102 / 220
Until the day when I get engaged. -In linear light-
第62話
しおりを挟む
ー*ー
数日後。この日は天気もよく、絶好のイベント日和だった。
「今日はイースター・フェスティバルだね」
「はい!」
私はカムイに選んでもらった衣装に着替える。
着替えて玄関にでると、カムイも着替えていた。
「思ったとおり、よく似合うね」
「あ、ありがとうございます...。カムイもかっこいいですよ」
「ありがとう。...さて、そろそろ行こうか」
「はい!」
春がきたのを知らせるように、あたたかな風がふいていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「わあ...」
町中の人たちがおしゃれをしている。
(人が多いと酔ってしまいそうです...)
「メル、大丈夫?」
「はい、平気です」
カムイに心配をかけたくない。
なので私は、人ごみで酔いそうなことを黙っておくことにした。
「そろそろメインイベントの時間なんだけど...」
周りの人たちが、卵がどうのと言いはじめた。
「はじまったみたい」
「どういうルールなんですか?」
「色がついた卵を見つけるんだ。中身がキャンディーなら外れ、紙が入っていたら当たり。色々と景品がもらえるんだよ」
「そうなんですか?」
(全然知りませんでした...)
「が、頑張ります!」
「そんなに意気ごまなくても大丈夫だよ」
カムイはくすくすと笑いながら、私の手をひいて歩きはじめる。
「絶対に見つかるよ」
ー**ー
メルは一生懸命あたりをキョロキョロ見渡して探している。
「全然ないですね...」
「見つけるのが難しいんだよ」
俺は見つけたことはあるものの、当たりが出たことは一度もない。
「あ!カムイ、あそこにあるのは...」
メルが木の方を指さす。
そこにあったのは、どう考えても鳥の卵ではないような、カラフルな卵。
「メル、よく見つけたね」
「でも、あんなに高いところのものをどうやって...」
「俺に任せて」
俺は木をのぼる。
思っていたより高くなかったため、あっというまにたどりついた。
俺は卵をとり、そのままジャンプして着地した。
「メル、その駕籠の中に入れて?」
「はい!」
メルは優しく卵を入れる。
「今はまだ、割らないんですか?」
「うん。駕籠いっぱいになってから割った方が、効率がいいでしょ?それに、楽しみはあとにとっておきたいんだ」
「なるほど...あ!カムイ、あそこにもあります!」
メルは卵探しを楽しんでくれているようだった。
(楽しそうでよかった。連れてきて正解だったな)
「いっぱい集まりましたね」
「うん、そうだね」
(ん?)
俺は見逃さなかった。
「メル、少し休憩しようか」
「私は平気ですよ?」
俺は人通りがまったくない、路地裏にメルを連れていった。
「カムっ...⁉」
俺はメルの身体を壁に押しつけ、口づけをおとした。
「ちゃんと休まないと、お仕置きするよ?」
ー*ー
結局気を遣わせてしまったと、私はとても反省した。
「ごめんなさい...」
「どうして謝るの?人ごみが苦手だって分かっていたのに、俺も半ば無理やりこさせて無茶をさせちゃったから、ごめんね」
カムイが飲み物を買ってきてくれて、そっと私に差し出してくれる。
「ありがとうございます」
「メルの、一口頂戴?」
「え、あ、はい!」
私のはストロベリー味だったようだ。
カムイのはメロン味のようで、緑色のものだった。
「俺のもあげる」
「ありがとうございます」
とても甘かった。
(...!これってよくよく考えると、間接キ...)
私は頬が熱くなるのを感じた。
「メル⁉どうしたの、もしかして体調悪い?」
「いえ、そうではなくて...」
「!ごめん!」
カムイも真っ赤になる。
「いえ、嫌だったわけではありませんでしたから...」
私は何を言ってるんだろう。
「それより、卵を割ってみようか」
「はい!」
あれから卵を十一個見つけた。
そのなかに当たりは...
