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Until the day when I get engaged. -Of light, ahead of it...-
第66話
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ー**ー
「メル」
「...」
メルは泣きながら俯いてしまっている。
(俺を庇って大怪我したのに、俺がしおらしくなってどうするんだ)
俺は自分に自分で一喝した。
メルは大声で叫ぶ男が苦手なはずなのに、あんなに勇気を出して俺を守ろうとしてくれた。
だが、俺が謝るとメルは落ちこんでしまう...。
(笑わせられる方法はないだろうか...)
俺は考えに考えながら、ようやく家にたどりつく。
「さっき止血はしたけど、手当てしようか」
メルは小さく頷いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メルのカルテを見ながら、追加で記入しているときに気づいた。
(...前に診察したときにも、この位置に切り傷があったな...)
クリスマスの一件の後診察したとき、メルが父親にやられたのだと言っていたのを思い出す。
「前にも切り傷があったけど...ここはやっぱり痛いよね」
「たしかに痛かったですけど、」
メルが涙をこぼしながら、小さく申し訳なさそうに呟く。
「カムイの方が、痛かったでしょう?」
(傷はそんなに痛まないけど)
「そうだね、心が痛む」
「...?」
俺はメルに口づけをおとす。
「⁉」
「メルが傷つくと、俺の心が痛む」
「私も痛いです。カムイが怪我したら...不安で仕方ないんです」
メルも俺を想ってくれていると、自惚れてもいいだろうか。
「でも、前に約束したでしょ?『無茶しない』って」
「でも...っ、『無茶をするかもしれません』って、ちゃんと言ったじゃないですか」
「そうだったね」
本当に、目が離せない。
メルから離したら終わりだと、俺は自らを咎める。
「じゃあ、今度は約束して?俺も無茶しないように頑張るから、メルも無茶をしないで。もし守れなかったら...」
「...っ」
俺はまだ涙が溢れおちる、メルの頬に舌を這わせる。
(涙って、こんなに甘いものだったか?)
「これくらいじゃ、済ませてあげないからね」
「...っ、はい」
「メル、手を出して」
「こう、ですか?」
我ながら、こんな時に手品が役に立つとは思わなかった。
「はい!」
「わあ...」
メルの掌には、イチゴがたくさんのっている。
(一応成功、かな)
「魔法その二、だよ」
「すごいです!」
メルはキラキラした目でこちらを見ている。
その表情はぱっと明るくなった。
(よかった、ちゃんと笑顔になってくれた)
ー*ー
なにかカムイに、お礼がしたい。
「今日は、イチゴタルトを作りますね」
「ディナーに?」
「あ...」
「ははっ、メルがいいなら俺はなんでもいいよ。メルの作るものはなんでも美味しいから」
カムイが声をあげて笑ってくれた。
その姿を見て、私はすっかり安心した。
「じゃあ、はりきって作りますね」
「無理しないでね。俺がメルの右腕になる」
「カムイだって怪我してますから、無理はダメです」
「えー、俺の方が傷は浅いよ?...メルが守ってくれたから」
「...!」
後ろから抱きしめられる。
カムイはいつも突然で、なかなかなれない。
「か、カムイ...」
「パイは俺が切るから、座ってて?」
そっと頬に触れられる。
私はさっきのことを思い出して、身体の熱があがっていくのを感じた。
「はっ、はい」
先程頬に舌が触れたとき、私は嫌だとは思わなかった。
寧ろ、もっと触れていてほしいと思ってしまった。
(...私は欲張りですね)
「ごめん、紅茶だけ淹れてもらってもいいかな?」
「はい!」
私はいつものようにアールグレイを淹れ、運ぼうとしたが...
「...っ!」
ピリ、と肩に痛みがはしり、落としてしまいそうになった。
「...っと、危ない。怪我はない?」
「大丈夫です。カムイが支えてくれたから、全然平気です」
「運ぶときは俺に言って?紅茶セットって、軽そうに見えて意外と重いから」
そう言ってカムイはにこっと笑ってみせる。
(お、王子様みたいです...)
紅茶を置き、パイを運ぼうとしていたところで私はつい、カムイの袖をつかんでしまっていた。
「メル?」
「カムイはやっぱり、かっこいいです」
ー**ー
急に言われると、心臓に悪い。
「そういうメルは可愛いよ」
「...っ」
俺は負けじと言いかえすような形で思わず言ってしまった。
「カムイ」
「ん?」
メルがどう言ってくれるのかが楽しみで、メルの方を見る。
「...す」
「す?」
「...だ、だだ、大好きですっ!」
「⁉」
そう言っていきなり背中に抱きついてくるものだから、俺は危うくパイを落とすところだった。
ギリギリでテーブルの上にのせ、身体を反転させる。
「嬉しい」
「え?」
「嬉しすぎて、どうすればいいのか分からない」
俺の口からは、いつも以上に素直な言葉が出ていた。
「俺も好きだよ。大好き。...愛してる」
「それ以上言われると、ま、真っ赤になってしまいます...」
「俺の可愛いメルは、いつだって俺をドキドキさせてくるね」
「そんなこと...あ、カムイも真っ赤ですね」
メルがふわふわとした笑顔をうかべながら、熟れたレッドチェリーのように顔を真っ赤にしている。
「俺も真っ赤?」
「はい」
「メルだって真っ赤だよ?」
「やっぱりそうですか...?」
メルは顔をあげて、澄んだ瞳でこちらを見てくる。
(...このままずっと、触れていたい)
「あ、パイが冷めちゃいます。紅茶も...」
「先に食べようか」
「はい!」
メルが食べづらそうだったので、俺はパイをさしたフォークを、メルの顔の前に差し出す。
メルは恥ずかしそうにしながらも、ゆっくりと食べている。
そのあとも二人で色々しながら、いつの間にかソファーの上で眠りについていた。
「メル」
「...」
メルは泣きながら俯いてしまっている。
(俺を庇って大怪我したのに、俺がしおらしくなってどうするんだ)
俺は自分に自分で一喝した。
メルは大声で叫ぶ男が苦手なはずなのに、あんなに勇気を出して俺を守ろうとしてくれた。
だが、俺が謝るとメルは落ちこんでしまう...。
(笑わせられる方法はないだろうか...)
俺は考えに考えながら、ようやく家にたどりつく。
「さっき止血はしたけど、手当てしようか」
メルは小さく頷いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メルのカルテを見ながら、追加で記入しているときに気づいた。
(...前に診察したときにも、この位置に切り傷があったな...)
クリスマスの一件の後診察したとき、メルが父親にやられたのだと言っていたのを思い出す。
「前にも切り傷があったけど...ここはやっぱり痛いよね」
「たしかに痛かったですけど、」
メルが涙をこぼしながら、小さく申し訳なさそうに呟く。
「カムイの方が、痛かったでしょう?」
(傷はそんなに痛まないけど)
「そうだね、心が痛む」
「...?」
俺はメルに口づけをおとす。
「⁉」
「メルが傷つくと、俺の心が痛む」
「私も痛いです。カムイが怪我したら...不安で仕方ないんです」
メルも俺を想ってくれていると、自惚れてもいいだろうか。
「でも、前に約束したでしょ?『無茶しない』って」
「でも...っ、『無茶をするかもしれません』って、ちゃんと言ったじゃないですか」
「そうだったね」
本当に、目が離せない。
メルから離したら終わりだと、俺は自らを咎める。
「じゃあ、今度は約束して?俺も無茶しないように頑張るから、メルも無茶をしないで。もし守れなかったら...」
「...っ」
俺はまだ涙が溢れおちる、メルの頬に舌を這わせる。
(涙って、こんなに甘いものだったか?)
