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One Room-black-
act.4 『2人の秘密』・2(エリック×雪)
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秘密、か。
それほどまでの話ではないが、今本人はいない。
相手にどう思われているのか分からない。
自分は知らないが他人が知る『窓』...。
俺はその『窓』を開いた。
《エリック目線》
「実はカムイは裁縫が得意で...」
○「そうですか」
「という話をしてもつまらないと思うので、あいつが一番隠したがっていることを話そうと思います」
○「...?」
「あいつは、極度の寂しがり屋です」
○「一人でしっかりしているように見えましたが、違うんですか?」
「...実は昔、ぬいぐるみで部屋を埋めつくしておかないと眠れなかったんです」
いつもそうだった。
もし誰かきたらどうしよう。
この前骨を修復した人たちが怒って襲いにきたらどうしよう...。
そんなことを言っていたが、本当は誰よりも孤独を恐れる寂しがり屋なのだ。
「...今はいい顔で笑うようになった」
○「メルさんのお陰でしょうか?」
「それもあると思います」
雪さんは落ち着いた様子で聞いていた。
「俺は、あいつから目が離せません。あいつはすごい奴です。でも、それだけじゃない...」
○「一人で全てを抱えてしまう危うさがある、ですか?」
「どうして分かったんですか?」
○「私の親友もそうだからです」
雪さんは寂しげな瞳で俺の方を見ていた。
○「周りに人がいるのに、人に頼ることをしない。巻きこみたくないからと、全て一人でやろうとする...」
「なんだかカムイに似てます」
○「そうでしたか」
「メルの秘密...秘密というほどのものではありませんが、強いお酒を飲むと、泣きながらすがりついてきます」
○「どういうことですか?」
「話すと長くなるのですが...」
ーーーーーーーーーーーーーーー【回想】ーーーーーーーーーーーーーーー
これは、カムイとある事件を解決したときのこと。
俺は渡された飲み物を飲んだ。
「待て、これは葡萄ジュースなのだが...」
「え!メル、それ飲んじゃ...」
「ふにゃあ...?」
「遅かった」
俺は酒に強い方らしい。
だからこそ、メルが間違えないようにとカムイが渡してくれたはずなのに...。
「メル、気分が悪くなったりしてない?」
「熱い、です...」
「待ってて、水を...」
「いや!いやいやです!」
席を離れようとしたカムイの袖を掴み、離さなくなってしまった。
「...キッチンをかりるぞ」
俺が水をコップに注いでいる間、メルはずっとカムイにすがっていた。
「メル、お水飲めそう?」
「熱いです...」
メルが瞳をうるうるとさせ、カムイを真っ直ぐ見ていた。
カムイは困ったという顔をしながら俺に言った。
「今夜のことは、メルには言わないで」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○「そんなことが...」
「あのあとメルが離したらどこかへ行ってしまうとずっと離してくれなかったそうです」
○「カムイさんは面倒見がいいんですね。そういう所も私の友人そっくりです」
雪さんはくすっと笑っていた。
「...どうやらもう時間のようです」
○「あの、最後にお願いを聞いていただけますか?」
「なんでしょう?」
○「その、呼び捨てで呼んでいただけますか?」
「...雪。俺と友人になってくれますか?」
○「ありがとうございます。それではまた会いましょう。...エリック」
雪は最後に俺のことを呼んで、白い方へ消えていった。
こういうのも悪くない。
俺は黒い部屋をあとにする。
外に出てみると、丁度星々が瞬きはじめた頃だった。
...このあと、カムイたちの質問攻めにあったのは、また別の話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○「カムイさんのお友だちに会いました」
「どんな人だったの?」
○「エリックは真面目な方でした」
▼「楽しかったか?」
○「...また会いたいと思った」
そんなふうに話しているのも、また別の話だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読者様方、こんばんは。
二人の秘密、如何でしたでしょうか?
「意外!」という方もいれば、「ええ!」という方もいらっしゃると思います。
雪本篇のシナリオについて、少しだけ説明しておこうと思います。
雪は、とても真面目です。
とにかく真面目です。
真面目だからこその問題に直面していたりします。
黒羽のお陰で性格は少しずつ明るくなりますが...二人には、とある試練が襲いかかります。
親友である渚も、ちまちま登場します。
興味がある方は是非読んでみてください。
メルが酔っちゃう話、もしリクエストがあれば書こうと思っています。
その他項目のリクエスト・読みたい話のリクエストは随時受付中です。
これからもこの作品をよろしくお願いいたします。
それほどまでの話ではないが、今本人はいない。
相手にどう思われているのか分からない。
自分は知らないが他人が知る『窓』...。
俺はその『窓』を開いた。
《エリック目線》
「実はカムイは裁縫が得意で...」
○「そうですか」
「という話をしてもつまらないと思うので、あいつが一番隠したがっていることを話そうと思います」
○「...?」
「あいつは、極度の寂しがり屋です」
○「一人でしっかりしているように見えましたが、違うんですか?」
「...実は昔、ぬいぐるみで部屋を埋めつくしておかないと眠れなかったんです」
いつもそうだった。
もし誰かきたらどうしよう。
この前骨を修復した人たちが怒って襲いにきたらどうしよう...。
そんなことを言っていたが、本当は誰よりも孤独を恐れる寂しがり屋なのだ。
「...今はいい顔で笑うようになった」
○「メルさんのお陰でしょうか?」
「それもあると思います」
雪さんは落ち着いた様子で聞いていた。
「俺は、あいつから目が離せません。あいつはすごい奴です。でも、それだけじゃない...」
○「一人で全てを抱えてしまう危うさがある、ですか?」
「どうして分かったんですか?」
○「私の親友もそうだからです」
雪さんは寂しげな瞳で俺の方を見ていた。
○「周りに人がいるのに、人に頼ることをしない。巻きこみたくないからと、全て一人でやろうとする...」
「なんだかカムイに似てます」
○「そうでしたか」
「メルの秘密...秘密というほどのものではありませんが、強いお酒を飲むと、泣きながらすがりついてきます」
○「どういうことですか?」
「話すと長くなるのですが...」
ーーーーーーーーーーーーーーー【回想】ーーーーーーーーーーーーーーー
これは、カムイとある事件を解決したときのこと。
俺は渡された飲み物を飲んだ。
「待て、これは葡萄ジュースなのだが...」
「え!メル、それ飲んじゃ...」
「ふにゃあ...?」
「遅かった」
俺は酒に強い方らしい。
だからこそ、メルが間違えないようにとカムイが渡してくれたはずなのに...。
「メル、気分が悪くなったりしてない?」
「熱い、です...」
「待ってて、水を...」
「いや!いやいやです!」
席を離れようとしたカムイの袖を掴み、離さなくなってしまった。
「...キッチンをかりるぞ」
俺が水をコップに注いでいる間、メルはずっとカムイにすがっていた。
「メル、お水飲めそう?」
「熱いです...」
メルが瞳をうるうるとさせ、カムイを真っ直ぐ見ていた。
カムイは困ったという顔をしながら俺に言った。
「今夜のことは、メルには言わないで」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○「そんなことが...」
「あのあとメルが離したらどこかへ行ってしまうとずっと離してくれなかったそうです」
○「カムイさんは面倒見がいいんですね。そういう所も私の友人そっくりです」
雪さんはくすっと笑っていた。
「...どうやらもう時間のようです」
○「あの、最後にお願いを聞いていただけますか?」
「なんでしょう?」
○「その、呼び捨てで呼んでいただけますか?」
「...雪。俺と友人になってくれますか?」
○「ありがとうございます。それではまた会いましょう。...エリック」
雪は最後に俺のことを呼んで、白い方へ消えていった。
こういうのも悪くない。
俺は黒い部屋をあとにする。
外に出てみると、丁度星々が瞬きはじめた頃だった。
...このあと、カムイたちの質問攻めにあったのは、また別の話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○「カムイさんのお友だちに会いました」
「どんな人だったの?」
○「エリックは真面目な方でした」
▼「楽しかったか?」
○「...また会いたいと思った」
そんなふうに話しているのも、また別の話だ。
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読者様方、こんばんは。
二人の秘密、如何でしたでしょうか?
「意外!」という方もいれば、「ええ!」という方もいらっしゃると思います。
雪本篇のシナリオについて、少しだけ説明しておこうと思います。
雪は、とても真面目です。
とにかく真面目です。
真面目だからこその問題に直面していたりします。
黒羽のお陰で性格は少しずつ明るくなりますが...二人には、とある試練が襲いかかります。
親友である渚も、ちまちま登場します。
興味がある方は是非読んでみてください。
メルが酔っちゃう話、もしリクエストがあれば書こうと思っています。
その他項目のリクエスト・読みたい話のリクエストは随時受付中です。
これからもこの作品をよろしくお願いいたします。
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