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Until the day when I get married.-New dark appearance-
第105話
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ー*ー
(なんだか眠れなくなってしまいました...)
私はカーテンを開け、朝陽を見つめる。
「綺麗です...」
キラキラと輝くその光景は、いつもよりも特別なものに見えた。
近くの何かに反射して、更に光って見える。
(...!あれって、まさか...。でも、ここにそんなものがあるわけないですよね)
「寝ない悪い子、誰だ?」
後ろから突然温もりがふってくる。
「カムイ!起こしちゃいましたか...?」
「ううん、少し前から起きてたよ」
「そうですか...」
カムイは、大きめのブランケットで包みこむように私を抱きしめている。
「ぽかぽかしてます」
「ん?そう?」
カムイは少しだけ眠そうに控えめな欠伸をした。
「やっぱり、無理をして起きてきたのでは...?」
「ううん、丁度起きようと思ってたところだったし、別にいいんだ。...それにしても、綺麗だね」
「はい!とっても朝陽がキラキラしてます」
「朝陽もだけど...俺は、今目の前にいる人にも言ってるんだけどな...」
「...っ」
はじめは意味に気づかなかったけれど、意味が分かった瞬間恥ずかしくなった。
「それより、何を見てたの?朝陽以外も見てたでしょ?」
「それは...」
いつだってカムイは鋭い。
「あの...あそこに、」
隠しきれそうにもなかったので、私は下を指さしながら言おうとした。
でも、そのときには無くなっていて...。
「あそこに、何?」
「いえ、見間違いだったみたいです」
そうこう話していると、朝食が部屋に運ばれてきた。
(どうしましょう、もしさっきのが見間違いではなかったら...)
ー**ー
メルは、見てはいけないものを見てしまったような顔をしている。
(あの場所に、何かあったのか?)
色々気にはなるものの、折角の旅行をメルと言い争って終わりにしたくなかったので、これ以上は聞かないことにした。
「ベーコン、カリカリです!」
朝食を食べながら、メルがキラキラと目を輝かせている。
(...相変わらず、可愛いな)
「美味しい?」
「はい!」
メルは特に無理をしている様子もなく、にこにこしている。
「でも...」
「?」
「たまにはこういうのもいいですけど、私はやっぱり、カムイと一緒に作ったご飯が一番好きです!」
「...!」
いきなり言われると、心臓に悪い。
メルは顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにもじもじしている。
そんなメルを見ていると、俺まで恥ずかしくなってくる。
「...俺もだよ」
なんて言って照れているのを誤魔化すものの、上手くできたかは自信がない。
俺はいつから、こんなに誤魔化すのが下手になったんだろう。
それとも、相手がメルだからなのだろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺たちは食事を終え、近くの建物をまわってみることにした。
「この雑貨屋さん、可愛いです...!」
俺はメルが喜んでくれそうなお店を、いくつかピックアップしておいた。
「入ってみようか」
「はい!」
ー*ー
ペンにノート、ストラップ...色々なものが置いてある。
「...」
私はふと、さっきのことを思い出した。
「メル?」
「ごめんなさい、なんでも...」
私はカムイに腕をひかれ、狭い路地裏へと私を連れてきた。
「あの...」
次の瞬間、私は抱きしめられていた。
「朝陽以外の、何を見てたの?」
「...!」
「メルがそれを不安に思っているなら、俺がその不安を取り除きたい」
「カムイ...」
話さないことで逆に心配をかけてしまうなら、私は話してしまおうと思った。
「実は、おかしな光り方をしている場所があったんです」
「おかしな光って?」
「例えば、エリックさんが持っている...銃のような鈍い光です」
「...!」
やっぱりカムイは、焦っているような表情をうかべている。
カムイを困らせたくなかったから、私は話さないでおこうと思ったのだ。
「気のせい、ですよね?ごめんなさい...」
「ううん。それは気になるね...。もし本物だったら、見過ごすわけにはいかない」
「どうするんですか?」
「そうだな...メルがいいならだけど、少しだけ調査してもいいかな?」
「はい!」
ー**ー
折角の旅行なのに、こんなことになってしまうとは...。
それを恐れて、メルは言わなかったのだろう。
だが、裏警察としても、俺個人としても...それは見過ごすわけにはいかない。
「どのあたりで光っていたか、覚えてる?」
「多分ですけど...」
メルは眼帯をはずした。
きょろきょろとあたりを見回していたが、ぱっとこちらを向いた。
「ここです!」
その場所は、ホテルからそれほど離れていない道だった。
(こんなことまで分かってしまうのか...)
「でも、カムイに話そうとしたときにはもう光っていませんでした」
...つまり、その物体が動いたということになる。
「メル、ホテルのなかへ戻ろう。多分、すごく危ないけど...」
「大丈夫です!カムイと一緒なので」
俺たちは、ホテルへと戻った。
このあと、俺は少しだけ後悔した。
...この選択は間違っていたのだ。
(なんだか眠れなくなってしまいました...)
私はカーテンを開け、朝陽を見つめる。
「綺麗です...」
キラキラと輝くその光景は、いつもよりも特別なものに見えた。
近くの何かに反射して、更に光って見える。
(...!あれって、まさか...。でも、ここにそんなものがあるわけないですよね)
「寝ない悪い子、誰だ?」
後ろから突然温もりがふってくる。
「カムイ!起こしちゃいましたか...?」
「ううん、少し前から起きてたよ」
「そうですか...」
カムイは、大きめのブランケットで包みこむように私を抱きしめている。
「ぽかぽかしてます」
「ん?そう?」
カムイは少しだけ眠そうに控えめな欠伸をした。
「やっぱり、無理をして起きてきたのでは...?」
「ううん、丁度起きようと思ってたところだったし、別にいいんだ。...それにしても、綺麗だね」
「はい!とっても朝陽がキラキラしてます」
「朝陽もだけど...俺は、今目の前にいる人にも言ってるんだけどな...」
「...っ」
はじめは意味に気づかなかったけれど、意味が分かった瞬間恥ずかしくなった。
「それより、何を見てたの?朝陽以外も見てたでしょ?」
「それは...」
いつだってカムイは鋭い。
「あの...あそこに、」
隠しきれそうにもなかったので、私は下を指さしながら言おうとした。
でも、そのときには無くなっていて...。
「あそこに、何?」
「いえ、見間違いだったみたいです」
そうこう話していると、朝食が部屋に運ばれてきた。
(どうしましょう、もしさっきのが見間違いではなかったら...)
ー**ー
メルは、見てはいけないものを見てしまったような顔をしている。
(あの場所に、何かあったのか?)
色々気にはなるものの、折角の旅行をメルと言い争って終わりにしたくなかったので、これ以上は聞かないことにした。
「ベーコン、カリカリです!」
朝食を食べながら、メルがキラキラと目を輝かせている。
(...相変わらず、可愛いな)
「美味しい?」
「はい!」
メルは特に無理をしている様子もなく、にこにこしている。
「でも...」
「?」
「たまにはこういうのもいいですけど、私はやっぱり、カムイと一緒に作ったご飯が一番好きです!」
「...!」
いきなり言われると、心臓に悪い。
メルは顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにもじもじしている。
そんなメルを見ていると、俺まで恥ずかしくなってくる。
「...俺もだよ」
なんて言って照れているのを誤魔化すものの、上手くできたかは自信がない。
俺はいつから、こんなに誤魔化すのが下手になったんだろう。
それとも、相手がメルだからなのだろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺たちは食事を終え、近くの建物をまわってみることにした。
「この雑貨屋さん、可愛いです...!」
俺はメルが喜んでくれそうなお店を、いくつかピックアップしておいた。
「入ってみようか」
「はい!」
ー*ー
ペンにノート、ストラップ...色々なものが置いてある。
「...」
私はふと、さっきのことを思い出した。
「メル?」
「ごめんなさい、なんでも...」
私はカムイに腕をひかれ、狭い路地裏へと私を連れてきた。
「あの...」
次の瞬間、私は抱きしめられていた。
「朝陽以外の、何を見てたの?」
「...!」
「メルがそれを不安に思っているなら、俺がその不安を取り除きたい」
「カムイ...」
話さないことで逆に心配をかけてしまうなら、私は話してしまおうと思った。
「実は、おかしな光り方をしている場所があったんです」
「おかしな光って?」
「例えば、エリックさんが持っている...銃のような鈍い光です」
「...!」
やっぱりカムイは、焦っているような表情をうかべている。
カムイを困らせたくなかったから、私は話さないでおこうと思ったのだ。
「気のせい、ですよね?ごめんなさい...」
「ううん。それは気になるね...。もし本物だったら、見過ごすわけにはいかない」
「どうするんですか?」
「そうだな...メルがいいならだけど、少しだけ調査してもいいかな?」
「はい!」
ー**ー
折角の旅行なのに、こんなことになってしまうとは...。
それを恐れて、メルは言わなかったのだろう。
だが、裏警察としても、俺個人としても...それは見過ごすわけにはいかない。
「どのあたりで光っていたか、覚えてる?」
「多分ですけど...」
メルは眼帯をはずした。
きょろきょろとあたりを見回していたが、ぱっとこちらを向いた。
「ここです!」
その場所は、ホテルからそれほど離れていない道だった。
(こんなことまで分かってしまうのか...)
「でも、カムイに話そうとしたときにはもう光っていませんでした」
...つまり、その物体が動いたということになる。
「メル、ホテルのなかへ戻ろう。多分、すごく危ないけど...」
「大丈夫です!カムイと一緒なので」
俺たちは、ホテルへと戻った。
このあと、俺は少しだけ後悔した。
...この選択は間違っていたのだ。
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