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Until the day when I get married.-New dark appearance-
第97話
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ー*ー
ここ数日、エリックさんの状態があまりよくないらしい。
カムイが真夜中に何度も起きているのを私は知っている。
(体調が悪いのでしょうか...?)
この日私は、こっそりとカムイの後をついていくことにした。
寝たふりをして、なんとか誤魔化して...カムイが病室の方へ行くと思ったら、外へ出た。
(エリックさんの体調が悪いわけではなかったのでしょうか...?)
不思議に思いながらも、私は後をついていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ついたのは、一件のバー。
「やあ、久しぶり。それで、依頼の内容は?」
「実は...」
一人の美しい女性が、カムイの耳元でひそひそと話している。
私の心には靄がかかった。
(あの方と、仲良しなのでしょうか...)
「んあ?可愛い子だなあ。おじさんの相手をしてくれないかな?」
私は知らない人から声をかけられた。
「ごめんなさい、急いでいるので...」
「そう言わずにさあ!」
「きゃっ...」
怪我が治りきっていない腕を、しっかりと掴まれる。
「離してください...」
「いいからこい!」
「嫌っ...」
その時、とん、と別の誰かの体が私を引きよせる。
「俺の婚約者が、失礼をしたかな?」
ー**ー
いつものように情報収集をしていると、いつも聞いている声がする。
「嫌っ...」
(まさか...メル?)
俺はその人にお礼を言って、声がした方へと足をすすめた。
そこにいたのはやはりメルで。
俺は殴りそうになるのを抑えながら、なんとか相手に話しかけた。
「俺の婚約者が、失礼でもしたかな?」
「誰だおまえ!すっこんでろ!」
「カムイ...」
「あ、『悪魔殺し』⁉ひいっ!」
早速『悪魔殺し』だとバレてしまった俺は、仕方がないのでその男を逮捕することにした。
「これだから酒乱は困る。現行犯だからね」
たまたま警官が夜間の見回りをしている時間帯だったので、俺はその警官に任せることにした。
「カムイ、ごめんなさい...」
メルが泣きそうな声でそう言う。
「どうしてここにいるの?」
「最近、カムイが...夜に起きて何処かに行っているから、エリックさんの体調がよくないんじゃないかなって、そう思って...」
「俺をつけてきた、と」
「...はい」
「それがどれだけ危険なことか、分かってるの?」
「...」
「俺がやっている仕事は、お気楽にできるものじゃない。いつだって死と隣あわせなんだ!だから俺は、メルを危険な目に遭わせたくなくて...」
「...ごめん、なさい」
気がつくと、メルが泣きじゃくっていた。
少し大きな声で言ってしまったようだ。
「ごめん。俺も言いすぎた。でも、俺はメルに怖い思いをさせたくないんだ...。ただし、次からはちゃんと行き先を言うよ」
俺はメルの頭をそっと撫でた。
「...はいっ」
メルは少しだけ元気になったような気がした。
ー*ー
カムイの言うとおりだ。
カムイは私を思って何も言わないでいてくれたのに、私は...。
「これで涙ふいて?」
カムイがハンカチを差し出してくれた。
「ありがとうございます...」
ただ、私の心にはまだ靄が掬っていた。
「メル?他に気になることがあったの?」
「はい...」
「そういえば、どうしてすぐ俺の側にこなかったの?」
「それは...カムイが、女の人と仲良くお話していたからです」
「女の人?誰のこと?」
「え?だって、先程綺麗な女性の方とお話されていたじゃないですか...」
「メル。俺にはそっちの気はないよ」
「...?」
「俺が好きなのはメルだけだし、それに...あの人は男娼婦だよ」
「男の方なんですか⁉」
私が驚いていると、カムイがおかしそうに笑っていた。
「そうだよ。彼はこの近くの色々な建物に出入りしているから...今日も情報をもらっていたんだ」
「そうなんですか...」
私はほっとした。
...何故か、心のなかの靄はなくなった。
「それにしても、メルが嫉妬してくれたのは嬉しいな」
ー**ー
「嫉妬...?」
メルは無自覚のようだ。
「俺が他の女の人と仲良くしていると思ったから、心がもやもやしたんでしょ?」
メルはこくりとうなずく。
「それを嫉妬っていうんだよ」
「嫉妬...」
この地域では、原則として親子間での結婚は認められないものの、他はなんでもありだ。
同性同士、いとこ同士、叔父と姪...最近では兄妹というのも増えていると聞いた。
(メルが嫉妬、か)
...可愛い。
「さあ、今日はもう帰ろうか」
「はい!」
俺はさりげなくメルの手を繋いだ。
そのまま指を絡めて、真っ直ぐ家へと向かう。
「カムイ」
「ん?」
「もう、今日みたいな勝手なことはしません。その代わり...」
「その代わり?」
「怪我しないで、ちゃんと帰ってきてください」
メルらしい願いだと思う。
「うん。でもまあ...今日は帰ったら、取り敢えずメルの手当てをしなおさないとね」
「...ごめんなさい」
「謝らないで?...行こう」
「はい!」
俺たちは再び歩きはじめた。
ここ数日、エリックさんの状態があまりよくないらしい。
カムイが真夜中に何度も起きているのを私は知っている。
(体調が悪いのでしょうか...?)
この日私は、こっそりとカムイの後をついていくことにした。
寝たふりをして、なんとか誤魔化して...カムイが病室の方へ行くと思ったら、外へ出た。
(エリックさんの体調が悪いわけではなかったのでしょうか...?)
不思議に思いながらも、私は後をついていった。
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ついたのは、一件のバー。
「やあ、久しぶり。それで、依頼の内容は?」
「実は...」
一人の美しい女性が、カムイの耳元でひそひそと話している。
私の心には靄がかかった。
(あの方と、仲良しなのでしょうか...)
「んあ?可愛い子だなあ。おじさんの相手をしてくれないかな?」
私は知らない人から声をかけられた。
「ごめんなさい、急いでいるので...」
「そう言わずにさあ!」
「きゃっ...」
怪我が治りきっていない腕を、しっかりと掴まれる。
「離してください...」
「いいからこい!」
「嫌っ...」
その時、とん、と別の誰かの体が私を引きよせる。
「俺の婚約者が、失礼をしたかな?」
ー**ー
いつものように情報収集をしていると、いつも聞いている声がする。
「嫌っ...」
(まさか...メル?)
俺はその人にお礼を言って、声がした方へと足をすすめた。
そこにいたのはやはりメルで。
俺は殴りそうになるのを抑えながら、なんとか相手に話しかけた。
「俺の婚約者が、失礼でもしたかな?」
「誰だおまえ!すっこんでろ!」
「カムイ...」
「あ、『悪魔殺し』⁉ひいっ!」
早速『悪魔殺し』だとバレてしまった俺は、仕方がないのでその男を逮捕することにした。
「これだから酒乱は困る。現行犯だからね」
たまたま警官が夜間の見回りをしている時間帯だったので、俺はその警官に任せることにした。
「カムイ、ごめんなさい...」
メルが泣きそうな声でそう言う。
「どうしてここにいるの?」
「最近、カムイが...夜に起きて何処かに行っているから、エリックさんの体調がよくないんじゃないかなって、そう思って...」
「俺をつけてきた、と」
「...はい」
「それがどれだけ危険なことか、分かってるの?」
「...」
「俺がやっている仕事は、お気楽にできるものじゃない。いつだって死と隣あわせなんだ!だから俺は、メルを危険な目に遭わせたくなくて...」
「...ごめん、なさい」
気がつくと、メルが泣きじゃくっていた。
少し大きな声で言ってしまったようだ。
「ごめん。俺も言いすぎた。でも、俺はメルに怖い思いをさせたくないんだ...。ただし、次からはちゃんと行き先を言うよ」
俺はメルの頭をそっと撫でた。
「...はいっ」
メルは少しだけ元気になったような気がした。
ー*ー
カムイの言うとおりだ。
カムイは私を思って何も言わないでいてくれたのに、私は...。
「これで涙ふいて?」
カムイがハンカチを差し出してくれた。
「ありがとうございます...」
ただ、私の心にはまだ靄が掬っていた。
「メル?他に気になることがあったの?」
「はい...」
「そういえば、どうしてすぐ俺の側にこなかったの?」
「それは...カムイが、女の人と仲良くお話していたからです」
「女の人?誰のこと?」
「え?だって、先程綺麗な女性の方とお話されていたじゃないですか...」
「メル。俺にはそっちの気はないよ」
「...?」
「俺が好きなのはメルだけだし、それに...あの人は男娼婦だよ」
「男の方なんですか⁉」
私が驚いていると、カムイがおかしそうに笑っていた。
「そうだよ。彼はこの近くの色々な建物に出入りしているから...今日も情報をもらっていたんだ」
「そうなんですか...」
私はほっとした。
...何故か、心のなかの靄はなくなった。
「それにしても、メルが嫉妬してくれたのは嬉しいな」
ー**ー
「嫉妬...?」
メルは無自覚のようだ。
「俺が他の女の人と仲良くしていると思ったから、心がもやもやしたんでしょ?」
メルはこくりとうなずく。
「それを嫉妬っていうんだよ」
「嫉妬...」
この地域では、原則として親子間での結婚は認められないものの、他はなんでもありだ。
同性同士、いとこ同士、叔父と姪...最近では兄妹というのも増えていると聞いた。
(メルが嫉妬、か)
...可愛い。
「さあ、今日はもう帰ろうか」
「はい!」
俺はさりげなくメルの手を繋いだ。
そのまま指を絡めて、真っ直ぐ家へと向かう。
「カムイ」
「ん?」
「もう、今日みたいな勝手なことはしません。その代わり...」
「その代わり?」
「怪我しないで、ちゃんと帰ってきてください」
メルらしい願いだと思う。
「うん。でもまあ...今日は帰ったら、取り敢えずメルの手当てをしなおさないとね」
「...ごめんなさい」
「謝らないで?...行こう」
「はい!」
俺たちは再び歩きはじめた。
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