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Until the day when I get engaged. -Of light, ahead of it...-
第85話
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ー**ー
真夜中、通信機の音が鳴った。
「エリック、ちょっと待って」
俺はベッドを抜け出す。
「...いいよ」
『連絡があったようだから、急ぎかと思ってな。どうした?』
「実は...」
俺は男から聞いたことを話した。
勿論、エリックが危ないことも。
『そうか。俺か...』
「だから、少しだけ街を抜け出して、俺たちのところにこない?」
『...邪魔になるだろ』
「別にそうは思わないよ?」
『なら、三日後にそっちへ行く。場所はいつもの所だろう?』
「うん」
『それと、もう一つ話をしよう』
「話...?」
エリックの話を聞いて、俺は燃えあがる怒りを抑えた。
「冗談でもそんなこと言わないで」
『だが、万が一ということもある』
「だから、」
『頼む』
「やめてくれ、お願いだから...」
『その為に準備しておく。もしそうなったら、』
「言うな!」
俺は思わず叫んでしまっていた。
『だが、もしもの備えは必要だろう。その時は、ちゃんと俺のところにおまえがこい。いいな?』
「どうしてそんなこと...」
『そうならないように、最善の努力はする』
「...分かった。もしそうなったら、ちゃんと言われたとおりにする」
『おまえにばかりこんな思いをさせて、すまないな』
エリックとの通信はそこで終わった。
俺が、終わらせた。
聞いていられなくて、エリックの言葉が切なくて。
俺は銀の星のストラップを見つめた。
「カムイ?エリックさんからですか?」
「...うん。三日後にここにくるって」
メルの前では平然を装うことにした。
俺は、最後まで狂わずにいられるだろうか。
ー*ー
なんだかカムイの様子がおかしいような気がしたが、今は聞かないことにした。
「エリックさんが...」
「うん。俺の側にいれば安全でしょ?」
「そうですね」
「メル、もしかして...」
私はカムイに抱きしめられる。
そして、耳許で囁かれた。
「二人きりでいられなくなるの、寂しいって思ってくれた?」
「...!」
(どうして見抜かれてしまったのでしょうか?)
この緊急時に、そんなことは言えない。
だから言わないつもりだった。
困らせてしまうだけだと、ちゃんと分かっているから。
「メル、可愛い」
「可愛くないです」
「顔真っ赤だよ?」
(こういうときのカムイは意地悪です!)
「も、もう寝ましょう!」
「そうだね」
カムイの笑顔が、少しだけ曇っているような気がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌朝、隣にカムイがいなかった。
「カムイ?」
ドアを開けるとしゅっしゅと音がする。
「カム、」
ガキィン!
「あ...あ...」
私の隣には、ナイフが刺さっていた。
「ごめん!メル、大丈夫?」
「ちょっとびっくりしましたけど...大丈夫です」
「手元が狂っちゃって...」
カムイは、何かを決意しているのかもしれない...。
不思議だけど、私はこの時少しだけそう思った。
「今は何も教えてくれなくていいです」
「?」
「でも、危ないことはしないでください。私を...独りにしないでください」
「!」
(我儘を言ってしまいました!)
ー**ー
「ごめんなさい、最後のは忘れてください」
「忘れられるわけないでしょ?」
俺はメルを抱きしめた。
「私は我儘ばかり言って、カムイを困らせたくないんです」
「メル...」
(俺にとっては、ほんのささやかな願いだと思うんだけど)
やはり、メルにとっては違うのだろう。
メルに心配をかけたくない。
「今日の練習はおしまい」
「え...?」
「何か作ろうか!」
「いいんですか、のんびり過ごしても...」
「こういう時こそ平常心だよ?」
「分かりました」
メルは少しだけ複雑そうにしながらも、喜んでくれているようだった。
「久しぶりに、ハンバーグでも作ろうか」
「はい!」
二人でキッチンに立って、料理をする。
俺は、こんなふうに穏やかな日々が続けばいいのにと祈らずにはいられなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(...さて、出発だ)
仕事の引き継ぎを終え、俺は家を出た。
念のため、通信機のスイッチを入れておく。
しばらく歩いていると、目の前に男が現れた。
(やはり、予想どおりの展開になったか)
「すまない、通してくれないか」
「え...?」
「通してくれ、急いでいるんだ」
俺は相手に銃を突きつけた。
「...誰に向かって物言ってんだ、邪魔なゴミが」
パシッ!
「...!」
(しまった、銃が弾きかえされて...)
ゴスッ!
「ぐ...」
どうやら重い何かで殴られたらしい。
「ふふふーん♪邪魔な奴等は僕がお片づけしてあげる♪そろそろ、きみに会いに行くよ!」
(駄目だ、意識が...)
「銃がないと、きみは丸腰だもんね!でも一応...」
「がああああああ!」
どうやら腕をやられたらしい。
ポタポタと血が流れおちる。
「これでよし♪」
(やっぱりこいつは狂ってる...)
だが、幸い体はまだ動く。
片腕も、両足も。
(すまないな、カムイ)
俺は薄れゆく意識のなか、金の星のストラップを握りしめた。
真夜中、通信機の音が鳴った。
「エリック、ちょっと待って」
俺はベッドを抜け出す。
「...いいよ」
『連絡があったようだから、急ぎかと思ってな。どうした?』
「実は...」
俺は男から聞いたことを話した。
勿論、エリックが危ないことも。
『そうか。俺か...』
「だから、少しだけ街を抜け出して、俺たちのところにこない?」
『...邪魔になるだろ』
「別にそうは思わないよ?」
『なら、三日後にそっちへ行く。場所はいつもの所だろう?』
「うん」
『それと、もう一つ話をしよう』
「話...?」
エリックの話を聞いて、俺は燃えあがる怒りを抑えた。
「冗談でもそんなこと言わないで」
『だが、万が一ということもある』
「だから、」
『頼む』
「やめてくれ、お願いだから...」
『その為に準備しておく。もしそうなったら、』
「言うな!」
俺は思わず叫んでしまっていた。
『だが、もしもの備えは必要だろう。その時は、ちゃんと俺のところにおまえがこい。いいな?』
「どうしてそんなこと...」
『そうならないように、最善の努力はする』
「...分かった。もしそうなったら、ちゃんと言われたとおりにする」
『おまえにばかりこんな思いをさせて、すまないな』
エリックとの通信はそこで終わった。
俺が、終わらせた。
聞いていられなくて、エリックの言葉が切なくて。
俺は銀の星のストラップを見つめた。
「カムイ?エリックさんからですか?」
「...うん。三日後にここにくるって」
メルの前では平然を装うことにした。
俺は、最後まで狂わずにいられるだろうか。
ー*ー
なんだかカムイの様子がおかしいような気がしたが、今は聞かないことにした。
「エリックさんが...」
「うん。俺の側にいれば安全でしょ?」
「そうですね」
「メル、もしかして...」
私はカムイに抱きしめられる。
そして、耳許で囁かれた。
「二人きりでいられなくなるの、寂しいって思ってくれた?」
「...!」
(どうして見抜かれてしまったのでしょうか?)
この緊急時に、そんなことは言えない。
だから言わないつもりだった。
困らせてしまうだけだと、ちゃんと分かっているから。
「メル、可愛い」
「可愛くないです」
「顔真っ赤だよ?」
(こういうときのカムイは意地悪です!)
「も、もう寝ましょう!」
「そうだね」
カムイの笑顔が、少しだけ曇っているような気がした。
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翌朝、隣にカムイがいなかった。
「カムイ?」
ドアを開けるとしゅっしゅと音がする。
「カム、」
ガキィン!
「あ...あ...」
私の隣には、ナイフが刺さっていた。
「ごめん!メル、大丈夫?」
「ちょっとびっくりしましたけど...大丈夫です」
「手元が狂っちゃって...」
カムイは、何かを決意しているのかもしれない...。
不思議だけど、私はこの時少しだけそう思った。
「今は何も教えてくれなくていいです」
「?」
「でも、危ないことはしないでください。私を...独りにしないでください」
「!」
(我儘を言ってしまいました!)
ー**ー
「ごめんなさい、最後のは忘れてください」
「忘れられるわけないでしょ?」
俺はメルを抱きしめた。
「私は我儘ばかり言って、カムイを困らせたくないんです」
「メル...」
(俺にとっては、ほんのささやかな願いだと思うんだけど)
やはり、メルにとっては違うのだろう。
メルに心配をかけたくない。
「今日の練習はおしまい」
「え...?」
「何か作ろうか!」
「いいんですか、のんびり過ごしても...」
「こういう時こそ平常心だよ?」
「分かりました」
メルは少しだけ複雑そうにしながらも、喜んでくれているようだった。
「久しぶりに、ハンバーグでも作ろうか」
「はい!」
二人でキッチンに立って、料理をする。
俺は、こんなふうに穏やかな日々が続けばいいのにと祈らずにはいられなかった。
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(...さて、出発だ)
仕事の引き継ぎを終え、俺は家を出た。
念のため、通信機のスイッチを入れておく。
しばらく歩いていると、目の前に男が現れた。
(やはり、予想どおりの展開になったか)
「すまない、通してくれないか」
「え...?」
「通してくれ、急いでいるんだ」
俺は相手に銃を突きつけた。
「...誰に向かって物言ってんだ、邪魔なゴミが」
パシッ!
「...!」
(しまった、銃が弾きかえされて...)
ゴスッ!
「ぐ...」
どうやら重い何かで殴られたらしい。
「ふふふーん♪邪魔な奴等は僕がお片づけしてあげる♪そろそろ、きみに会いに行くよ!」
(駄目だ、意識が...)
「銃がないと、きみは丸腰だもんね!でも一応...」
「がああああああ!」
どうやら腕をやられたらしい。
ポタポタと血が流れおちる。
「これでよし♪」
(やっぱりこいつは狂ってる...)
だが、幸い体はまだ動く。
片腕も、両足も。
(すまないな、カムイ)
俺は薄れゆく意識のなか、金の星のストラップを握りしめた。
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