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Until the day when I get married.-Light of a new request-
番外編『The story spun with you』ーSelect2,Alpine flower zone-(後篇)
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「そんなこと、しません」
赤ずきんは高らかと宣言しました。
赤ずきんは狼を抱きしめ、涙を流しながら話しはじめました。
「私は、カムイがいないと笑えないんです」
ー**ー
俺がいないと、笑えない?
「私の世界は、ずっと真っ暗だったんです。でも、カムイが一緒にいてくれるから、今の私がいるんです。...おばあさまがいなくなってからずっと独りだった私に、人の温もりを教えてくれたのはカムイですから。だから...っ」
俺は手を伸ばしてメルの涙を拭った。
生きていく意味なんてないと思っていた。
迷惑をかける事しかできないと思っていた。
(メル...)
俺は、
メルの側にいたい!
メルの側でメルを幸せにしたい!
メルと幸せを創っていきたい!
様々な願いが浮かんできて、思いが溢れて止まらない。
俺は、俺は...メルと生きたい!
そう強く願った時、俺の体は輝きはじめて...
ー*ー
「やっぱりカムイだったんですね」
私は自信があったわけではない。
だが、何故かそうではないかと思った。
なんとなく、視た時に映るものがカムイに似ていたからというだけだった。
(それに、私の名前を知っていましたし...)
「メル、ごめん」
色々考えていると、カムイがぽつりぽつりと話しはじめた。
「俺は、メルの手を汚させようとした。今の俺は不死身みたいだから、もしかしたらメルなら俺を殺せるんじゃないかって...」
「...」
私は黙って話の続きを待った。
「誰かを傷つけるくらいなら、このままいなくなってしまえばいいと思った。...でも違った。遠くに行ってしまえば、こうしてメルを抱きしめることもできない。メルのことは俺が護るって約束したのに...忘れるところだった」
「カムイ...」
ー**ー
そうだ、護ると約束したんだ。
メルの目に溜まった涙をそっと拭う。
「カムイ...もう命を投げ出すようなことはしないでくださいね?」
「うん、約束」
指切りして、俺は完全に元通りになった片腕でメルを抱きよせる。
「カムイ...」
「もう哀しい涙はこれで終わりにするから」
そっと口づけた途端、周りが光りだし...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あんたたち、大丈夫かい?」
(ここは...元の場所に戻れたのか)
「俺は平気です」
「私も大丈夫です」
上手く庇えていたようで、メルには傷一つなかった。
「カムイ...ごめんなさい!」
「?」
腹部に鈍痛がはしる。
どうやら傷口が開きかけているようだ。
「いつも守られてばかりで...」
「ううん。さっきは護ってもらったでしょ?...ありがとう」
メルは嬉しそうに笑っていた。
俺は応急処置をして、その場をあとにした。
「...」
二人で手を繋いで帰る。
この素朴な幸せを、俺はずっと護っていこう。
自分自身に改めて誓いながら、メルと手を繋いで夕陽に向かって伸びる影を見つめていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読者様方、こんにちは。
ようやく終了です。
こちらの選択肢はカムイの心の闇をテーマに書きました。
結構難しかったです。
あと二話程で本篇は終わる予定です。
リクエスト等ありましたら教えてください。
赤ずきんは高らかと宣言しました。
赤ずきんは狼を抱きしめ、涙を流しながら話しはじめました。
「私は、カムイがいないと笑えないんです」
ー**ー
俺がいないと、笑えない?
「私の世界は、ずっと真っ暗だったんです。でも、カムイが一緒にいてくれるから、今の私がいるんです。...おばあさまがいなくなってからずっと独りだった私に、人の温もりを教えてくれたのはカムイですから。だから...っ」
俺は手を伸ばしてメルの涙を拭った。
生きていく意味なんてないと思っていた。
迷惑をかける事しかできないと思っていた。
(メル...)
俺は、
メルの側にいたい!
メルの側でメルを幸せにしたい!
メルと幸せを創っていきたい!
様々な願いが浮かんできて、思いが溢れて止まらない。
俺は、俺は...メルと生きたい!
そう強く願った時、俺の体は輝きはじめて...
ー*ー
「やっぱりカムイだったんですね」
私は自信があったわけではない。
だが、何故かそうではないかと思った。
なんとなく、視た時に映るものがカムイに似ていたからというだけだった。
(それに、私の名前を知っていましたし...)
「メル、ごめん」
色々考えていると、カムイがぽつりぽつりと話しはじめた。
「俺は、メルの手を汚させようとした。今の俺は不死身みたいだから、もしかしたらメルなら俺を殺せるんじゃないかって...」
「...」
私は黙って話の続きを待った。
「誰かを傷つけるくらいなら、このままいなくなってしまえばいいと思った。...でも違った。遠くに行ってしまえば、こうしてメルを抱きしめることもできない。メルのことは俺が護るって約束したのに...忘れるところだった」
「カムイ...」
ー**ー
そうだ、護ると約束したんだ。
メルの目に溜まった涙をそっと拭う。
「カムイ...もう命を投げ出すようなことはしないでくださいね?」
「うん、約束」
指切りして、俺は完全に元通りになった片腕でメルを抱きよせる。
「カムイ...」
「もう哀しい涙はこれで終わりにするから」
そっと口づけた途端、周りが光りだし...
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「あんたたち、大丈夫かい?」
(ここは...元の場所に戻れたのか)
「俺は平気です」
「私も大丈夫です」
上手く庇えていたようで、メルには傷一つなかった。
「カムイ...ごめんなさい!」
「?」
腹部に鈍痛がはしる。
どうやら傷口が開きかけているようだ。
「いつも守られてばかりで...」
「ううん。さっきは護ってもらったでしょ?...ありがとう」
メルは嬉しそうに笑っていた。
俺は応急処置をして、その場をあとにした。
「...」
二人で手を繋いで帰る。
この素朴な幸せを、俺はずっと護っていこう。
自分自身に改めて誓いながら、メルと手を繋いで夕陽に向かって伸びる影を見つめていた。
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読者様方、こんにちは。
ようやく終了です。
こちらの選択肢はカムイの心の闇をテーマに書きました。
結構難しかったです。
あと二話程で本篇は終わる予定です。
リクエスト等ありましたら教えてください。
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