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Until the day when I get married.-Light of a new request-
番外編『The story spun with you』ーSelect2,Alpine flower zone-(中篇)
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赤ずきんは無事おばあさんの家に辿り着きました。
しかし、ベッドではなんだか違うものが寝ているようです。
それは世にも恐ろしい『』でした。
まさかこんなことが待っているとは、誰も思わなかったはずです。
赤ずきんは扉をくぐり抜け、迷わず入っていきました。
ー*ー
ついにおばあさんの家まできてしまった。
(また体が勝手に...)
扉をたたくと、中から声が返ってきた。
「おや赤ずきん、入っておいで」
(どこかで聞いたような気がする声です...)
「おじゃまします」
確か色々な質問をしていたような気がするけれど、全く覚えていない。
(やるしかないです!)
「あの、おばあさん...」
「なんだい?」
「どうしておばあさんはいつもより声が低いんですか?」
「風邪で声が出ないんだよ」
...そう言われれば終わりだ。
「どうしておばあさんは獣の香りがするんですか?」
「それは、この毛皮の匂いだよ」
おばあさんは毛皮なんか着ていなかった。
(確かカムイにお借りした本では、ピンクのネグリジェ姿だったはずです...)
そして、近くにあったものを視て、疑いが確信に変わった。
「あの、おばあさん」
「なんだい、まだあるのかい?」
「...どうして、血だらけの猟銃があるんですか?」
やっぱりこれだけは誤魔化せないようだ。
くっと喉を鳴らして嗤う声が耳の奥まで響く。
「馬鹿な奴だな。黙っていれば優しくしてやったものを...」
「...猟師、さんですか?」
近づいてはいけないと、なんとなくそう思った。
逃げなくちゃ、逃げなくちゃ...!
ー**ー
俺が向かった先は、おばあさんの家だ。
どうやら俺は、ここのおばあさんに食べ物を分けてもらっていたらしい。
「...!」
窓から家を覗くと、そこにはメルがいた。
そして、おばあさんではなく...襲いかかる猟師の姿が見えた。
「やめろ!」
俺は窓を割ってメルの前に飛び出した。
「な、狼だと...?」
「狼、さん...?」
メルが今にも泣き出しそうな声で俺を『狼さん』と呼ぶ。
「うらあ!」
「...!」
「ぐあっ!」
熱い。
とにかく熱い。
見ると、腹部が血で染まっていた。
...狼なら、心臓の部分なのだろう。
「これくらいじゃ、俺は死なないよ」
「なんだと!何故まだ動ける...!」
何度撃たれようと構わない。
メルを守れるなら、それでいい。
「ほら、撃てよ」
俺が言っていることは猟師に伝わっているだろうか。
「...何言ってるんですか」
様子からしてメルは分かっているようだ。
「殺すんだろう?」
「く、くるな化け物!」
幼い頃の記憶が蘇ってきた。
それは、まだ復讐心に囚われていた頃。
ナイフを向けた相手に言われたことがある。
『寄るな化け物!』
俺はその相手を...そんなことを思い出していると、猟師が逃げていくのが見えた。
...猟銃を残して。
俺はメルに差し出す。
「やっぱり、カムイなんですよね?」
(俺の姿は狼に見えているのか。...それなら、今のメルは、動物の言葉が分かるのか?)
「メル、撃っていいよ」
「え...?」
「俺はきっとこれから先も君を危険に巻きこむ。だから...」
自分で終わりにする勇気はないし、どうやら不死のようだからメルに撃ってもらえればその効果が無くなるような気がするんだ。
俺のせいで誰かが傷つくのはもう嫌だ。
だから、もう終わりにしたい。
ごめん。だけど...メルにしか頼めないんだ。
お願い。こんなどうしようもない俺を、殺して?
しかし、ベッドではなんだか違うものが寝ているようです。
それは世にも恐ろしい『』でした。
まさかこんなことが待っているとは、誰も思わなかったはずです。
赤ずきんは扉をくぐり抜け、迷わず入っていきました。
ー*ー
ついにおばあさんの家まできてしまった。
(また体が勝手に...)
扉をたたくと、中から声が返ってきた。
「おや赤ずきん、入っておいで」
(どこかで聞いたような気がする声です...)
「おじゃまします」
確か色々な質問をしていたような気がするけれど、全く覚えていない。
(やるしかないです!)
「あの、おばあさん...」
「なんだい?」
「どうしておばあさんはいつもより声が低いんですか?」
「風邪で声が出ないんだよ」
...そう言われれば終わりだ。
「どうしておばあさんは獣の香りがするんですか?」
「それは、この毛皮の匂いだよ」
おばあさんは毛皮なんか着ていなかった。
(確かカムイにお借りした本では、ピンクのネグリジェ姿だったはずです...)
そして、近くにあったものを視て、疑いが確信に変わった。
「あの、おばあさん」
「なんだい、まだあるのかい?」
「...どうして、血だらけの猟銃があるんですか?」
やっぱりこれだけは誤魔化せないようだ。
くっと喉を鳴らして嗤う声が耳の奥まで響く。
「馬鹿な奴だな。黙っていれば優しくしてやったものを...」
「...猟師、さんですか?」
近づいてはいけないと、なんとなくそう思った。
逃げなくちゃ、逃げなくちゃ...!
ー**ー
俺が向かった先は、おばあさんの家だ。
どうやら俺は、ここのおばあさんに食べ物を分けてもらっていたらしい。
「...!」
窓から家を覗くと、そこにはメルがいた。
そして、おばあさんではなく...襲いかかる猟師の姿が見えた。
「やめろ!」
俺は窓を割ってメルの前に飛び出した。
「な、狼だと...?」
「狼、さん...?」
メルが今にも泣き出しそうな声で俺を『狼さん』と呼ぶ。
「うらあ!」
「...!」
「ぐあっ!」
熱い。
とにかく熱い。
見ると、腹部が血で染まっていた。
...狼なら、心臓の部分なのだろう。
「これくらいじゃ、俺は死なないよ」
「なんだと!何故まだ動ける...!」
何度撃たれようと構わない。
メルを守れるなら、それでいい。
「ほら、撃てよ」
俺が言っていることは猟師に伝わっているだろうか。
「...何言ってるんですか」
様子からしてメルは分かっているようだ。
「殺すんだろう?」
「く、くるな化け物!」
幼い頃の記憶が蘇ってきた。
それは、まだ復讐心に囚われていた頃。
ナイフを向けた相手に言われたことがある。
『寄るな化け物!』
俺はその相手を...そんなことを思い出していると、猟師が逃げていくのが見えた。
...猟銃を残して。
俺はメルに差し出す。
「やっぱり、カムイなんですよね?」
(俺の姿は狼に見えているのか。...それなら、今のメルは、動物の言葉が分かるのか?)
「メル、撃っていいよ」
「え...?」
「俺はきっとこれから先も君を危険に巻きこむ。だから...」
自分で終わりにする勇気はないし、どうやら不死のようだからメルに撃ってもらえればその効果が無くなるような気がするんだ。
俺のせいで誰かが傷つくのはもう嫌だ。
だから、もう終わりにしたい。
ごめん。だけど...メルにしか頼めないんだ。
お願い。こんなどうしようもない俺を、殺して?
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