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Other Story(記念ものが多いです。本篇ネタバレはできるだけ避けます)
Merry,Merry, Christmas!(準備篇)
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※この物語は二年目(第一章のクリスマスを一年目と計算する)のクリスマスストーリーです。
『アイリス』がやたら出てきたりしますがご了承ください。
できるだけモチーフにしている時代に沿って書きたいと思いますが、ちょっと微妙なものも登場すると思います。
不馴れで申し訳ありませんがご理解お願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー*ー
「メル、今年ももうすぐクリスマスだね」
「はい!」
「また飾りつけ、しようか」
「いいんですか?」
私は思わず大きな声を出してしまった。
本当に嬉しかったから。
「じゃあ、今年はエリックやアイリスも呼んでやろうか」
「はい!」
(アイリスさん、飾りとか分かるんでしょうか?それとも、私みたいに...)
「メル?」
「ごめんなさい、なんでもないんです!」
気がつくと、いつの間にか長い時間考えこんでしまっていたようだ。
「ごめんなさい。ご飯の仕度、私がやる予定だったのに...」
「気にしないで。お昼からはエリックたちがくるから、それまでに食べ終わらないとね」
「はい!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時計が二時をさす頃。
お決まりの回数のノックが響いた。
「エリックさん、アイリスさん、こんにちは」
「...お邪魔します」
「俺たちまで混ざっていいのか?」
「何言ってるの?当たり前でしょ」
アイリスさんが不思議そうにツリーを見ている。
「アイリスさんははじめてですか?」
「...これに何かするの?」
「はい!この飾りを端の方につけていって...」
私は沢山あるオーナメントのうちの一つを手にとる。
それをつけると、アイリスさんはもっと不思議そうにしていた。
「どうして飾りをつけるの?」
実は私も、その意味は全く分かっていない。
だから、私は私の答えを話すことにした。
「これは私が勝手に思っているのですが...大切な人の幸せを祈る為、でしょうか」
「...それなら、頑張って飾りつけないと」
「はい!」
「サンタクロースって、何?」
「それはですね...」
こうして話しながら、私とアイリスさんは手の届く場所にオーナメントを次々とつけていった。
(アイリスさん、楽しそうでよかったです)
ー**ー
「...で?何故お前は考え事をしている?」
「よく分かったね」
流石はエリックだと感心してしまう。
(隠しきれてないってことか)
俺はエリックをじっと見つめる。
エリックはため息をついたあと、俺に一息に告げた。
「メルがどうかしたのか」
「...最近、やたらナタリーと何かをしているんだ」
「...?仲がいいのはいいことなんじゃないのか?」
女心に一番鈍そうなエリックには、やはり分からないのかもしれない。
話したあと、俺は少しだけ後悔した。
「時々、俺が寝たと思ってベッドを抜け出してるんだ」
「それは多分、おまえに、」
「お二人も飾りつけしませんか?」
そのとき、メルのそんな声が聞こえた。
アイリスが真剣につけているのを見てエリックの頬がゆるんだのを、俺は見逃さなかった。
エリックが言いかけた言葉も気になった。
だが、今は飾りつけの方に集中しよう。
「この天使の飾りは...」
「それは上の方につけると綺麗に見えるよ」
「この星は?」
「待て、それはてっぺんと場所が決まっている」
途中の場所にぐっさりとさしているところが、なんだかアイリスらしい。
「エリック、この台に乗って」
「は?いきなり何を...」
俺はアイリスをエリックに渡した。
「これでアイリスが星を飾れるでしょ?」
「...アイリス、怖くなったらすぐに言え」
「メル、俺たちで台を支えてようか」
「はい!」
色とりどりのオーナメントを見ながら、二人で台を支えた。
「...できた」
「よし、おろすぞ」
エリックがアイリスを抱きしめたまま台から飛び降り、四人で飾り終わったツリーを眺める。
「...こんなにきらきらしているもの、はじめてかもしれない」
定番の丸い形のもの、雪をイメージしたであろう形のもの、天使の形のもの...そして、てっぺんで輝いている星。
それらを見ながら、メルもアイリスも、まるではしゃぐ子どものようにずっとツリーの方を見ている。
「そうか」
エリックはそれだけ言って黙ってしまったが、また頬がゆるんでいた。
(本当に嬉しそうな顔をしているな)
だが、俺にはちょっとした悩みがある。
きっと他の人にとっては『ただの一日』なのだが...俺にとっては、『運命の日』だったから。
メルは、何を贈れば喜んでくれるだろうか。
そもそも、メルは覚えているだろうか。
...空回りしないことを祈るばかりだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読者様方、こんばんは。
取り敢えずクリスマスシリーズを先にしようと思います。
もし体調を崩さなければ、本篇は年内に完結させるつもりです。
因みにあと三話程で完結する予定です。
クリスマスのストーリー、その他リクエストがありましたら教えてください。
『アイリス』がやたら出てきたりしますがご了承ください。
できるだけモチーフにしている時代に沿って書きたいと思いますが、ちょっと微妙なものも登場すると思います。
不馴れで申し訳ありませんがご理解お願いいたします。
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「メル、今年ももうすぐクリスマスだね」
「はい!」
「また飾りつけ、しようか」
「いいんですか?」
私は思わず大きな声を出してしまった。
本当に嬉しかったから。
「じゃあ、今年はエリックやアイリスも呼んでやろうか」
「はい!」
(アイリスさん、飾りとか分かるんでしょうか?それとも、私みたいに...)