ー**ー
「当たりが出た方!どうぞ!」
まさか俺があんなところへ行くことになるとは思わなかった。
「三個も当たりだなんて、メルのおかげだよ。ありがとう」
「いえ、そんな...」
メルと一緒に選びに行く。
「お若いご夫婦ですね」
「ご、ごふっ...」
係員の一言に、メルは顔をリンゴのように赤くしている。
(可愛いな)
「メル、これ好きでしょ?」
「カムイはこれがいいのでは?」
メルは腕時計を選び、俺は髪飾りを選んだ。
そして残りの一つは...
「まさかあんなにいいキッチンセットがあるとは思わなかったよ」
「はい、私もです」
俺たちは微笑みあいながら家路を急ぐ。
家まで帰ると、俺はメルに髪飾りをあげた。
「勿忘草だと思う。たしか、『私を忘れないで』と『永遠の愛』が花言葉だよ」
「永遠の愛、ですか?素敵な花言葉です!ありがとうございます。...カムイはお仕事で時計を使うことが多いのかなって思いましたので、時計にしました。ダメでしたか?」
「いや、すごく嬉しい。ありがとう」
メルはぱあっと明るくなる。
いつものことだが、本当に嬉しくてしかたない。
このまま平和に暮らせたら。
俺は密かにそう願っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「カムイ!」
次の日、朝一で俺の家にきたのはエリックだ。
「エリックさん...?」
「どうしたの、こんな朝早くから」
「...『オークス』が、殺された。しかも明日には話すからと言っていたのにも関わらずだ。残りの連中も全員死亡。それと、これが残されていた」
エリックは一枚のメモを見せてくる。
『やあ、いとしの坊や。坊やに嘘をつく悪いやつは、僕がお片づけしてあげる』
その紙に残されていた言葉。
その紙に入っていた野草の模様。
見間違えるはずがない。
「何故だ。やはりあの男は...」
「カムイ?」
メルが心配そうに俺の手を握ってくれている。
「死体を調べさせてくれるか?」
「あとでここに三人分もってこよう」
エリックは去っていった。
《やあ坊や。可哀想に、ご両親が死んだのかい?でも大丈夫!嘘つきは、僕がお片づけしてあげる》
腕にあったタトゥーと同じもの、間違えるはずがない。
「カムイ、」
「...『呪いの悪夢』」
「え?」
「両親を殺した、張本人だよ」
数日後。この日は天気もよく、絶好のイベント日和だった。
「今日はイースター・フェスティバルだね」
「はい!」
私はカムイに選んでもらった衣装に着替える。
着替えて玄関にでると、カムイも着替えていた。
「思ったとおり、よく似合うね」
「あ、ありがとうございます...。カムイもかっこいいですよ」
「ありがとう。...さて、そろそろ行こうか」
「はい!」
春がきたのを知らせるように、あたたかな風がふいていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「わあ...」
町中の人たちがおしゃれをしている。
(人が多いと酔ってしまいそうです...)
「メル、大丈夫?」
「はい、平気です」
カムイに心配をかけたくない。
なので私は、人ごみで酔いそうなことを黙っておくことにした。
「そろそろメインイベントの時間なんだけど...」
周りの人たちが、卵がどうのと言いはじめた。
「はじまったみたい」
「どういうルールなんですか?」
「色がついた卵を見つけるんだ。中身がキャンディーなら外れ、紙が入っていたら当たり。色々と景品がもらえるんだよ」
「そうなんですか?」
(全然知りませんでした...)
「が、頑張ります!」
「そんなに意気ごまなくても大丈夫だよ」
カムイはくすくすと笑いながら、私の手をひいて歩きはじめる。
「絶対に見つかるよ」
ー**ー
メルは一生懸命あたりをキョロキョロ見渡して探している。
「全然ないですね...」
「見つけるのが難しいんだよ」
俺は見つけたことはあるものの、当たりが出たことは一度もない。
「あ!カムイ、あそこにあるのは...」
メルが木の方を指さす。
そこにあったのは、どう考えても鳥の卵ではないような、カラフルな卵。
「メル、よく見つけたね」
「でも、あんなに高いところのものをどうやって...」
「俺に任せて」
俺は木をのぼる。
思っていたより高くなかったため、あっというまにたどりついた。
俺は卵をとり、そのままジャンプして着地した。
「メル、その駕籠の中に入れて?」
「はい!」
メルは優しく卵を入れる。
「今はまだ、割らないんですか?」
「うん。駕籠いっぱいになってから割った方が、効率がいいでしょ?それに、楽しみはあとにとっておきたいんだ」
「なるほど...あ!カムイ、あそこにもあります!」
メルは卵探しを楽しんでくれているようだった。
(楽しそうでよかった。連れてきて正解だったな)
「いっぱい集まりましたね」
「うん、そうだね」
(ん?)
