209 / 220
Until the day when I get married.-Light of a new request-
番外編『The story spun with you』ーSelect2,Alpine flower zone-(前篇)
しおりを挟む
物語は花畑からはじまります。
その花畑では、赤ずきんと呼ばれる女の子がおばあさんの為にと花を摘んでいました。
そこに、狼がやってきました。
「寄り道してはいけない。ここには危ない大人がやってくるんだ」
狼はそう言って立ち去ってしまいました。
ー*ー
さっきの狼さんはもしかすると...そんなことを考えていると、猟銃を持った人が現れた。
「こんにちは、赤ずきん」
(『赤ずきん』...?私のことでしょうか?)
「こ、こんにちは」
「このあたりは悪い狼が出る。気をつけなさい」
「はい...」
「ところで...君は何をしているんだい?」
「『おばあさんの所にお見舞いに行くの。だから、お花を摘んでいるの!』」
...口が止まらない。
何がどうなっているのか、全く分からない。
「そうか、狼には気をつけるんだよ」
「はい」
猟師は狼に気をつけろと言う。
狼さんは寄り道してはいけない、危ない目に遭うと言う。
(親切な狼さんだと思うのですが...)
今はどちらの言うことを信じればいいのか分からない。
恐らく赤ずきんだ。
だが、普通はここで会うのは狼のはずだ。
猟師がくるはずはない。
しかし、この場所自体何処か分からないのに、迂闊にどちらかを信じるのは危険な気もする。
(取り敢えずカムイを探さないとです...)
恐らくカムイは...
ー**ー
俺は訳も分からずメルに猟師に気をつけろという意味の忠告をしたあと、あるものを追いかけていた。
「待って!」
数歩先の場所で、その陰はぴたりと止まる。
俺の目の前には、小さな子供がいた。
「ここがどこか教えてくれないかな?」
「...」
その子は黙ったままだ。
「ねえ、」
「...おまえは狼」
言われてみれば、なんだか体がふさふさのもので覆われている。
...といっても、もこもこのマフラーがついているだけだが。
「狼?どういうこと?」
「おまえはみんなの害悪なんだ」
「害悪...?」
その子どもは俺の方を振り向く。
その子は、幼い頃の俺そっくりの容姿をしていた。
「おまえが側にいると、みんなが不幸になるんだ。だから、猟師に撃たれてしまう。『狼は悪』なんて身勝手に思いこんだ人間に、狼のおまえは殺されるんだ。誰も守れず、誰からも愛されることなく、その思いも伝わらずにね。...俺が助けられなかったように、おまえもそうなる」
そう言って少年は闇に溶けるように消えていった。
(『みんなが不幸になる』...か)
確かに間違ってはいない。
俺は誰も守れない。
何もできない。
様々なことが頭を駆け巡り、俺の足は森の奥へと進んでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこには、小さな家がありました。
そう、赤ずきんのおばあさんの家です。
しかし、そこに先回りをしたものがおばあさんを襲いました。
そんなこととは露知らず、赤ずきんはおばあさんの家へ小走りで向かいます。
大切な人を見つける為に。
愛する人の所へ還る為に。
その花畑では、赤ずきんと呼ばれる女の子がおばあさんの為にと花を摘んでいました。
そこに、狼がやってきました。
「寄り道してはいけない。ここには危ない大人がやってくるんだ」
狼はそう言って立ち去ってしまいました。
ー*ー
さっきの狼さんはもしかすると...そんなことを考えていると、猟銃を持った人が現れた。
「こんにちは、赤ずきん」
(『赤ずきん』...?私のことでしょうか?)
「こ、こんにちは」
「このあたりは悪い狼が出る。気をつけなさい」
「はい...」
「ところで...君は何をしているんだい?」
「『おばあさんの所にお見舞いに行くの。だから、お花を摘んでいるの!』」
...口が止まらない。
何がどうなっているのか、全く分からない。
「そうか、狼には気をつけるんだよ」
「はい」
猟師は狼に気をつけろと言う。
狼さんは寄り道してはいけない、危ない目に遭うと言う。
(親切な狼さんだと思うのですが...)
今はどちらの言うことを信じればいいのか分からない。
恐らく赤ずきんだ。
だが、普通はここで会うのは狼のはずだ。
猟師がくるはずはない。
しかし、この場所自体何処か分からないのに、迂闊にどちらかを信じるのは危険な気もする。
(取り敢えずカムイを探さないとです...)
恐らくカムイは...
ー**ー
俺は訳も分からずメルに猟師に気をつけろという意味の忠告をしたあと、あるものを追いかけていた。
「待って!」
数歩先の場所で、その陰はぴたりと止まる。
俺の目の前には、小さな子供がいた。
「ここがどこか教えてくれないかな?」
「...」
その子は黙ったままだ。
「ねえ、」
「...おまえは狼」
言われてみれば、なんだか体がふさふさのもので覆われている。
...といっても、もこもこのマフラーがついているだけだが。
「狼?どういうこと?」
「おまえはみんなの害悪なんだ」
「害悪...?」
その子どもは俺の方を振り向く。
その子は、幼い頃の俺そっくりの容姿をしていた。
「おまえが側にいると、みんなが不幸になるんだ。だから、猟師に撃たれてしまう。『狼は悪』なんて身勝手に思いこんだ人間に、狼のおまえは殺されるんだ。誰も守れず、誰からも愛されることなく、その思いも伝わらずにね。...俺が助けられなかったように、おまえもそうなる」
そう言って少年は闇に溶けるように消えていった。
(『みんなが不幸になる』...か)
確かに間違ってはいない。
俺は誰も守れない。
何もできない。
様々なことが頭を駆け巡り、俺の足は森の奥へと進んでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこには、小さな家がありました。
そう、赤ずきんのおばあさんの家です。
しかし、そこに先回りをしたものがおばあさんを襲いました。
そんなこととは露知らず、赤ずきんはおばあさんの家へ小走りで向かいます。
大切な人を見つける為に。
愛する人の所へ還る為に。
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる