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One Room-black-
act.6『特技』・2 (エリック×アイリス×雪×遥)
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《エリック目線》
「特技か。まあ、仕事上銃は使うからな」
「私も、銃なら多分得意」
「そうなのか?」
「カムイとメルが驚いてた」
アイリスは自分はそんなつもりはないというふうに言っていたが、目の前に的が出てきた時点でそういうことなのだろう。
☆「ほう?それであの的か、納得した」
○「二人とも銃が得意なんですね」
【実践してみましょう】なんて、簡単に言ってくれる。
「まずは俺からやる」
アイリスはこくりと頷いた。
(弾は五発なのに的は七つ...。恐らく、あのくっついている的は接している部分に当てろということだろう)
俺は撃鉄をおこした。
そしてそのまま、引き金をひく。
パン!パンパン!
だが、五発で五つの的に当てるのが限界だった。
「...こんなものか」
○「すごいです」
☆「銃弾が少ないのか...」
【流石ですね。お見事です】
紙にはそう書かれていた。
「エリック、かっこいい」
アイリスが目を輝かせて俺に言った。
「ありがとう」
俺にはかっこいいことをしたという感覚はない。
だが、礼を言うのが筋だと思った。
「じゃあ、次は私が」
そう言って、アイリスは銃を構えた。
パンパンパン!
○「...!」
☆「これは...」
「アイリス、きみは...」
アイリスが撃った五発しか弾がない銃は、七つの的全てに当たっていた。
「...?」
《アイリス目線》
何かおかしいことをしたのかな。
みんな、黙ってしまった。
○「すごいです。こんな技、きっと私の友人でもできません」
「ありがとう」
雪は何かを書いている。
エリックは呆然と立ちつくしていて...残りの人は、じっとこちらを見ている。
「すごい才能だ」
「ありがとう」
「そういえば雪...何を書いているんだ?」
○「これです」
雪はその用紙をパラパラとめくっていく。
それは、まるで動いているように見えた。
☆「おまえは本当に昔からパラパラ漫画が上手いな」
○「そうですか?」
「これ、パラパラ漫画っていうの?」
○「はい。こう、コマ分けして...」
一枚一枚はただの絵なのに、とても不思議だった。
☆「ところで...おまえたちは何者だ?」
その人は、エリックと私を見てそう言った。
何者と言われても、なんて答えたらいいのか分からない。
困っていると、エリックが口を開いた。
「俺は銃を持ち歩いていなければならない仕事をしている。アイリスは...俺の居候だ」
《エリック目線》
あれだけ銃の扱いが上手いのだ、疑われても仕方ない。
だが、こう言っておけば...仕事のパートナーだと思ってくれるだろう。
☆「ほう?」
まだ疑われるのだろうか。
○「遥様、そろそろお時間かと」
雪が助け船を出してくれた。
部屋にある砂時計を見ると、本当にリミットが近づいていた。
「ありがとう」
○「いえ、こうするべきだと判断しただけですから」
雪と俺は小さくそう交わして別れた。
「今日はありがとうございました」
☆「こちらこそ、なかなか楽しめた」
どうやら満足したらしい。
なんとか乗り越えたと、俺は心底ほっとした。
「エリック」
「どうした?」
「助けてくれて、ありがとう」
アイリスは俺に笑顔を向けてくれた。
「...っ、と、当然のしただけだ。行くぞ」
「うん」
俺はアイリスの手をしっかりと握った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○「初対面の方にあんなふうに迫るのは...」
☆「あの二人、面白かったな」
○「...はい」
☆「さて、仕事の続きをしに行こう」
○「そうですね」
雪は遥が話を聞いていなかったであろうということを察し、心のなかでため息をついた。
...これから出社して書類の山をお片づけしなければならなかったのは、また別の話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読者様方、こんばんは。
二人の特技は...というより、エリックについてはお仕事でしたね。
アイリスは是非本篇を読んでいただいて、どんなキャラクターなのか知っていただければと思います。
ここで、遥ルートの紹介をさせてください。
遥は実は...社長です。おぼっちゃんです。
雪はとあるきっかけで秘書をしています。
遥は強引で世間とずれている部分がある為、黒羽ともはじめはぎくしゃくしたりします。
あることがきっかけで、愛を知りませんでした。
主人公と出会って変化していきますが、そこで危機が迫ります。
遥との恋はそんな感じです。
次はもう少し上手く書ければいいなと思います。
申し訳ありません。
読みたい本篇・閑話・コラボストーリーのリクエスト・登場人物への質問は随時受付中です。
これからもこの作品をよろしくお願いいたします。
いつもありがとうございます。
「特技か。まあ、仕事上銃は使うからな」
「私も、銃なら多分得意」
「そうなのか?」
「カムイとメルが驚いてた」
アイリスは自分はそんなつもりはないというふうに言っていたが、目の前に的が出てきた時点でそういうことなのだろう。
☆「ほう?それであの的か、納得した」
○「二人とも銃が得意なんですね」
【実践してみましょう】なんて、簡単に言ってくれる。
「まずは俺からやる」
アイリスはこくりと頷いた。
(弾は五発なのに的は七つ...。恐らく、あのくっついている的は接している部分に当てろということだろう)
俺は撃鉄をおこした。
そしてそのまま、引き金をひく。
パン!パンパン!
だが、五発で五つの的に当てるのが限界だった。
「...こんなものか」
○「すごいです」
☆「銃弾が少ないのか...」
【流石ですね。お見事です】
紙にはそう書かれていた。
「エリック、かっこいい」
アイリスが目を輝かせて俺に言った。
「ありがとう」
俺にはかっこいいことをしたという感覚はない。
だが、礼を言うのが筋だと思った。
「じゃあ、次は私が」
そう言って、アイリスは銃を構えた。
パンパンパン!
○「...!」
☆「これは...」
「アイリス、きみは...」
アイリスが撃った五発しか弾がない銃は、七つの的全てに当たっていた。
「...?」
《アイリス目線》
何かおかしいことをしたのかな。
みんな、黙ってしまった。
○「すごいです。こんな技、きっと私の友人でもできません」
「ありがとう」
雪は何かを書いている。
エリックは呆然と立ちつくしていて...残りの人は、じっとこちらを見ている。
「すごい才能だ」
「ありがとう」
「そういえば雪...何を書いているんだ?」
○「これです」
雪はその用紙をパラパラとめくっていく。
それは、まるで動いているように見えた。
☆「おまえは本当に昔からパラパラ漫画が上手いな」
○「そうですか?」
「これ、パラパラ漫画っていうの?」
○「はい。こう、コマ分けして...」
一枚一枚はただの絵なのに、とても不思議だった。
☆「ところで...おまえたちは何者だ?」
その人は、エリックと私を見てそう言った。
何者と言われても、なんて答えたらいいのか分からない。
困っていると、エリックが口を開いた。
「俺は銃を持ち歩いていなければならない仕事をしている。アイリスは...俺の居候だ」
《エリック目線》
あれだけ銃の扱いが上手いのだ、疑われても仕方ない。
だが、こう言っておけば...仕事のパートナーだと思ってくれるだろう。
☆「ほう?」
まだ疑われるのだろうか。
○「遥様、そろそろお時間かと」
雪が助け船を出してくれた。
部屋にある砂時計を見ると、本当にリミットが近づいていた。
「ありがとう」
○「いえ、こうするべきだと判断しただけですから」
雪と俺は小さくそう交わして別れた。
「今日はありがとうございました」
☆「こちらこそ、なかなか楽しめた」
どうやら満足したらしい。
なんとか乗り越えたと、俺は心底ほっとした。
「エリック」
「どうした?」
「助けてくれて、ありがとう」
アイリスは俺に笑顔を向けてくれた。
「...っ、と、当然のしただけだ。行くぞ」
「うん」
俺はアイリスの手をしっかりと握った。
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○「初対面の方にあんなふうに迫るのは...」
☆「あの二人、面白かったな」
○「...はい」
☆「さて、仕事の続きをしに行こう」
○「そうですね」
雪は遥が話を聞いていなかったであろうということを察し、心のなかでため息をついた。
...これから出社して書類の山をお片づけしなければならなかったのは、また別の話。
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読者様方、こんばんは。
二人の特技は...というより、エリックについてはお仕事でしたね。
アイリスは是非本篇を読んでいただいて、どんなキャラクターなのか知っていただければと思います。
ここで、遥ルートの紹介をさせてください。
遥は実は...社長です。おぼっちゃんです。
雪はとあるきっかけで秘書をしています。
遥は強引で世間とずれている部分がある為、黒羽ともはじめはぎくしゃくしたりします。
あることがきっかけで、愛を知りませんでした。
主人公と出会って変化していきますが、そこで危機が迫ります。
遥との恋はそんな感じです。
次はもう少し上手く書ければいいなと思います。
申し訳ありません。
読みたい本篇・閑話・コラボストーリーのリクエスト・登場人物への質問は随時受付中です。
これからもこの作品をよろしくお願いいたします。
いつもありがとうございます。
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