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Until the day when I get married.-New dark appearance-
第113話
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ー*ー
(しばらくナタリーさんのお店に行けません...!)
私は恥ずかしくなってしまい、最後はナタリーさんと目をあわせることさえできなかった。
「メル?」
「ごめんなさい、ぼうっとしてしまって...」
「...さっきの、流石に恥ずかしかったね」
「はい...」
私もカムイも顔を赤くしたまま、手を繋いできた道を歩いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「今日はどうしようか...」
「ご飯ですか?」
「うん。...キッシュでいいかな?」
「はい!」
カムイが作ってくれるキッシュはとても美味しくて、いつもあっという間に食べ終えてしまう。
「あの、カムイ」
「どうしたの?」
「サマーフェスティバルって、何をするんですか?」
ずっと疑問だった。
イースターのように何かを祝うものなのか、それとも違うものなのか...。
「いつもはない露店が並んでて、楽しく色々なものを買えるんだよ。例えば食べものとか...。あとは射的なんかもあるんじゃないかな」
「射的、ですか?」
(どんなものなのか、想像がつきません...)
「今度、やってみる?」
「え...?」
ー**ー
メルは驚いたような顔でこちらを見ている。
「嫌、かな?」
「いえ、そうではなくて、その...」
メルはそのあと、えっと...とか、あの...とかのあとから言葉が続かなくなってしまっていたので、俺はまとまってからでいいよと言っておいた。
「あと、騎士団の剣舞が綺麗だよ」
「そうなんですね...」
この場所は不思議なことに、警察があるにも関わらず、騎士団が存在する。
普通はどちらかだと思うのだが...。
「騎士団って、どんなお仕事なんですか?」
「うーん...国の偉い人を守るのが騎士団で、街の人たちを守るのが警察かな」
「どちらも大切なお仕事なんですね」
「そうだね」
「でも、私の正義の味方はカムイだけです!」
メルがにこにこしながら突然言ってきたので、俺は油断しきっていた。
「カムイ...?」
俺は妙に照れてしまって、なんて言えばいいのか分からなかった。
ー*ー
私は、言ってはいけないことを言ってしまったのだろうか。
「ごめん、メルが急に可愛いことを言ってくるから驚いちゃって」
「かっ...」
「メル、真っ赤だよ?」
「カムイが急に...むう...」
「ごめんね?」
カムイが優しく頭を撫でてくれた。
...すごく温かかった。
「今日はもう寝ようか。色々あったし...」
「はい!おやすみなさい」
私たちは食事を済ませたあと、すぐに入浴を済ませて眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌朝、私はブレスレットをつけた。
ずっとお守り代わりに持ち歩いているだけだったので、つけるのは久しぶりだ。
(やっぱり綺麗です)
「メル?何してるの?」
「とっても綺麗だなって思って見ていたんです」
太陽の光に反射して、どんな綺麗な宝石よりも輝いているように私には見える。
「それ、気に入ってくれたんだね。もう渡したのが随分前に思えてくるよ」
「カムイと私の大切なものですから」
次の瞬間、私は抱きしめられていた。
「そんなふうに思ってくれて、ありがとう」
「カムイとの思い出は、全部大切です」
ー**ー
俺は嬉しくて泣いてしまいそうだった。
『大切』なんて言われたのは、初めてかもしれない。
俺は、人との関わりを最小限に抑えてきた。
それが正しいと思っていた。
でも、メルはいつもこうして俺に新しい発見をくれる。
俺に愛をくれる。
俺は、その分の愛をちゃんと返せているのだろうか。
「カムイ...」
「ごめん、もう少しだけこのままでもいい?」
「...はい、ぎゅってしててください」
『ぎゅってしててください』なんて可愛いことを言うから、俺はただただ驚くことしかできない。
「メル、ありがとう」
実は俺は、メルに言っていないことがある。
(フェスティバルくらい、メルと普通に過ごしたかったんだけどな...)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メルから離れたあと、俺はとある手紙を取り出す。
『一応伝えておく。
フェスティバルの剣舞を行う騎士団の中に、メアの父親がいる可能性がある。
...捕まえるのは当然俺がやる。
おまえはどうしたい?
決めるのはおまえだ。
メルと楽しむつもりなんだろう?
俺だって、そのくらいちゃんと分かってる。
だが、これを逃せば次いつ現れるか分からない。
ただ、情報が不確かなのも事実だ。
どうするかは当日までに決めてほしい』
(エリック...)
エリックが言いたいことも分かる。
だが、メアとは『俺が捕まえる』と約束したのだ。
...だが、メルを危険な目には遭わせたくない。
(答えは決まってる)
(しばらくナタリーさんのお店に行けません...!)
私は恥ずかしくなってしまい、最後はナタリーさんと目をあわせることさえできなかった。
「メル?」
「ごめんなさい、ぼうっとしてしまって...」
「...さっきの、流石に恥ずかしかったね」
「はい...」
私もカムイも顔を赤くしたまま、手を繋いできた道を歩いた。
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「今日はどうしようか...」
「ご飯ですか?」
「うん。...キッシュでいいかな?」
「はい!」
カムイが作ってくれるキッシュはとても美味しくて、いつもあっという間に食べ終えてしまう。
「あの、カムイ」
「どうしたの?」
「サマーフェスティバルって、何をするんですか?」
ずっと疑問だった。
イースターのように何かを祝うものなのか、それとも違うものなのか...。
「いつもはない露店が並んでて、楽しく色々なものを買えるんだよ。例えば食べものとか...。あとは射的なんかもあるんじゃないかな」
「射的、ですか?」
(どんなものなのか、想像がつきません...)
「今度、やってみる?」
「え...?」
ー**ー
メルは驚いたような顔でこちらを見ている。
「嫌、かな?」
「いえ、そうではなくて、その...」
メルはそのあと、えっと...とか、あの...とかのあとから言葉が続かなくなってしまっていたので、俺はまとまってからでいいよと言っておいた。
「あと、騎士団の剣舞が綺麗だよ」
「そうなんですね...」
この場所は不思議なことに、警察があるにも関わらず、騎士団が存在する。
普通はどちらかだと思うのだが...。
「騎士団って、どんなお仕事なんですか?」
「うーん...国の偉い人を守るのが騎士団で、街の人たちを守るのが警察かな」
「どちらも大切なお仕事なんですね」
「そうだね」
「でも、私の正義の味方はカムイだけです!」
メルがにこにこしながら突然言ってきたので、俺は油断しきっていた。
「カムイ...?」
俺は妙に照れてしまって、なんて言えばいいのか分からなかった。
ー*ー
私は、言ってはいけないことを言ってしまったのだろうか。
「ごめん、メルが急に可愛いことを言ってくるから驚いちゃって」
「かっ...」
「メル、真っ赤だよ?」
「カムイが急に...むう...」
「ごめんね?」
カムイが優しく頭を撫でてくれた。
...すごく温かかった。
「今日はもう寝ようか。色々あったし...」
「はい!おやすみなさい」
私たちは食事を済ませたあと、すぐに入浴を済ませて眠りについた。
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翌朝、私はブレスレットをつけた。
ずっとお守り代わりに持ち歩いているだけだったので、つけるのは久しぶりだ。
(やっぱり綺麗です)
「メル?何してるの?」
「とっても綺麗だなって思って見ていたんです」
太陽の光に反射して、どんな綺麗な宝石よりも輝いているように私には見える。
「それ、気に入ってくれたんだね。もう渡したのが随分前に思えてくるよ」
「カムイと私の大切なものですから」
次の瞬間、私は抱きしめられていた。
「そんなふうに思ってくれて、ありがとう」
「カムイとの思い出は、全部大切です」
ー**ー
俺は嬉しくて泣いてしまいそうだった。
『大切』なんて言われたのは、初めてかもしれない。
俺は、人との関わりを最小限に抑えてきた。
それが正しいと思っていた。
でも、メルはいつもこうして俺に新しい発見をくれる。
俺に愛をくれる。
俺は、その分の愛をちゃんと返せているのだろうか。
「カムイ...」
「ごめん、もう少しだけこのままでもいい?」
「...はい、ぎゅってしててください」
『ぎゅってしててください』なんて可愛いことを言うから、俺はただただ驚くことしかできない。
「メル、ありがとう」
実は俺は、メルに言っていないことがある。
(フェスティバルくらい、メルと普通に過ごしたかったんだけどな...)
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メルから離れたあと、俺はとある手紙を取り出す。
『一応伝えておく。
フェスティバルの剣舞を行う騎士団の中に、メアの父親がいる可能性がある。
...捕まえるのは当然俺がやる。
おまえはどうしたい?
決めるのはおまえだ。
メルと楽しむつもりなんだろう?
俺だって、そのくらいちゃんと分かってる。
だが、これを逃せば次いつ現れるか分からない。
ただ、情報が不確かなのも事実だ。
どうするかは当日までに決めてほしい』
(エリック...)
エリックが言いたいことも分かる。
だが、メアとは『俺が捕まえる』と約束したのだ。
...だが、メルを危険な目には遭わせたくない。
(答えは決まってる)
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