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クロス×ストーリー(通常運転のイベントもの多め)
みんなの年明け-久遠side-
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「お母さん、おやすみ」
「おやすみ。夜ふかししてもいいけど、あまり遅くまでは駄目よ」
「はい...」
...嘘だ。私はこれからかなり遅くまで起きていようとしている。
温かい飲み物の準備も完了して、そのままビデオ通話のボタンを押した。
『久遠、こんばんは』
『もうお母さんとはいいのか?』
はじめに聞こえてきたのは詩音からの挨拶で、そのすぐ後に大翔の声がした。
「こんばんは。お母さん、明日も午前中だけ仕事に行かないといけないから早く休んでほしかったんだ」
『そっか、じゃあもう寝ちゃったのか...』
『挨拶したかったの?』
『一応な』
兄弟の会話が微笑ましくて、頬が緩むのを抑えられない。
『なんでそんなに嬉しそうなんだ?』
『ふたりのやりとりが微笑ましいからなのでは...』
「詩音、正解!兄弟がいるっていう感覚が分からないから、見ているだけでも楽しくなっちゃって」
『私もはじめ戸惑ったから...すごく分かる』
みんなでわいわい話していると、あっという間にあと10分というところまできた。
『やばい、蕎麦が伸びる!』
『そういえばすっかり忘れてたね...』
「私はこの飲み物で終わりにするよ」
『私も紅茶だけ』
兄弟が慌てる姿はやっぱり微笑ましくて、ずっと見ていられるような気がした。
『久遠』
「どうかしたの?」
『遅くなったけど、その...来年もよろしくな』
「うん!」
『私もよろしくしてほしい』
『詩音、僕ともよろしくしてね』
『それは勿論...』
こんなに賑やかな年越しは初めてかもしれない。
大翔だけじゃなくて優翔さんや詩音もいて、みんな楽しそうで...勿論私自身も楽しくて仕方がなかった。
『久遠、嬉しそうだね』
「すごく楽しいなって...賑やかだなって思ったんだ」
『寂しそうにしなくても、来年もこうやってみんなでわいわい騒げばいいだろ』
「...うん」
そのとき、時計が午前0時を告げた。
「明けましておめでとうございます!」
『はい、おめでとうございます』
『今年もよろしくね』
ふたりがそう言ってくれた後、大翔が画面いっぱいに笑っているのが見えた。
『今年もいい年にしような』
「うん!」
そんな私たちを詩音や優翔さんがほんわかするようにじっと見つめている。
少し恥ずかしさを感じながら、こうしてみんなで過ごせたことが嬉しかった。
ようやく通信制高校という答えを見つけ出せた私は、これからも歩き続けていく。
『もう少し夜ふかしするか』
『賛成!』
『私、起きていられるかな...』
「大丈夫だよ、誰かは起きてるだろうから電話を切ることはできるはずだし...ね?」
遠慮がちな詩音を何とか引き留めて、4人での会話を楽しむ。
今日が楽しみになったとわくわくしながら、結局遅くまで話しこんだのだった。
「おやすみ。夜ふかししてもいいけど、あまり遅くまでは駄目よ」
「はい...」
...嘘だ。私はこれからかなり遅くまで起きていようとしている。
温かい飲み物の準備も完了して、そのままビデオ通話のボタンを押した。
『久遠、こんばんは』
『もうお母さんとはいいのか?』
はじめに聞こえてきたのは詩音からの挨拶で、そのすぐ後に大翔の声がした。
「こんばんは。お母さん、明日も午前中だけ仕事に行かないといけないから早く休んでほしかったんだ」
『そっか、じゃあもう寝ちゃったのか...』
『挨拶したかったの?』
『一応な』
兄弟の会話が微笑ましくて、頬が緩むのを抑えられない。
『なんでそんなに嬉しそうなんだ?』
『ふたりのやりとりが微笑ましいからなのでは...』
「詩音、正解!兄弟がいるっていう感覚が分からないから、見ているだけでも楽しくなっちゃって」
『私もはじめ戸惑ったから...すごく分かる』
みんなでわいわい話していると、あっという間にあと10分というところまできた。
『やばい、蕎麦が伸びる!』
『そういえばすっかり忘れてたね...』
「私はこの飲み物で終わりにするよ」
『私も紅茶だけ』
兄弟が慌てる姿はやっぱり微笑ましくて、ずっと見ていられるような気がした。
『久遠』
「どうかしたの?」
『遅くなったけど、その...来年もよろしくな』
「うん!」
『私もよろしくしてほしい』
『詩音、僕ともよろしくしてね』
『それは勿論...』
こんなに賑やかな年越しは初めてかもしれない。
大翔だけじゃなくて優翔さんや詩音もいて、みんな楽しそうで...勿論私自身も楽しくて仕方がなかった。
『久遠、嬉しそうだね』
「すごく楽しいなって...賑やかだなって思ったんだ」
『寂しそうにしなくても、来年もこうやってみんなでわいわい騒げばいいだろ』
「...うん」
そのとき、時計が午前0時を告げた。
「明けましておめでとうございます!」
『はい、おめでとうございます』
『今年もよろしくね』
ふたりがそう言ってくれた後、大翔が画面いっぱいに笑っているのが見えた。
『今年もいい年にしような』
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『賛成!』
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「大丈夫だよ、誰かは起きてるだろうから電話を切ることはできるはずだし...ね?」
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今日が楽しみになったとわくわくしながら、結局遅くまで話しこんだのだった。
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