路地裏のマッチ売りの少女

黒蝶

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Until the day when I get married.-New dark appearance-

第120話

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ー*ー
家に着いてしばらくして、私はカムイに話しかけた。
「あの、カムイ」
「どうしたの?」
「一つ質問なのですが...」
私はずっと疑問だった。
「メアさんのお父さんは、どうして生きているんですか?だって、メアさんのお話だと、メアさんが初めて殺した相手はメアさんのお父さんだって...」
メアさんに会った時、メアさんはたしかに言っていた。
『初めて殺したのは実の父親』...。
それならどうしてあの人は、あの場所にいたのか...疑問に思いつつ、言い出せなかった。
「ごめん、説明してなかったね。実はメアは今、警察に捜査協力してるんだ」
「メアさんがですか?」
「うん。それで、どうしても犯人を捕まえられない連続殺人事件が起こってて...その犯人が残していった武器をエリックがメアに見せたらしいんだ。それでメアが気づいたみたい」
ー**ー
「それなら、メアさんは...」
「そう、父親を殺したつもりだったけど、死んでなかった」
『遺体まで確認していない』というメアの言葉と、全てが一致する特殊武器...そして、俺が集めた情報を照らしあわせた結果、俺が出した答えだ。
「弟子を作るようなタイプじゃなさそうだから、恐らく本人だと思う。歳もメアが言ってたくらいに見えたし...」
メルが不安げな表情をしている。
...そんな顔もさせたくなかったから、黙っていたかった。
俺はいつから、嘘をつくのが下手になったのだろうか。
「...捕まえられないということは、それだけ強い方ということですよね?カムイは、怪我をしていませんか...?」
(そこを心配してたのか)
俺はその言葉に、胸が熱くなった。
怪我なんて日常茶飯事だったのに、平和なんかずっとこないと思っていたのに...メルといると、なんでも叶えられそうな気がする。
「俺は怪我してないよ?ありがとう」
俺はメルを沢山撫でた。
メルは大人しくされるがままになっていた。
俺は唇をメルの唇に重ねた。
「...っ」
そのまま舌をいれて、貪るようにキスをした。
「んっ...んっ...」
「...は、」
しばらくして唇を離すと、メルの真っ赤な顔が視界にはいった。
「ごめん。夢中になっちゃった」
「もう...」
メルはぷくっと頬をふくらませた。
「可愛い」
ー*ー
自分が自分じゃないような感覚。
でも、それは恐怖じゃない。
「なんだか食べられてるみたいです」
「怖かった?」
「いえ、全然怖くなかったです」
(寧ろ、もっとしてほしかったなんて...恥ずかしくて言えません!)
カムイはくすりと笑って、また私の頭を撫でてくれた。
「さて、フェスティバルが中止になるということは...予定が空いたね」
「そう、ですね」
「もしよかったらなんだけど...近々メアの所へ行こうと思っているんだ。今度は一緒にきてくれる?」
「...!はい!」
私の腕をそっと撫でながら、カムイは安心したような表情を浮かべていた。
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「すまない」
俺はメアに頭をさげた。
「僕の方こそ、ごめん」
彼は...メアは寂しげな表情をしている。
「取り逃がしてしまった。俺がもっと早く追いつけていれば、こんなことにはならなかったのに」
「いや、それはないよ。だって...あの人はプロだよ?別にきみが弱いと思ってるわけじゃないけど、あいつは別格だから。正直言って、ぼうやでも太刀打ちできるか分からないんだ。僕がもっとちゃんと説明しておけばよかった」
「メア...」
メアが悪いわけじゃない...なんて言っても、きっと自分を責めるだろう。
「近々、カムイとメルがくるらしい。会ってくれるか?」
「あの二人がくるの?嬉しいな」
そう言うメアの表情は、とても柔らかくなっていた。
「ぼうやには、情報をもっとあげないと...だね。あの子には、何をしたら喜んでもらえるかな?」
「一緒に話をすればいいんじゃないか?」
俺はありきたりなことしか言えない。
いつも歯痒く思うが、俺にはこれ以上できることがない。
「すごいね、きみは。いいお父さんになりそうだ」
「まだ相手もいないがな」
俺はメアとの距離を、少しでも近づけたい。
メアの話し相手に...よければ友人になれればいいと、思っている。
だが、容易ではないだろう。
そう思っていた。
「いつもお話聞かせてくれて、ありがとう」
このとき俺は、メアの笑顔を初めて見たような気がした。
人はやり直せる。
その言葉が嘘にならなかったと、俺は内心嬉しく思った。
「また今度教えてよ。それと...事件について、教えて」
「ああ」
俺は事件のことを分かる範囲で話した。
メアにはまたくると言って、この日は帰った。
カムイたちは、いつくるのだろうか。
そんなことを考えながら、俺は書類を整理した。


ーー気がつくと夕方で、空が泣いているようだった。
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