
「夏彦は、」
「あ、いた!」
扉が勢いよく開けられたと思うと、花菜がこちらに駆け寄ってくる。
「無事でよかった…。月見はいないしなっちゃんは本気で怒るしで、流石に焦ったよ」
「ごめん、今ちょっと忙しいから後にして。月見ちゃんはずっとロッカーに隠れててくれたんだけど、怪我してるから」
「ごめん!また後でね」
花菜は急ぎ足で部屋を出てしまった。
普段の夏彦ならもっと優しく言い聞かせるように話しそうな気がするけれど、やっぱり怒っているのだろうか。
「ごめん。実はあの侵入者たちの目的はなんとなく分かってるんだ。
狙いは俺だろうし、すぐ帰ってくれるとありがたかったんだけど…」
「どういう、ことですか?」
「事情はまた今度ゆっくり話すよ。その前に傷口を洗わないとね」
夏彦はそう言っていつもどおり処置してくれる。
なんだかいつもより心が痛んだような気がした。
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