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夏彦ルート
第3話
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「今日はお客さんが来る予定はないから、取り敢えず店を案内しておくね」
「あ、あの…」
人とまともに会話したこともなければ、こういった場所でお買い物をしたことさえない。
それに、夏彦のお手伝いができるかどうかも自信がなかった。
「大丈夫!いきなり人前に立って接客しろだとか言うつもりは全くないし、それに…」
夏彦は私をじっと見つめると、明るく笑いかけてくれた。
「洋服、よければ俺に選ばせて」
「でも私、お金なんて持ってなくて…」
「そんなの気にしなくても大丈夫だよ。これから一緒に暮らすんだから、それくらいのことはやらせてほしいな」
「えっと、それじゃあお願いします…」
どんなものを選ぶのがいいのかも分からない。
…おしゃれなんてしたことがなかったから。
お店をきょろきょろと見回していると、夏彦はふっと笑って私の手をひいていく。
「あの、えっと、」
「大丈夫、とびきり美人に仕上げるから」
黄金の髪をかきあげながら、夏彦はまた微笑みかけてくれた。
どうしてこの人はいつも笑っているのだろう。
少し不思議に思うけれど、結局何も訊けなかった。
「ズボンとスカート、どっちが好き?」
「スカートはあまりはいたことがないから…ズボン?」
「それじゃあ、レースがいっぱいなのとただの無地ならどっちをよく着てた?」
「レース…?」
「よし、決めた!これとこれと…あとこれで大丈夫だと思う」
手渡された洋服を身に纏って鏡を見てみると、そこにはまるで自分ではないような姿が写し出されていた。
「どう、でしょうか?」
「やっぱり可愛いね」
「でも、その、えっと、」
「ブラウスとシューズは…いや、スカートをズボンに変えて、この上着を羽織ると似合うと思うよ」
私に分かりやすいように言い直してくれているのだと漸く理解した。
「ごめんなさ、」
「世界って広いから、知らないことだって沢山あっていいんだと思う。
一先ず着てみてもらっていいかな?」
「え、あ、うん」
急いで着替えてみると、また見たことがない別の自分がそこにいた。
「変、でしょうか…?」
夏彦はじっと見た後、親指をぐっとたててまた笑顔を浮かべていた。
「月見ちゃん美人さんだから、こういうかっこいい服も似合う!」
「あ、ありがとう、ございます」
「この調子で何着か選んじゃおう!」
「あの、このお洋服さえあれば充分ですので…」
「遠慮なんかしないで、着てみたいものを教えて。これから一緒にいる時間が長くなるんだから…ね?」
あまりに申し訳なくて俯いてしまいそうになるけど、なんとか前を向いていた。
口から何度かごめんなさいが飛び出してしまったものの、夏彦は優しく話しかけてくれる。
…私の能力を知っても、彼は変わらず笑顔を向けてくれるだろうか。
「あ、あの…」
人とまともに会話したこともなければ、こういった場所でお買い物をしたことさえない。
それに、夏彦のお手伝いができるかどうかも自信がなかった。
「大丈夫!いきなり人前に立って接客しろだとか言うつもりは全くないし、それに…」
夏彦は私をじっと見つめると、明るく笑いかけてくれた。
「洋服、よければ俺に選ばせて」
「でも私、お金なんて持ってなくて…」
「そんなの気にしなくても大丈夫だよ。これから一緒に暮らすんだから、それくらいのことはやらせてほしいな」
「えっと、それじゃあお願いします…」
どんなものを選ぶのがいいのかも分からない。
…おしゃれなんてしたことがなかったから。
お店をきょろきょろと見回していると、夏彦はふっと笑って私の手をひいていく。
「あの、えっと、」
「大丈夫、とびきり美人に仕上げるから」
黄金の髪をかきあげながら、夏彦はまた微笑みかけてくれた。
どうしてこの人はいつも笑っているのだろう。
少し不思議に思うけれど、結局何も訊けなかった。
「ズボンとスカート、どっちが好き?」
「スカートはあまりはいたことがないから…ズボン?」
「それじゃあ、レースがいっぱいなのとただの無地ならどっちをよく着てた?」
「レース…?」
「よし、決めた!これとこれと…あとこれで大丈夫だと思う」
手渡された洋服を身に纏って鏡を見てみると、そこにはまるで自分ではないような姿が写し出されていた。
「どう、でしょうか?」
「やっぱり可愛いね」
「でも、その、えっと、」
「ブラウスとシューズは…いや、スカートをズボンに変えて、この上着を羽織ると似合うと思うよ」
私に分かりやすいように言い直してくれているのだと漸く理解した。
「ごめんなさ、」
「世界って広いから、知らないことだって沢山あっていいんだと思う。
一先ず着てみてもらっていいかな?」
「え、あ、うん」
急いで着替えてみると、また見たことがない別の自分がそこにいた。
「変、でしょうか…?」
夏彦はじっと見た後、親指をぐっとたててまた笑顔を浮かべていた。
「月見ちゃん美人さんだから、こういうかっこいい服も似合う!」
「あ、ありがとう、ございます」
「この調子で何着か選んじゃおう!」
「あの、このお洋服さえあれば充分ですので…」
「遠慮なんかしないで、着てみたいものを教えて。これから一緒にいる時間が長くなるんだから…ね?」
あまりに申し訳なくて俯いてしまいそうになるけど、なんとか前を向いていた。
口から何度かごめんなさいが飛び出してしまったものの、夏彦は優しく話しかけてくれる。
…私の能力を知っても、彼は変わらず笑顔を向けてくれるだろうか。
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