「これくらいじゃ、済ませてあげないからね」
「...っ、はい」
「メル、手を出して」
「こう、ですか?」
我ながら、こんな時に手品が役に立つとは思わなかった。
「はい!」
「わあ...」
メルの掌には、イチゴがたくさんのっている。
(一応成功、かな)
「魔法その二、だよ」
「すごいです!」
メルはキラキラした目でこちらを見ている。
その表情はぱっと明るくなった。
(よかった、ちゃんと笑顔になってくれた)
ー*ー
なにかカムイに、お礼がしたい。
「今日は、イチゴタルトを作りますね」
「ディナーに?」
「あ...」
「ははっ、メルがいいなら俺はなんでもいいよ。メルの作るものはなんでも美味しいから」
カムイが声をあげて笑ってくれた。
その姿を見て、私はすっかり安心した。
「じゃあ、はりきって作りますね」
「無理しないでね。俺がメルの右腕になる」
「カムイだって怪我してますから、無理はダメです」
「えー、俺の方が傷は浅いよ?...メルが守ってくれたから」
「...!」
後ろから抱きしめられる。
カムイはいつも突然で、なかなかなれない。
「か、カムイ...」
「パイは俺が切るから、座ってて?」
そっと頬に触れられる。
私はさっきのことを思い出して、身体の熱があがっていくのを感じた。
「はっ、はい」
先程頬に舌が触れたとき、私は嫌だとは思わなかった。
寧ろ、もっと触れていてほしいと思ってしまった。
(...私は欲張りですね)
「ごめん、紅茶だけ淹れてもらってもいいかな?」
「はい!」
私はいつものようにアールグレイを淹れ、運ぼうとしたが...
「...っ!」
ピリ、と肩に痛みがはしり、落としてしまいそうになった。
「...っと、危ない。怪我はない?」
「大丈夫です。カムイが支えてくれたから、全然平気です」
「運ぶときは俺に言って?紅茶セットって、軽そうに見えて意外と重いから」
そう言ってカムイはにこっと笑ってみせる。
(お、王子様みたいです...)
紅茶を置き、パイを運ぼうとしていたところで私はつい、カムイの袖をつかんでしまっていた。
「メル?」
「カムイはやっぱり、かっこいいです」
ー**ー
急に言われると、心臓に悪い。
「そういうメルは可愛いよ」
「...っ」
俺は負けじと言いかえすような形で思わず言ってしまった。
「カムイ」
「ん?」
メルがどう言ってくれるのかが楽しみで、メルの方を見る。
「...す」
「す?」
「...だ、だだ、大好きですっ!」
「⁉」
そう言っていきなり背中に抱きついてくるものだから、俺は危うくパイを落とすところだった。
ギリギリでテーブルの上にのせ、身体を反転させる。
「嬉しい」
「え?」
「嬉しすぎて、どうすればいいのか分からない」
俺の口からは、いつも以上に素直な言葉が出ていた。
「俺も好きだよ。大好き。...愛してる」
「それ以上言われると、ま、真っ赤になってしまいます...」
「俺の可愛いメルは、いつだって俺をドキドキさせてくるね」
「そんなこと...あ、カムイも真っ赤ですね」
メルがふわふわとした笑顔をうかべながら、熟れたレッドチェリーのように顔を真っ赤にしている。
「俺も真っ赤?」
「はい」
「メルだって真っ赤だよ?」
「やっぱりそうですか...?」
メルは顔をあげて、澄んだ瞳でこちらを見てくる。
(...このままずっと、触れていたい)
「あ、パイが冷めちゃいます。紅茶も...」
「先に食べようか」
「はい!」
メルが食べづらそうだったので、俺はパイをさしたフォークを、メルの顔の前に差し出す。
メルは恥ずかしそうにしながらも、ゆっくりと食べている。
そのあとも二人で色々しながら、いつの間にかソファーの上で眠りについていた。
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