「メル?」
「ごめんなさい、なんでもないんです!」
気がつくと、いつの間にか長い時間考えこんでしまっていたようだ。
「ごめんなさい。ご飯の仕度、私がやる予定だったのに...」
「気にしないで。お昼からはエリックたちがくるから、それまでに食べ終わらないとね」
「はい!」
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時計が二時をさす頃。
お決まりの回数のノックが響いた。
「エリックさん、アイリスさん、こんにちは」
「...お邪魔します」
「俺たちまで混ざっていいのか?」
「何言ってるの?当たり前でしょ」
アイリスさんが不思議そうにツリーを見ている。
「アイリスさんははじめてですか?」
「...これに何かするの?」
「はい!この飾りを端の方につけていって...」
私は沢山あるオーナメントのうちの一つを手にとる。
それをつけると、アイリスさんはもっと不思議そうにしていた。
「どうして飾りをつけるの?」
実は私も、その意味は全く分かっていない。
だから、私は私の答えを話すことにした。
「これは私が勝手に思っているのですが...大切な人の幸せを祈る為、でしょうか」
「...それなら、頑張って飾りつけないと」
「はい!」
「サンタクロースって、何?」
「それはですね...」
こうして話しながら、私とアイリスさんは手の届く場所にオーナメントを次々とつけていった。
(アイリスさん、楽しそうでよかったです)
ー**ー
「...で?何故お前は考え事をしている?」
「よく分かったね」
流石はエリックだと感心してしまう。
(隠しきれてないってことか)
俺はエリックをじっと見つめる。
エリックはため息をついたあと、俺に一息に告げた。
「メルがどうかしたのか」
「...最近、やたらナタリーと何かをしているんだ」
「...?仲がいいのはいいことなんじゃないのか?」
女心に一番鈍そうなエリックには、やはり分からないのかもしれない。
話したあと、俺は少しだけ後悔した。
「時々、俺が寝たと思ってベッドを抜け出してるんだ」
「それは多分、おまえに、」
「お二人も飾りつけしませんか?」
そのとき、メルのそんな声が聞こえた。
アイリスが真剣につけているのを見てエリックの頬がゆるんだのを、俺は見逃さなかった。
エリックが言いかけた言葉も気になった。
だが、今は飾りつけの方に集中しよう。
「この天使の飾りは...」
「それは上の方につけると綺麗に見えるよ」
「この星は?」
「待て、それはてっぺんと場所が決まっている」
途中の場所にぐっさりとさしているところが、なんだかアイリスらしい。
「エリック、この台に乗って」
「は?いきなり何を...」
俺はアイリスをエリックに渡した。
「これでアイリスが星を飾れるでしょ?」
「...アイリス、怖くなったらすぐに言え」
「メル、俺たちで台を支えてようか」
「はい!」
色とりどりのオーナメントを見ながら、二人で台を支えた。
「...できた」
「よし、おろすぞ」
エリックがアイリスを抱きしめたまま台から飛び降り、四人で飾り終わったツリーを眺める。
「...こんなにきらきらしているもの、はじめてかもしれない」
定番の丸い形のもの、雪をイメージしたであろう形のもの、天使の形のもの...そして、てっぺんで輝いている星。
それらを見ながら、メルもアイリスも、まるではしゃぐ子どものようにずっとツリーの方を見ている。
「そうか」
エリックはそれだけ言って黙ってしまったが、また頬がゆるんでいた。
(本当に嬉しそうな顔をしているな)
だが、俺にはちょっとした悩みがある。
きっと他の人にとっては『ただの一日』なのだが...俺にとっては、『運命の日』だったから。
メルは、何を贈れば喜んでくれるだろうか。
そもそも、メルは覚えているだろうか。
...空回りしないことを祈るばかりだ。
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読者様方、こんばんは。
取り敢えずクリスマスシリーズを先にしようと思います。
もし体調を崩さなければ、本篇は年内に完結させるつもりです。
因みにあと三話程で完結する予定です。
クリスマスのストーリー、その他リクエストがありましたら教えてください。
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