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Until the day when I get married.-Light of a new request-
第140話
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ー**ー
ベッドのなか、俺はぐるぐると考えていた。
『あの男がバーに姿を現した』
そのことを話すべきなのだろうか...。
アイリスは明らかに狙われている。
だが、メルはどうだろう?
もし何もないなら、知らない方がいいこともある。
エリックと俺でアイリスを守れば...。
だが、それはメルに隠し、メルを傷つけることになる。
(ダメだ、どうすればいいのか分からない)
こんなとき、父ならどうしただろうか。
母なら...
結局寝つくことができず、俺は体を起こした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(母さん、ごめん)
なにかヒントがあるかもしれない...そう思った俺はメルが復元してくれた、母の日記を読むことにした。
《今日からカムイは離乳食をはじめました》
《カムイが料理のお手伝いをしてくれます》
...読んでいて、切なくなってきた。
しばらくパラパラと読みすすめると、ヒントになりそうなことが出てきた。
《どうやら夫が何か隠しているみたい...聞くべきなのでしょうか?》
その次のページには、後悔が記されていた。
《やっぱり聞くべきだった。大怪我をして帰ってきた。「大丈夫」と笑っていたけど...強がられるほど心配になることを覚えておいてほしい。でも、私も何も聞けませんでした。ごめんなさい...》
この記述を読んで、覚悟が決まった。
「おはようございます、カムイ」
ー*ー
「お、おはようメル」
後ろから突然声をかけたせいか、カムイはとても驚いていた。
「お母様の日記ですか?」
「うん、久しぶりに読みたくなって...」
カムイは大きく息を吸い、私を真っ直ぐ見ながらゆっくりと話しはじめた。
「話すかどうか、ずっと迷ってた。でも...聞いてくれる?」
「はい!」
「...あの男が、姿を現したらしいんだ」
「それって、メアさんのお父さんですか...?」
「うん」
カムイは気まずそうに言った。
「エリックたちが見かけたらしい。どうやらまた何かを仕掛けてくるみたい...」
そう話したあと、カムイは私を強く抱きしめた。
「ごめんね、メル...」
「どうしてカムイが謝るんですか?」
「危ない目には遇わせないって言ったのに、結局俺は...」
「そんなこと言わないでください。私はちゃんと話してもらえて嬉しいです」
私は精一杯笑顔でいることしかできなかった。
(もっと何かできればいいのですが...)
そのとき、カムイの瞳から一筋の涙が零れるのが見えた。
ー**ー
...どうしてこんなに優しいんだろう。
俺は何一つ守れないかもしれないのに。
どうして俺なんかにこんな温かい言葉をくれるのだろうか。
「...!」
気がつくと、俺は泣いてしまっていた。
「...」
メルは俺の腕のなかで小さく息を吸う。
「~♪」
「それ、」
俺はそれ以上何も言えず、黙って聞くことにした。
いつかメルが歌っていたその曲は、俺の心に沁みわたった。
「もしかするとカムイが元気になるんじゃないかなって思ったんですけど...恥ずかしいです」
メルは歌い終わったあと、耳まで真っ赤にして小さく呟いた。
「ありがとう」
「...!」
身体を離すと、メルはとても嬉しそうににこにこ笑っていた。
「なんていう歌なの?」
「たしか...『星屑の彼方へ』です」
「綺麗な曲名だね」
「私はこの歌、好きです」
「メルがよければ、また歌って?」
「はい!」
話せてよかったと、俺は心の底からそう思った。
ー*ー
歌い終わったあと、カムイの目からはもう涙は流れていなかった。
(元気になってくれてよかったです...)
「メル、お願いがあるんだけど...」
「私にできることならなんでもやります」
「もう一度、メアの所へ行きたいんだ」
「分かりました、準備します」
「ありがとう」
このとき、カムイが少しだけ弱々しく見えた。
(私が支えないとです)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やあ、ぼうや。どうしたの?」
「俺の大切な人たちを...アイリスを守るために、力をかしてほしい」
メアさんは少し戸惑っている様子だった。
「僕に何ができる?」
「『アイリーンの事件』の資料を集めてほしい」
「やってみるよ」
「ありがとう」
メアさんは即答した。
だが、私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになった。
(メアさんは刑務所の中で、でも情報を手に入れられる...?どういうことでしょう?)
「今日はそれだけだから」
「ぼうや!」
メアさんは祈るような表情でカムイを見ていた。
「自分だけでなんとかしようなんて、思わないでね」
「...まさかきみからそんなことを言われる日がくるとは思ってなかったよ」
カムイとメアさんの仲が、少しだけよくなったような気がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アイリーンの事件を調べるということは...。
「ねえ、ちょっといい?」
僕は別の部屋にいる囚人たちに声をかけた。
(急がないと、時間がないってことだ)
折角ぼうやが僕に頼んでくれたんだ。
できるところまでやってみせよう。
僕は一人そう誓いながら、早速囚人たちの話を聞いた。
ベッドのなか、俺はぐるぐると考えていた。
『あの男がバーに姿を現した』
そのことを話すべきなのだろうか...。
アイリスは明らかに狙われている。
だが、メルはどうだろう?
もし何もないなら、知らない方がいいこともある。
エリックと俺でアイリスを守れば...。
だが、それはメルに隠し、メルを傷つけることになる。
(ダメだ、どうすればいいのか分からない)
こんなとき、父ならどうしただろうか。
母なら...
結局寝つくことができず、俺は体を起こした。
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(母さん、ごめん)
なにかヒントがあるかもしれない...そう思った俺はメルが復元してくれた、母の日記を読むことにした。
《今日からカムイは離乳食をはじめました》
《カムイが料理のお手伝いをしてくれます》
...読んでいて、切なくなってきた。
しばらくパラパラと読みすすめると、ヒントになりそうなことが出てきた。
《どうやら夫が何か隠しているみたい...聞くべきなのでしょうか?》
その次のページには、後悔が記されていた。
《やっぱり聞くべきだった。大怪我をして帰ってきた。「大丈夫」と笑っていたけど...強がられるほど心配になることを覚えておいてほしい。でも、私も何も聞けませんでした。ごめんなさい...》
この記述を読んで、覚悟が決まった。
「おはようございます、カムイ」
ー*ー
「お、おはようメル」
後ろから突然声をかけたせいか、カムイはとても驚いていた。
「お母様の日記ですか?」
「うん、久しぶりに読みたくなって...」
カムイは大きく息を吸い、私を真っ直ぐ見ながらゆっくりと話しはじめた。
「話すかどうか、ずっと迷ってた。でも...聞いてくれる?」
「はい!」
「...あの男が、姿を現したらしいんだ」
「それって、メアさんのお父さんですか...?」
「うん」
カムイは気まずそうに言った。
「エリックたちが見かけたらしい。どうやらまた何かを仕掛けてくるみたい...」
そう話したあと、カムイは私を強く抱きしめた。
「ごめんね、メル...」
「どうしてカムイが謝るんですか?」
「危ない目には遇わせないって言ったのに、結局俺は...」
「そんなこと言わないでください。私はちゃんと話してもらえて嬉しいです」
私は精一杯笑顔でいることしかできなかった。
(もっと何かできればいいのですが...)
そのとき、カムイの瞳から一筋の涙が零れるのが見えた。
ー**ー
...どうしてこんなに優しいんだろう。
俺は何一つ守れないかもしれないのに。
どうして俺なんかにこんな温かい言葉をくれるのだろうか。
「...!」
気がつくと、俺は泣いてしまっていた。
「...」
メルは俺の腕のなかで小さく息を吸う。
「~♪」
「それ、」
俺はそれ以上何も言えず、黙って聞くことにした。
いつかメルが歌っていたその曲は、俺の心に沁みわたった。
「もしかするとカムイが元気になるんじゃないかなって思ったんですけど...恥ずかしいです」
メルは歌い終わったあと、耳まで真っ赤にして小さく呟いた。
「ありがとう」
「...!」
身体を離すと、メルはとても嬉しそうににこにこ笑っていた。
「なんていう歌なの?」
「たしか...『星屑の彼方へ』です」
「綺麗な曲名だね」
「私はこの歌、好きです」
「メルがよければ、また歌って?」
「はい!」
話せてよかったと、俺は心の底からそう思った。
ー*ー
歌い終わったあと、カムイの目からはもう涙は流れていなかった。
(元気になってくれてよかったです...)
「メル、お願いがあるんだけど...」
「私にできることならなんでもやります」
「もう一度、メアの所へ行きたいんだ」
「分かりました、準備します」
「ありがとう」
このとき、カムイが少しだけ弱々しく見えた。
(私が支えないとです)
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「やあ、ぼうや。どうしたの?」
「俺の大切な人たちを...アイリスを守るために、力をかしてほしい」
メアさんは少し戸惑っている様子だった。
「僕に何ができる?」
「『アイリーンの事件』の資料を集めてほしい」
「やってみるよ」
「ありがとう」
メアさんは即答した。
だが、私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになった。
(メアさんは刑務所の中で、でも情報を手に入れられる...?どういうことでしょう?)
「今日はそれだけだから」
「ぼうや!」
メアさんは祈るような表情でカムイを見ていた。
「自分だけでなんとかしようなんて、思わないでね」
「...まさかきみからそんなことを言われる日がくるとは思ってなかったよ」
カムイとメアさんの仲が、少しだけよくなったような気がした。
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アイリーンの事件を調べるということは...。
「ねえ、ちょっといい?」
僕は別の部屋にいる囚人たちに声をかけた。
(急がないと、時間がないってことだ)
折角ぼうやが僕に頼んでくれたんだ。
できるところまでやってみせよう。
僕は一人そう誓いながら、早速囚人たちの話を聞いた。
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