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Other Story(記念ものが多いです。本篇ネタバレはできるだけ避けます)
Happy,Happy,Halloween!-Afternoon tea&Night mischievous-
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この頃、いつもなら何をして過ごしていただろうか。
あんなに明日が怖かったはずなのに、今ではちっとも怖くない。
カムイと出会ってからというもの、本当に不思議なことばかりだ。
ー*ー
「これって、カボチャのタルトですか?」
「うん。...自信ないけど、美味しい?」
「はい!とっても食べやすいです!」
私がそう答えると、カムイは笑っていた。
私も一緒に笑って、いつの間に作ったのだろうと考える。
(そういえば...カムイ、今日は朝早くにキッチンにいました)
もしかすると、と目をやる。
カムイの目は少しだけ腫れているように見えた。
「無理、したんですか...?」
「無理なんてしてないよ?」
「カムイが傷つくのは、嫌です」
「傷ついてなんかない。俺はただ、これの顔が怖くならないように作ってただけだよ」
カムイは小さなランタンを私にくれた。
カボチャに顔がついているもので、数日前に転がっていたものと同じような表情のものだった。
「これって、どうやって使うんですか?」
「本当なら蝋燭を入れると綺麗なんだけど...」
ー**ー
俺はそこまで言って、最近の使い方を思い出した。
「エリック」
「...なんだ」
「Trick or Treat?」
「...菓子ならやるから悪戯するな」
メルとアイリスはきょとんとしている。
恐らく、全くこういった行事に二人は参加したことがないのだろう。
「『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』...っていう意味なのは分かると思うけど、この言葉を言いながら、子どもたちなんかにお菓子を配るんだよ。...で、ランタンをバケツの代わりにする人が増えてるって聞いた」
「そうなんですね...」
「メルにもやるから悪戯するな。...アイリスもだ」
「分かった。でももし、お菓子を持ってなかったら...どんな悪戯をするの?」
「それは人それぞれだよ」
「なんだか面白いです!」
メルは本当に楽しそうに笑っている。
カボチャタルトのついでに作ったパンプキンスープや、生地にカボチャを練りこんだクッキーやパンも気に入ってくれたようだ。
(よかった、みんな楽しそうで)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
陽が沈みはじめた頃、エリックが立ちあがった。
「俺たちはこれで失礼する。行こう、アイリス。ついでにナイトパレードに連れていってやる」
「楽しそう。...またね、二人とも」
「はい!おやすみなさい」
「気をつけて帰ってね」
二人が帰ったのを見て、俺は意地悪だと自覚しつつ、メルに質問する。
「ねえ、メル」
「...?はい」
「Trick or Treat?」
ー*ー
お菓子...エリックさんからもらったものは持っているが、私は何もなかった。
「お菓子、ありません...」
「じゃあ悪戯だね」
カムイがにやりと笑っている。
「何をすればいいんですか...?」
「何をお願いしようかな」
「な、なんでもします!」
カムイは驚いたような顔をしたあと、真剣な声で言った。
「目、閉じててね」
「はい...」
私がぎゅっと目を閉じていると、顎が持ち上げられて...
「んっ!」
ころりと口のなかに何か入ってきた。
...カムイの舌と一緒に。
「ふぁ...」
「...どう?美味しい?」
「味、分かりません...」
(ドキドキして、本当に何の味がするのか分かりません!)
「割りと美味しいよ、多分。ついでに作ったキャンディだから」
カムイがにこっとしているのを見て、私は何か言わなければと思った。
でも、その前にカムイが話を切り出した。
「男相手に『なんでもする』はダメだよ」
「...?」
ー**ー
メルは本当に分かっていないらしい。
「男はみんな、狼だから」
「狼さん、ですか...?」
「うん。覚えておいて?俺以外にあんなこと言ったらダメ」
「分かり、ました」
これで危機感を覚えてくれるだろうか。
メルがそんな気持ちで言ったわけではないことは、分かっているつもりだ。
だが、どうしても心配になる。
...俺ももう歳だろうか。
「カムイはキャンディ食べたんですか?」
「うん。メルと一緒に美味しくいただきました」
「私と、一緒に...っ!」
メルは先程のキスを思い出したのか、耳まで真っ赤になっていた。
「メルはやっぱり可愛いね」
「うう...」
少し悔しそうにしながら、突然俺に抱きついてきた。
「...美味しかったです。でも...恥ずかしいです。だから、これは仕返しです」
「こんなに可愛い仕返しなら、俺は大歓迎だよ」
月明かりが照らすなか、二人で見つめあって...そのままもう一度キスをした。
ーーそれが紅茶と甘いキャンディの味がしたのは、俺だけの秘密の話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読者様方、こんばんは。
奇跡です。
なんとか間に合いました。
匙加減が分からずに書いているので、甘すぎたり甘さが足りなかったらごめんなさい。
読者様方、明日は平日ですが...どうか楽しいハロウィンをお過ごしください。
あんなに明日が怖かったはずなのに、今ではちっとも怖くない。
カムイと出会ってからというもの、本当に不思議なことばかりだ。
ー*ー
「これって、カボチャのタルトですか?」
「うん。...自信ないけど、美味しい?」
「はい!とっても食べやすいです!」
私がそう答えると、カムイは笑っていた。
私も一緒に笑って、いつの間に作ったのだろうと考える。
(そういえば...カムイ、今日は朝早くにキッチンにいました)
もしかすると、と目をやる。
カムイの目は少しだけ腫れているように見えた。
「無理、したんですか...?」
「無理なんてしてないよ?」
「カムイが傷つくのは、嫌です」
「傷ついてなんかない。俺はただ、これの顔が怖くならないように作ってただけだよ」
カムイは小さなランタンを私にくれた。
カボチャに顔がついているもので、数日前に転がっていたものと同じような表情のものだった。
「これって、どうやって使うんですか?」
「本当なら蝋燭を入れると綺麗なんだけど...」
ー**ー
俺はそこまで言って、最近の使い方を思い出した。
「エリック」
「...なんだ」
「Trick or Treat?」
「...菓子ならやるから悪戯するな」
メルとアイリスはきょとんとしている。
恐らく、全くこういった行事に二人は参加したことがないのだろう。
「『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』...っていう意味なのは分かると思うけど、この言葉を言いながら、子どもたちなんかにお菓子を配るんだよ。...で、ランタンをバケツの代わりにする人が増えてるって聞いた」
「そうなんですね...」
「メルにもやるから悪戯するな。...アイリスもだ」
「分かった。でももし、お菓子を持ってなかったら...どんな悪戯をするの?」
「それは人それぞれだよ」
「なんだか面白いです!」
メルは本当に楽しそうに笑っている。
カボチャタルトのついでに作ったパンプキンスープや、生地にカボチャを練りこんだクッキーやパンも気に入ってくれたようだ。
(よかった、みんな楽しそうで)
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陽が沈みはじめた頃、エリックが立ちあがった。
「俺たちはこれで失礼する。行こう、アイリス。ついでにナイトパレードに連れていってやる」
「楽しそう。...またね、二人とも」
「はい!おやすみなさい」
「気をつけて帰ってね」
二人が帰ったのを見て、俺は意地悪だと自覚しつつ、メルに質問する。
「ねえ、メル」
「...?はい」
「Trick or Treat?」
ー*ー
お菓子...エリックさんからもらったものは持っているが、私は何もなかった。
「お菓子、ありません...」
「じゃあ悪戯だね」
カムイがにやりと笑っている。
「何をすればいいんですか...?」
「何をお願いしようかな」
「な、なんでもします!」
カムイは驚いたような顔をしたあと、真剣な声で言った。
「目、閉じててね」
「はい...」
私がぎゅっと目を閉じていると、顎が持ち上げられて...
「んっ!」
ころりと口のなかに何か入ってきた。
...カムイの舌と一緒に。
「ふぁ...」
「...どう?美味しい?」
「味、分かりません...」
(ドキドキして、本当に何の味がするのか分かりません!)
「割りと美味しいよ、多分。ついでに作ったキャンディだから」
カムイがにこっとしているのを見て、私は何か言わなければと思った。
でも、その前にカムイが話を切り出した。
「男相手に『なんでもする』はダメだよ」
「...?」
ー**ー
メルは本当に分かっていないらしい。
「男はみんな、狼だから」
「狼さん、ですか...?」
「うん。覚えておいて?俺以外にあんなこと言ったらダメ」
「分かり、ました」
これで危機感を覚えてくれるだろうか。
メルがそんな気持ちで言ったわけではないことは、分かっているつもりだ。
だが、どうしても心配になる。
...俺ももう歳だろうか。
「カムイはキャンディ食べたんですか?」
「うん。メルと一緒に美味しくいただきました」
「私と、一緒に...っ!」
メルは先程のキスを思い出したのか、耳まで真っ赤になっていた。
「メルはやっぱり可愛いね」
「うう...」
少し悔しそうにしながら、突然俺に抱きついてきた。
「...美味しかったです。でも...恥ずかしいです。だから、これは仕返しです」
「こんなに可愛い仕返しなら、俺は大歓迎だよ」
月明かりが照らすなか、二人で見つめあって...そのままもう一度キスをした。
ーーそれが紅茶と甘いキャンディの味がしたのは、俺だけの秘密の話。
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読者様方、こんばんは。
奇跡です。
なんとか間に合いました。
匙加減が分からずに書いているので、甘すぎたり甘さが足りなかったらごめんなさい。
読者様方、明日は平日ですが...どうか楽しいハロウィンをお過ごしください。
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