150 / 156
クロス×ストーリー(通常運転のイベントもの多め)
バレンタインの予定は-優翔×大翔-
しおりを挟む
「兄貴、ちょっと相談があるんだけど...」
「どうしたの?」
何日かかけて教えてもらい漸く解き終わった数学の教材を片づけながら、然り気無く相談というワードを出してみる。
いつもそうだが、そういうときに兄貴は作業の手を止めて話を聞いてくれるのだ。
「あんまり人が来ないデートスポットを探してるんだけど、どこか知らない?」
「そうだな...実はここに遊園地のチケットなら2枚あるんだけど、行ってみるつもりはない?」
ひらひらと見せてくれたのは、なかなか手に入れることができないものだった。
「立地的に人がものすごく集まるわけではないだろうし、もし行くならこれをあげる」
「でもそれ、詩音さんと使う予定だったんじゃないのか?」
そう訊いてみると、兄貴は苦笑しながら答えてくれた。
「これは、大学の知り合いがくれたんだ。...チケットが余ったからあげるって。
でも、僕たちの過ごし方はもう決まっているからこのままだと勿体無いって思っていたところなんだよ」
「本当にいいのか...?」
「久遠さんと一緒に行っておいでよ」
兄貴は本気のようだった。
詩音さんにだってきっと色々な事情が複雑に絡みあっている。
このまま言い合ってしまうのはよくないと判断し、ありがたくもらうことにした。
「兄貴たちはここで過ごすのか?」
「そのつもりだよ。...もうバレンタインは終わっちゃったも同然だしね」
「どういうことだ?」
チョコレートをもらったという話と、それがものすごく美味しかったという話を聞かせてもらう。
「そっか、のろけるくらい楽しかったのか」
「違、そんなつもりじゃない...」
顔を真っ赤にする兄貴をからかうのは少し楽しい。
明るく接してくれるのはありがたいが、何かあったのかいつもと様子が違うように見える。
「...兄貴」
「バレンタインは、大翔がやりたいことをやって過ごすのが1番だと思うよ」
「ありがとな。それより、何か悩みごとか?」
「どうして急にそんなことを訊いてくるの?」
「元気がないから」
兄貴はいつも1人で抱えこんでしまう。
それでも俺の話を聞いてくれたり、問題を解決する為に動いてくれたり...ありがたいが心配だ。
「少し疲れているだけだから大丈夫だよ」
「...そっか」
こういうときは俺ではない誰かが絡んでいて、話していいか分からないときの反応だ。
結局、深く訊くことはできない。
「それじゃあ、チョコレートのリクエストは?」
「大翔が作ってくれるものなら何でも。大翔は何かないの?」
「そうだな、俺は...」
他愛のない会話をしていると、兄貴は少しだけ元気になったような気がする。
...気がするだけかもしれないが、今はそれでいい。
──この女子会のような会話が夜まで続いたことは、ふたりだけの秘密だ。
「どうしたの?」
何日かかけて教えてもらい漸く解き終わった数学の教材を片づけながら、然り気無く相談というワードを出してみる。
いつもそうだが、そういうときに兄貴は作業の手を止めて話を聞いてくれるのだ。
「あんまり人が来ないデートスポットを探してるんだけど、どこか知らない?」
「そうだな...実はここに遊園地のチケットなら2枚あるんだけど、行ってみるつもりはない?」
ひらひらと見せてくれたのは、なかなか手に入れることができないものだった。
「立地的に人がものすごく集まるわけではないだろうし、もし行くならこれをあげる」
「でもそれ、詩音さんと使う予定だったんじゃないのか?」
そう訊いてみると、兄貴は苦笑しながら答えてくれた。
「これは、大学の知り合いがくれたんだ。...チケットが余ったからあげるって。
でも、僕たちの過ごし方はもう決まっているからこのままだと勿体無いって思っていたところなんだよ」
「本当にいいのか...?」
「久遠さんと一緒に行っておいでよ」
兄貴は本気のようだった。
詩音さんにだってきっと色々な事情が複雑に絡みあっている。
このまま言い合ってしまうのはよくないと判断し、ありがたくもらうことにした。
「兄貴たちはここで過ごすのか?」
「そのつもりだよ。...もうバレンタインは終わっちゃったも同然だしね」
「どういうことだ?」
チョコレートをもらったという話と、それがものすごく美味しかったという話を聞かせてもらう。
「そっか、のろけるくらい楽しかったのか」
「違、そんなつもりじゃない...」
顔を真っ赤にする兄貴をからかうのは少し楽しい。
明るく接してくれるのはありがたいが、何かあったのかいつもと様子が違うように見える。
「...兄貴」
「バレンタインは、大翔がやりたいことをやって過ごすのが1番だと思うよ」
「ありがとな。それより、何か悩みごとか?」
「どうして急にそんなことを訊いてくるの?」
「元気がないから」
兄貴はいつも1人で抱えこんでしまう。
それでも俺の話を聞いてくれたり、問題を解決する為に動いてくれたり...ありがたいが心配だ。
「少し疲れているだけだから大丈夫だよ」
「...そっか」
こういうときは俺ではない誰かが絡んでいて、話していいか分からないときの反応だ。
結局、深く訊くことはできない。
「それじゃあ、チョコレートのリクエストは?」
「大翔が作ってくれるものなら何でも。大翔は何かないの?」
「そうだな、俺は...」
他愛のない会話をしていると、兄貴は少しだけ元気になったような気がする。
...気がするだけかもしれないが、今はそれでいい。
──この女子会のような会話が夜まで続いたことは、ふたりだけの秘密だ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】試される愛の果て
野村にれ
恋愛
一つの爵位の差も大きいとされるデュラート王国。
スノー・レリリス伯爵令嬢は、恵まれた家庭環境とは言えず、
8歳の頃から家族と離れて、祖父母と暮らしていた。
8年後、学園に入学しなくてはならず、生家に戻ることになった。
その後、思いがけない相手から婚約を申し込まれることになるが、
それは喜ぶべき縁談ではなかった。
断ることなったはずが、相手と関わることによって、
知りたくもない思惑が明らかになっていく。
夜を狩るもの 終末のディストピア seven grimoires
主道 学
ライト文芸
雪の街 ホワイト・シティのノブレス・オブリージュ美術館の一枚の絵画から一人の男が産まれた。
その男は昼間は大学生。夜は死神であった。何も知らない盲目的だった人生に、ある日。大切な恋人が現れた。そんな男に天使と名乗る男が現れ人類はもうすぐ滅びる運命にあると知る。
終末を阻止するためには、その日がくるまでに七つの大罪に関わるものを全て狩ること。
大切な恋人のため死神は罪人を狩る。
人類の終末を囁く街での物語。
注)グロ要素・ホラー要素が少しあります汗
産業革命後の空想世界での物語です。
表紙にはフリー素材をお借りしました。ありがとうございます。
主に かっこいいお兄さんメーカー様
街の女の子メーカー様
感謝感激ですm(__)m
夢見るディナータイム
あろまりん
ライト文芸
いらっしゃいませ。
ここは小さなレストラン。
きっと貴方をご満足させられる1品に出会えることでしょう。
『理想の場所』へようこそ!
******************
『第3回ライト文芸大賞』にて『読者賞』をいただきました!
皆様が読んでくれたおかげです!ありがとうございます😊
こちらの作品は、かつて二次創作として自サイトにてアップしていた作品を改稿したものとなります。
無断転載・複写はお断りいたします。
更新日は5日おきになります。
こちらは完結しておりますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
とりあえず、最終話は50皿目となります。
その後、SSを3話載せております。
楽しんで読んでいただければと思います😤
表紙はフリー素材よりいただいております。
恋もバイトも24時間営業?
鏡野ゆう
ライト文芸
とある事情で、今までとは違うコンビニでバイトを始めることになった、あや。
そのお店があるのは、ちょっと変わった人達がいる場所でした。
※小説家になろう、カクヨムでも公開中です※
※第3回ほっこり・じんわり大賞で奨励賞をいただきました。ありがとうございます。※
※第6回ライト文芸大賞で奨励賞をいただきました。ありがとうございます。※
救済
古明地 蓮
ライト文芸
本作には精神的苦痛を与える可能性のある描写があります。精神状態がよろしくない方は読まれないことを推奨いたします。
「夏休み明けから一緒に学校にいかない?」
高校一年生で不登校になり毎日ゲームをしていた晴飛
夏休み最終日に晴飛のもとに現れたのはかつての親友の桃花と美雪だった。
彼女らに誘われて高校に復学すると、予想以上に楽しい生活が待っていて...
晴飛が不登校になって原因はなんだったのか。それを克服することができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる