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春人ルート
第26話
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「…ラビ、チェリー。ここで見ててね」
鍋を焦がさないように気をつけながら、少しずつ砂糖を入れていく。
「熱…っ」
火が強かったからか、ひっくり返った鍋から出てきた液体で火傷してしまう。
「…もう少し、頑張らないと」
急いで片づけをして、それからまた鍋と向き合う。
今度は失敗しないように、少しずつ砂糖を足していった。
つまようじを使ったり、ヘラで集めて形を作ったり…。
こんなふうに飴を作ったことはなかったので、どうしても緊張してしまう。
「ただいま」
「お、おかえりなさい…」
なんとかできあがった飴を食べてほしかったのに、渡すタイミングを完全に見失ってしまった。
「何かにおいがするけど、こんな時間から朝食作り?」
「えっと、それではなくて…」
私の手元を見て何かに気づいたのか、春人はそっと手を握ってくれる。
「何か作ってたの?」
「あ、飴を作ったんです。…食べて、もらえませんか?」
「…夏彦か」
彼はそう呟きながらひと粒口に入れる。
初めて作ったので、ちゃんとできているのか分からない。
人によって好みの甘さが分かれるだろうし、甘すぎないかだんだん不安になってくる。
「甘い」
「え、あ、ごめ、」
「そうじゃなくて、甘くていいって意味。これを食べたら疲れが吹き飛びそうだ」
ほっと息を吐き出すと、ぐっと手首を握られる。
「ここ、痛いんじゃない?」
「……」
あまりの痛さに声が出ない。
さっきかかったときはそんなに痛くなかったのに、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
「それに、蕀を出したんじゃない?」
「ごめんなさい。少しだけ出しました…。でも、お部屋の外には出していません」
そう答えると、春人に盛大なため息を吐かれてしまう。
どうして彼はこんなにも怒っているんだろう…少し戸惑っていると、今度は手のひらをじっと見つめられる。
「料理をしてくれたり、家事を色々頑張ってくれるのはありがたい。
だけど、こういうのはやめてほしい。もっと自分のことを大切にしてほしいんだ」
「自分を、大切に…それって、どうすればできますか?」
やり方が分からない。
やったことがないものをいきなりやってほしいと言われても、どうすればいいのか困ってしまう。
「…君が傷つくってことは、周りの人が傷つく可能性があるってことだ。今は分からないかもしれないけど、そのうちできるようになる。
…だから、今の言葉を忘れないで」
「分かりました」
私が頷いたのを確認してから、春人は救急箱を持ってきて手当てしてくれた。
自分を大事にする方法が分からないのは、その必要がなかったからかもしれない。
……私に色々な言葉を浴びせて、愉しむ人ばかりだったから。
鍋を焦がさないように気をつけながら、少しずつ砂糖を入れていく。
「熱…っ」
火が強かったからか、ひっくり返った鍋から出てきた液体で火傷してしまう。
「…もう少し、頑張らないと」
急いで片づけをして、それからまた鍋と向き合う。
今度は失敗しないように、少しずつ砂糖を足していった。
つまようじを使ったり、ヘラで集めて形を作ったり…。
こんなふうに飴を作ったことはなかったので、どうしても緊張してしまう。
「ただいま」
「お、おかえりなさい…」
なんとかできあがった飴を食べてほしかったのに、渡すタイミングを完全に見失ってしまった。
「何かにおいがするけど、こんな時間から朝食作り?」
「えっと、それではなくて…」
私の手元を見て何かに気づいたのか、春人はそっと手を握ってくれる。
「何か作ってたの?」
「あ、飴を作ったんです。…食べて、もらえませんか?」
「…夏彦か」
彼はそう呟きながらひと粒口に入れる。
初めて作ったので、ちゃんとできているのか分からない。
人によって好みの甘さが分かれるだろうし、甘すぎないかだんだん不安になってくる。
「甘い」
「え、あ、ごめ、」
「そうじゃなくて、甘くていいって意味。これを食べたら疲れが吹き飛びそうだ」
ほっと息を吐き出すと、ぐっと手首を握られる。
「ここ、痛いんじゃない?」
「……」
あまりの痛さに声が出ない。
さっきかかったときはそんなに痛くなかったのに、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
「それに、蕀を出したんじゃない?」
「ごめんなさい。少しだけ出しました…。でも、お部屋の外には出していません」
そう答えると、春人に盛大なため息を吐かれてしまう。
どうして彼はこんなにも怒っているんだろう…少し戸惑っていると、今度は手のひらをじっと見つめられる。
「料理をしてくれたり、家事を色々頑張ってくれるのはありがたい。
だけど、こういうのはやめてほしい。もっと自分のことを大切にしてほしいんだ」
「自分を、大切に…それって、どうすればできますか?」
やり方が分からない。
やったことがないものをいきなりやってほしいと言われても、どうすればいいのか困ってしまう。
「…君が傷つくってことは、周りの人が傷つく可能性があるってことだ。今は分からないかもしれないけど、そのうちできるようになる。
…だから、今の言葉を忘れないで」
「分かりました」
私が頷いたのを確認してから、春人は救急箱を持ってきて手当てしてくれた。
自分を大事にする方法が分からないのは、その必要がなかったからかもしれない。
……私に色々な言葉を浴びせて、愉しむ人ばかりだったから。
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