路地裏のマッチ売りの少女

黒蝶

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One Room-black-

act.5『特技』・1 (エリック×アイリス×雪×?)

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とある人気スポット、『Room』。
一時期流行っていたらしいそこは、今ではほとんど人気がない。
『知らない人と交流できる』と言われているが、できた人間が少ないからだ。
だが...人々が訪れなくなっても、訪れる人物たちがいた。
「ついたぞ」
《アイリス目線》
エリックについてやってきたのは、一つの部屋。
ここに何があるんだろう。
「アイリス、ここから更に奥へ向かう必要がある」
「こっち?」
私は灰色の廊下を指さした。
エリックは首を縦にふった。
「...」
沈黙が流れるなか、前から誰かが近づいてくるのが分かった。
足音からして、人数は二人。
私は護身用にとエリックに渡されていた銃を向けた。
○「あの、もしかして『Room』を...エリック、お久しぶりです」
「ああ、雪だったか。お久しぶりです」
二人は、知り合い?
○「折角なので、口調も敬語を外していただけるとありがたいです」
「分かった、雪」
?「雪、そいつらは知り合いか?」
○「はい、エリックとは前回会いました。ただ...」
銃を向けている私に向かって、雪と呼ばれたその人は優しく微笑んだ。
○「そちらの方とは初対面です」
?「そうか」
「あの、あなたは...」
どうやらエリックも知らないようだ。
?「こういう時は自分から名乗るものだろう。あと、銃を仕舞え」
...なんだか偉そうな人。
○「遥様、そのような言い方では怖がられてしまうのでは...」
☆「すまない、いつもの癖が出てしまった。俺は遥。おまえたちの話を聞かせてほしい」
私は取り敢えず、銃をおろした。
偉そうな人は嫌いだけど、この人たちは嫌いになれなかった。
「申し訳ありませんが、そこの棒を引いていただけませんか?」
《エリック目線》
俺はこの状況をどうしようか迷った結果、早く部屋を選択しようと思った。
○「遥様、引いてください」
雪も俺にのって、進行してくれた。
(なんとかなりそうだな)
俺はアイリスの手を掴み、できるだけ優しく言った。
「アイリス、怖い人たちではないから取り敢えず銃を向けるのはやめろ」
「分かった」
「すみません、まだ人にあまりなれていなくて...。俺はエリック。彼女はアイリスです」
「よろしく」
☆「...遥だ」
なんだか遥さんの声のトーンが、先程よりさがっているように聞こえた。
「あの、何か失礼を...」
☆「いや。なんとなく雰囲気が似ていると思ってな」
遥さんは棒を引きながら教えてくれた。
○「もしかして、妹さんにですか?」
☆「ああ。無口でこんな奴だと思ってな...棒は黒だ。ここからどうすればいい?」
前回と同じように、辺りの景色が変化していく。
(...またチャレンジャー側か)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目を開けると、目の前はやはり黒一色で埋めつくされていた。
☆「なんなんだこれは」
○「落ち着いてください。ここはこういうシステムなんです」
雪が慌てる遥を落ち着かせていた。
この二人は、仕事のパートナーか何かだろうか。
「取り敢えず、カードを引いていただきたい」
俺は二人を急かした。
《アイリス目線》
「私はどうすればいいの?」
「それは、向こうのカードによる」
○「お待たせしました」
☆「『二人の特技はなんですか?』だそうだ」
私にできるのは、物を売ることと最近メルに少しだけ教えてもらったお料理...になるのかな。
それと、あとは...
どう答えようか迷っていると、目の前にはあの時の射撃と同じようなものがあった。
『思っていることがあるのなら、実践してみましょう』
カードには、そう書かれていた。









【次回予告】
「...こんなものか」
通常運転のエリック。
「...」
とにかくやってみるアイリス。
○「そうですか?」
無意識のうちにあることが身についていた雪。
☆「おまえたちは何者だ?」
二人に迫る遥。
次回、二人?の特技をとくとご覧あれ!









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読者様方、こんばんは。
短めなうえに雑な文章で申し訳ありません。
それと、はじめの方を読んでいただいている読者様方、申し訳ありません。
「アイリスって誰だよ!」となっていると思います。
詳しくは書かないでおきますが、後の章でキーパーソンになります。
エリックの特技は予想がつくかもしれません。
アイリスについても、細かく読んでいただいている方には分かってしまうと思います。
続きは明日更新する予定です。

ストーリーのリクエスト・登場人物のプロフィールについての質問は随時受付中です。
いつも読んでいただきありがとうございます。
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