俺は見逃さなかった。
「メル、少し休憩しようか」
「私は平気ですよ?」
俺は人通りがまったくない、路地裏にメルを連れていった。
「カムっ...⁉」
俺はメルの身体を壁に押しつけ、口づけをおとした。
「ちゃんと休まないと、お仕置きするよ?」
ー*ー
結局気を遣わせてしまったと、私はとても反省した。
「ごめんなさい...」
「どうして謝るの?人ごみが苦手だって分かっていたのに、俺も半ば無理やりこさせて無茶をさせちゃったから、ごめんね」
カムイが飲み物を買ってきてくれて、そっと私に差し出してくれる。
「ありがとうございます」
「メルの、一口頂戴?」
「え、あ、はい!」
私のはストロベリー味だったようだ。
カムイのはメロン味のようで、緑色のものだった。
「俺のもあげる」
「ありがとうございます」
とても甘かった。
(...!これってよくよく考えると、間接キ...)
私は頬が熱くなるのを感じた。
「メル⁉どうしたの、もしかして体調悪い?」
「いえ、そうではなくて...」
「!ごめん!」
カムイも真っ赤になる。
「いえ、嫌だったわけではありませんでしたから...」
私は何を言ってるんだろう。
「それより、卵を割ってみようか」
「はい!」
あれから卵を十一個見つけた。
そのなかに当たりは...
ー**ー
「当たりが出た方!どうぞ!」
まさか俺があんなところへ行くことになるとは思わなかった。
「三個も当たりだなんて、メルのおかげだよ。ありがとう」
「いえ、そんな...」
メルと一緒に選びに行く。
「お若いご夫婦ですね」
「ご、ごふっ...」
係員の一言に、メルは顔をリンゴのように赤くしている。
(可愛いな)
「メル、これ好きでしょ?」
「カムイはこれがいいのでは?」
メルは腕時計を選び、俺は髪飾りを選んだ。
そして残りの一つは...
「まさかあんなにいいキッチンセットがあるとは思わなかったよ」
「はい、私もです」
俺たちは微笑みあいながら家路を急ぐ。
家まで帰ると、俺はメルに髪飾りをあげた。
「勿忘草だと思う。たしか、『私を忘れないで』と『永遠の愛』が花言葉だよ」
「永遠の愛、ですか?素敵な花言葉です!ありがとうございます。...カムイはお仕事で時計を使うことが多いのかなって思いましたので、時計にしました。ダメでしたか?」
「いや、すごく嬉しい。ありがとう」
メルはぱあっと明るくなる。
いつものことだが、本当に嬉しくてしかたない。
このまま平和に暮らせたら。
俺は密かにそう願っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「カムイ!」
次の日、朝一で俺の家にきたのはエリックだ。
「エリックさん...?」
「どうしたの、こんな朝早くから」
「...『オークス』が、殺された。しかも明日には話すからと言っていたのにも関わらずだ。残りの連中も全員死亡。それと、これが残されていた」
エリックは一枚のメモを見せてくる。
『やあ、いとしの坊や。坊やに嘘をつく悪いやつは、僕がお片づけしてあげる』
その紙に残されていた言葉。
その紙に入っていた野草の模様。
見間違えるはずがない。
「何故だ。やはりあの男は...」
「カムイ?」
メルが心配そうに俺の手を握ってくれている。
「死体を調べさせてくれるか?」
「あとでここに三人分もってこよう」
エリックは去っていった。
《やあ坊や。可哀想に、ご両親が死んだのかい?でも大丈夫!嘘つきは、僕がお片づけしてあげる》
腕にあったタトゥーと同じもの、間違えるはずがない。
「カムイ、」
「...『呪いの悪夢』」
「え?」
「両親を殺した、張本人だよ」
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説


【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?

今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる