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春人ルート
第24話
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「その…雪乃が言っていた【便利屋】という言葉の意味について知りたいです。
修理だけならどうして修理屋さんって言わないのか、すごく気になってしまって…。
それに、病院のような場所にいるときに聞いた【カルテット】って何ですか?」
春人は訊かないでほしいと思っているかもしれない。
それでも私は、どうしても知りたいと思った。
夜遅くに出掛けていく理由も、きっとそこに隠されているだろうから。
彼はしばらく黙っていたけれど、やがて重く閉ざされていた口を開く。
「……【便利屋】というのは、【カルテット】のなかでの呼び名というか、勝手にそう呼ばれてるだけ。
俺は色々な道具を作るのも仕事なんだ。詳しくは話せないけど、君の能力について教えてもらったから俺のことも少しだけ話す」
「ごめんなさ、」
「別に謝らなくていい。知らないから怖いで終わらずに知ろうとしてくれることは、俺からすれば嬉しいことだから」
そう言って春人はただ笑った。
ぎこちない感じでもなく、無理をして話しているわけでもなさそうだ。
「俺が【便利屋】って呼ばれているのは、【カルテット】で雑用や小道具作りをしているから。
犯罪者をおびき寄せて捕まえる為に必要なものを作っているからだよ」
「犯罪者を、捕まえる?」
「そう。俺の仕事はそういう仕事。それ以外に修理もしているけど、主な収入は犯人を捕まえたときに出る特別手当。
そんなに多い訳じゃないけど…人と話すのが上手くない俺でも、これで人の役に立てているならそれでいいって思ってる」
仕事に誇りをもっているのだと、話を聞いているだけで伝わってくる。
それに、きっと私が想像している以上の覚悟もしていて…春人という人をまた少し知ることができたような気がした。
「それじゃあ、雪乃とはお仕事で知り合ったんですか?」
「犯罪者を捕まえる手助けをする以外に、事情があって逃げなくちゃいけない人たちを逃がすのも仕事だから。
…仕事には守秘義務があるから細かい内容は話せないけど、彼女を追っ手から護る依頼を受けてる」
「そう、なんですね…。ありがとうございました。色々話してもらえて、よかったです」
「…怖くないの?」
彼が何故そんなことを訊いてくるのか分からない。
ただ、私の答えは決まっている。
「怖くなんかありません。私が怖いのは、人を平気で傷つけられる人です。
春人は優しいから…だから、全然怖くありません」
「…ありがとう、月見」
お礼を告げた彼の瞳からは翳りのようなものが少し消えているような気がして、見ているだけで安心した。
──過去のことも、いつかは教えてもらえるといいな。
修理だけならどうして修理屋さんって言わないのか、すごく気になってしまって…。
それに、病院のような場所にいるときに聞いた【カルテット】って何ですか?」
春人は訊かないでほしいと思っているかもしれない。
それでも私は、どうしても知りたいと思った。
夜遅くに出掛けていく理由も、きっとそこに隠されているだろうから。
彼はしばらく黙っていたけれど、やがて重く閉ざされていた口を開く。
「……【便利屋】というのは、【カルテット】のなかでの呼び名というか、勝手にそう呼ばれてるだけ。
俺は色々な道具を作るのも仕事なんだ。詳しくは話せないけど、君の能力について教えてもらったから俺のことも少しだけ話す」
「ごめんなさ、」
「別に謝らなくていい。知らないから怖いで終わらずに知ろうとしてくれることは、俺からすれば嬉しいことだから」
そう言って春人はただ笑った。
ぎこちない感じでもなく、無理をして話しているわけでもなさそうだ。
「俺が【便利屋】って呼ばれているのは、【カルテット】で雑用や小道具作りをしているから。
犯罪者をおびき寄せて捕まえる為に必要なものを作っているからだよ」
「犯罪者を、捕まえる?」
「そう。俺の仕事はそういう仕事。それ以外に修理もしているけど、主な収入は犯人を捕まえたときに出る特別手当。
そんなに多い訳じゃないけど…人と話すのが上手くない俺でも、これで人の役に立てているならそれでいいって思ってる」
仕事に誇りをもっているのだと、話を聞いているだけで伝わってくる。
それに、きっと私が想像している以上の覚悟もしていて…春人という人をまた少し知ることができたような気がした。
「それじゃあ、雪乃とはお仕事で知り合ったんですか?」
「犯罪者を捕まえる手助けをする以外に、事情があって逃げなくちゃいけない人たちを逃がすのも仕事だから。
…仕事には守秘義務があるから細かい内容は話せないけど、彼女を追っ手から護る依頼を受けてる」
「そう、なんですね…。ありがとうございました。色々話してもらえて、よかったです」
「…怖くないの?」
彼が何故そんなことを訊いてくるのか分からない。
ただ、私の答えは決まっている。
「怖くなんかありません。私が怖いのは、人を平気で傷つけられる人です。
春人は優しいから…だから、全然怖くありません」
「…ありがとう、月見」
お礼を告げた彼の瞳からは翳りのようなものが少し消えているような気がして、見ているだけで安心した。
──過去のことも、いつかは教えてもらえるといいな。
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