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Until the day when I get married.-Light of a new request-
第151話
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ー**ー
『八年前の殺人事件』俺はその言葉を口にした。
「どういうことですか?」
「実は八年前...アイリーンという女性が殺される、痛ましい事件がありました」
「...!」
アイリスは驚いた表情をみせていた。
だが、声には出さず黙っていた。
「そのときの証拠品に、破片がありました。組みたててみたところ、火炎瓶のものと分かりました。...今回の事件と同じものです」
本当なら、この法廷で証拠として使うのは無理がある。
だが、これ以外に助ける方法が浮かばなかった。
「つまり、そのとき被告人は六歳。...そんな小さな子に、女性を殺すことができるでしょうか?」
「しかし!」
検察が反論してこようとしたとき、メルがその言葉を遮った。
「他にも証拠があります。これを見てほしいのですが...」
メルは糸屑を見せた。
「これはただの糸ではありません。これは...ワイヤーです。八年前の現場からとったものと、今回の放火現場に落ちていたものです」
メルは裁判長の所へ持っていった。
「たしかにこれは、同じものですね」
俺は後ろへ目をやる。
男はわなわなと震えていた。
(もう少し揺さぶりをかけないと)
「それと、幼い被告人から靴を購入した男がいました。...その男は、ワイヤーの扱いが得意です。殺し屋なのだから」
周りがざわつきはじめた。
俺は再び男の方を見た。
ー*ー
私はなんとか言い終わった。
だが、なんだか嫌な予感がする。
(どうしてこんなに心がざわつくのでしょうか?)
カムイはそのあとも言葉を続けた。
「警察の重役と蜜な関係をもっているようですが...本当なら、問題だと思います」
「くっ...」
検察の人が何か話そうとしたとき、傍聴席の方から声がした。
「ふざけるな、役立たずが!」
そこから男の人が走って検察の人に掴みかかる。
「おまえらもっとちゃんとやれよ!そいつらの心が一人残らずズタズタになるまで引き裂けよ!」
「しかし、」
「このままだと負けるだろ!」
カムイは笑いながら言った。
「その態度では、あなたが真犯人だと言っているのと同じですよ?」
「っ、違う、俺は!」
「...潔く認めろよ、なあ」
カムイが低い声でそう言った。
「無実の女の子に罪をなすりつけるのがそんなに楽しいのか?自分がやったことのけじめくらいつけろよ」
「お、抑えてください...」
名前を言わない方がいいのかと思い、私はカムイと呼ばずに声をかけた。
「...ごめん。すみません、冷静さを失っていました」
カムイははっとしたように言葉を止めた。
(よかったです)
ー**ー
俺はメルに言われて、ようやく正気に戻った。
「あなたが殺したから慌てている...違いますか?」
「違う」
...この期に及んでまだ否定するか。
「では、顔にそんな大きな傷がある人間が町中うろうろしていると?...アイリスから靴を購入したのは、顔に傷がある男。あなたのことでは?」
「...くそが」
「裁判長、もう茶番は終わりにしませんか?」
「その者を捕まえてください。彼に話を聞きましょう」
男は羽交い締めにされ、そのまま連行されていった。
「...判決は出ました。主文、被告人を無罪とします。手続きに時間がかかってしまうので、あと三日程時間を頂きますが...そのあとは自由ですよ」
裁判長は笑顔でアイリスにそう告げた。
「それではこれで、閉廷」
木槌がふりおろされる。
...こうして、長かった裁判はようやく幕をおろした。
(これでアイリスを救える)
問題はこのあとだが、取り敢えず今は喜びを分かち合いたい。
傍聴席が空になったあと、俺たちはアイリスのところへ駆け寄った。
(アイリスを、自由にできた)
ー*ー
「アイリスさん!」
「アイリス」
「...みんな、ありがとう」
アイリスさんは泣いていた。
ずっと堪えていたものが溢れている。
「私は...ずっと、お母さんにっ、捨てられたと、思ってた。でも...違ったんだね」
つまりながら、アイリスさんは何度もお礼を言ってくれた。
「お疲れ様でした」
突然、裁判長さんが話しかけてきた。
「ありがとうございます」
その女性は、エリックさんに向かってこう言った。
「...もうっ、いい子ができたなら話してくれてもいいじゃない!」
私は混乱してきた。
(エリックさんの知り合いなんでしょうか?でも、とっても仲がよさそうです)
「いきなり話しかけてこられると、すごく焦るんだけど」
「カムイも可愛い子を見つけたわね!」
「メルとアイリスに説明したいからちょっと待ってね、エミリー」
カムイがナタリーさん以外の女性と親しげに話すのを久しぶりに見た。
...心がもやもやした。
「この裁判長はエミリー。...エリックのお姉さんだよ」
「エミリーです!はじめましてね!」
エリックさんの、お姉さん...?
「ええっ!」
私は思わず声をあげてしまった。
(だから協力してくださったんですね...)
私のなかで疑問に思っていたことが、なんとなく解決した。
「私の為に、ありがとう」
アイリスさんは丁寧にお礼を言っていた。
「冤罪事件を作るのは嫌だし、可愛い弟が泣くのは嫌だからね!...アイリスちゃん、申し訳ないけれど...そろそろお部屋に戻りましょ?またね、エリック」
エリックさんは嫌そうな顔をしていた。
「迎えに行くから、待ってろ」
「うん」
アイリスさんの笑顔を、久しぶりに見た気がした。
「...やっぱり俺は姉が苦手だ」
アイリスさんたちの背中を見送りながら、エリックさんはぼそりと呟いた。
『八年前の殺人事件』俺はその言葉を口にした。
「どういうことですか?」
「実は八年前...アイリーンという女性が殺される、痛ましい事件がありました」
「...!」
アイリスは驚いた表情をみせていた。
だが、声には出さず黙っていた。
「そのときの証拠品に、破片がありました。組みたててみたところ、火炎瓶のものと分かりました。...今回の事件と同じものです」
本当なら、この法廷で証拠として使うのは無理がある。
だが、これ以外に助ける方法が浮かばなかった。
「つまり、そのとき被告人は六歳。...そんな小さな子に、女性を殺すことができるでしょうか?」
「しかし!」
検察が反論してこようとしたとき、メルがその言葉を遮った。
「他にも証拠があります。これを見てほしいのですが...」
メルは糸屑を見せた。
「これはただの糸ではありません。これは...ワイヤーです。八年前の現場からとったものと、今回の放火現場に落ちていたものです」
メルは裁判長の所へ持っていった。
「たしかにこれは、同じものですね」
俺は後ろへ目をやる。
男はわなわなと震えていた。
(もう少し揺さぶりをかけないと)
「それと、幼い被告人から靴を購入した男がいました。...その男は、ワイヤーの扱いが得意です。殺し屋なのだから」
周りがざわつきはじめた。
俺は再び男の方を見た。
ー*ー
私はなんとか言い終わった。
だが、なんだか嫌な予感がする。
(どうしてこんなに心がざわつくのでしょうか?)
カムイはそのあとも言葉を続けた。
「警察の重役と蜜な関係をもっているようですが...本当なら、問題だと思います」
「くっ...」
検察の人が何か話そうとしたとき、傍聴席の方から声がした。
「ふざけるな、役立たずが!」
そこから男の人が走って検察の人に掴みかかる。
「おまえらもっとちゃんとやれよ!そいつらの心が一人残らずズタズタになるまで引き裂けよ!」
「しかし、」
「このままだと負けるだろ!」
カムイは笑いながら言った。
「その態度では、あなたが真犯人だと言っているのと同じですよ?」
「っ、違う、俺は!」
「...潔く認めろよ、なあ」
カムイが低い声でそう言った。
「無実の女の子に罪をなすりつけるのがそんなに楽しいのか?自分がやったことのけじめくらいつけろよ」
「お、抑えてください...」
名前を言わない方がいいのかと思い、私はカムイと呼ばずに声をかけた。
「...ごめん。すみません、冷静さを失っていました」
カムイははっとしたように言葉を止めた。
(よかったです)
ー**ー
俺はメルに言われて、ようやく正気に戻った。
「あなたが殺したから慌てている...違いますか?」
「違う」
...この期に及んでまだ否定するか。
「では、顔にそんな大きな傷がある人間が町中うろうろしていると?...アイリスから靴を購入したのは、顔に傷がある男。あなたのことでは?」
「...くそが」
「裁判長、もう茶番は終わりにしませんか?」
「その者を捕まえてください。彼に話を聞きましょう」
男は羽交い締めにされ、そのまま連行されていった。
「...判決は出ました。主文、被告人を無罪とします。手続きに時間がかかってしまうので、あと三日程時間を頂きますが...そのあとは自由ですよ」
裁判長は笑顔でアイリスにそう告げた。
「それではこれで、閉廷」
木槌がふりおろされる。
...こうして、長かった裁判はようやく幕をおろした。
(これでアイリスを救える)
問題はこのあとだが、取り敢えず今は喜びを分かち合いたい。
傍聴席が空になったあと、俺たちはアイリスのところへ駆け寄った。
(アイリスを、自由にできた)
ー*ー
「アイリスさん!」
「アイリス」
「...みんな、ありがとう」
アイリスさんは泣いていた。
ずっと堪えていたものが溢れている。
「私は...ずっと、お母さんにっ、捨てられたと、思ってた。でも...違ったんだね」
つまりながら、アイリスさんは何度もお礼を言ってくれた。
「お疲れ様でした」
突然、裁判長さんが話しかけてきた。
「ありがとうございます」
その女性は、エリックさんに向かってこう言った。
「...もうっ、いい子ができたなら話してくれてもいいじゃない!」
私は混乱してきた。
(エリックさんの知り合いなんでしょうか?でも、とっても仲がよさそうです)
「いきなり話しかけてこられると、すごく焦るんだけど」
「カムイも可愛い子を見つけたわね!」
「メルとアイリスに説明したいからちょっと待ってね、エミリー」
カムイがナタリーさん以外の女性と親しげに話すのを久しぶりに見た。
...心がもやもやした。
「この裁判長はエミリー。...エリックのお姉さんだよ」
「エミリーです!はじめましてね!」
エリックさんの、お姉さん...?
「ええっ!」
私は思わず声をあげてしまった。
(だから協力してくださったんですね...)
私のなかで疑問に思っていたことが、なんとなく解決した。
「私の為に、ありがとう」
アイリスさんは丁寧にお礼を言っていた。
「冤罪事件を作るのは嫌だし、可愛い弟が泣くのは嫌だからね!...アイリスちゃん、申し訳ないけれど...そろそろお部屋に戻りましょ?またね、エリック」
エリックさんは嫌そうな顔をしていた。
「迎えに行くから、待ってろ」
「うん」
アイリスさんの笑顔を、久しぶりに見た気がした。
「...やっぱり俺は姉が苦手だ」
アイリスさんたちの背中を見送りながら、エリックさんはぼそりと呟いた。
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