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Until the day when I get engaged. -In linear light-
第50話
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ー**ー
次の日。
「お、おはようございます」
「うん、おはよう」
メルがそわそわしている。
(楽しみにしてくれてるのか)
「メル、支度して?」
「はい!」
俺は思わず笑みをこぼした。
「ああそうだ、明日の着替えと、ネグリジェも忘れずに入れてね?」
「...?はい。カムイ、」
「どこへ行くのかは着いてからのお楽しみ」
「...むう」
俺は少しむくれているメルの手をひき、馬車へと乗りこむ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「わあ...」
馬車で三時間の位置にある場所...俺がメルを連れてきたのは、海が見えるコテージだ。
「あくまでこのコテージは俺の持ち物だけど...どうかな?旅行に、なったかな?」
「はい!とっても綺麗です!」
「喜んでくれたならよかった」
メルはきょろきょろしている。
それだけ楽しみにしていてくれたのだと思うと、俺まで嬉しくなってくる。
「カムイ、海に行きたいです!」
「今の時季は寒いよ?」
「それでもいいんです」
「分かった。それじゃあ行こうか」
ー*ー
(これが、海...)
実際に来たのは二度めだろうか。
久しぶりにきて、私は興奮していた。
私は靴下を脱いで...
「メル⁉」
バシャバシャと海のなかに入っていく。
「冷たくて気持ちいいです...」
「メル、風邪ひくから」
「カムイも一緒に入りましょうよ!」
「...分かったよ」
カムイも靴下を脱いで、海のなかに入ってくる。
「やっぱり少し冷たいね」
「そうでしょうか...?」
私にとっては、それほど冷たくもなかった。
でも...カムイにとっては冷たいのかもしれない。
(やっぱり、私とカムイでは感覚がずれてますよね)
「メル?」
「いえ、なんでもありません...」
カムイに余計な心配をかけるわけにはいかない。
私は押し黙った。
「ひゃっ⁉」
突然、顔に水がかかった。
「ははっ、これはね、水鉄砲っていうんだ。こうやって...」
カムイにやり方を教えてもらってから、私もやってみる。
「えいっ」
「うわっ⁉」
私はカムイの顔めがけて水鉄砲を発射する。
「さっきの、おかえしです...」
ー**ー
ささやかな仕返し。
それがどうしようもなく可愛くて。
「ごめんね」
よしよしと頭を撫でる。
先程まで何故か元気がなかったメルを、なんとか笑顔にしたくて、俺は水鉄砲を教えたのだ。
「暗くなるし、そろそろ帰ろうか」
「はい」
「今日はコテージにお泊まりだよ」
「お泊まりですか?」
メルはきょとんとしている。
(まさか...)
「明日の着替えは...」
「ありますよ、朝カムイに言われたとおり、ちゃんと入れましたから」
「ならよかった。取り敢えず...」
「きゃっ⁉」
ー*ー
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
カムイの顔がすぐ近くにあり、身体の密着度合いから、ようやく横抱きにされたのだと分かった。
「か、カムイ...」
「濡れてるでしょ?いいからじっとしてて」
まるで絵本に出てくるお姫様のように、丁寧に運んでくれる。
「ありがとうございます...。さ、先にお風呂に入りますね!」
なんだか恥ずかしくなって、私はすぐにバスルームへと走る。
(カムイとどんな顔をして会えばいいのか分かりません...)
私は浴槽に頭まではいった。
ー**ー
恥ずかしがるメルも可愛い、なんて思いつつ、俺は夕食の準備をすすめる。
(今日はシチューがいいかな)
俺はそんな呑気にそんなことを考えながら調理していた。
三十分たったが、メルが出てこない。
「メル?入るよ...」
俺はそっとバスルームの扉を開いてみると...
「メル⁉」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メルはのぼせていた。
俺は急いでメルにバスローブを着せ、ベッドまで運ぶ。
「メル...」
俺が名前を呼ぶと、メルが目を開ける。
「カムイ...?」
「大丈夫?」
「はい...。少しだけ、寝てもいいですか?」
「いいけど、俺は別の部屋にいるから着替えて?」
「...!ごめんなさい!」
俺は部屋から出て、ほっと息をつく。
それから、再びシチュー作りを再開した。
ー*ー
またカムイに、迷惑をかけてしまった。
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、襲いくる睡魔には勝てない。
(ダメです...。少しだけ寝ましょう)
私はいつの間にか眠りについていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「...ル」
「ん...」
「メル」
「んんっ...」
「メル、ご飯だよ」
私はあわてて目を開ける。
目の前に、カムイの顔があった。
「ごめんなさい!」
「いや、謝らなくていいんだけど...。具合は大丈夫?」
「はい!もう元気です!」
「それなら、夕食を食べたあとで、少しだけ星をみようか」
「星、ですか?」
「うん。今日は特別だから」
特別とは、一体どういう意味なんだろうか...。
そんなことを考えながら、私はカムイを追って、リビングへと向かった。
次の日。
「お、おはようございます」
「うん、おはよう」
メルがそわそわしている。
(楽しみにしてくれてるのか)
「メル、支度して?」
「はい!」
俺は思わず笑みをこぼした。
「ああそうだ、明日の着替えと、ネグリジェも忘れずに入れてね?」
「...?はい。カムイ、」
「どこへ行くのかは着いてからのお楽しみ」
「...むう」
俺は少しむくれているメルの手をひき、馬車へと乗りこむ。
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「わあ...」
馬車で三時間の位置にある場所...俺がメルを連れてきたのは、海が見えるコテージだ。
「あくまでこのコテージは俺の持ち物だけど...どうかな?旅行に、なったかな?」
「はい!とっても綺麗です!」
「喜んでくれたならよかった」
メルはきょろきょろしている。
それだけ楽しみにしていてくれたのだと思うと、俺まで嬉しくなってくる。
「カムイ、海に行きたいです!」
「今の時季は寒いよ?」
「それでもいいんです」
「分かった。それじゃあ行こうか」
ー*ー
(これが、海...)
実際に来たのは二度めだろうか。
久しぶりにきて、私は興奮していた。
私は靴下を脱いで...
「メル⁉」
バシャバシャと海のなかに入っていく。
「冷たくて気持ちいいです...」
「メル、風邪ひくから」
「カムイも一緒に入りましょうよ!」
「...分かったよ」
カムイも靴下を脱いで、海のなかに入ってくる。
「やっぱり少し冷たいね」
「そうでしょうか...?」
私にとっては、それほど冷たくもなかった。
でも...カムイにとっては冷たいのかもしれない。
(やっぱり、私とカムイでは感覚がずれてますよね)
「メル?」
「いえ、なんでもありません...」
カムイに余計な心配をかけるわけにはいかない。
私は押し黙った。
「ひゃっ⁉」
突然、顔に水がかかった。
「ははっ、これはね、水鉄砲っていうんだ。こうやって...」
カムイにやり方を教えてもらってから、私もやってみる。
「えいっ」
「うわっ⁉」
私はカムイの顔めがけて水鉄砲を発射する。
「さっきの、おかえしです...」
ー**ー
ささやかな仕返し。
それがどうしようもなく可愛くて。
「ごめんね」
よしよしと頭を撫でる。
先程まで何故か元気がなかったメルを、なんとか笑顔にしたくて、俺は水鉄砲を教えたのだ。
「暗くなるし、そろそろ帰ろうか」
「はい」
「今日はコテージにお泊まりだよ」
「お泊まりですか?」
メルはきょとんとしている。
(まさか...)
「明日の着替えは...」
「ありますよ、朝カムイに言われたとおり、ちゃんと入れましたから」
「ならよかった。取り敢えず...」
「きゃっ⁉」
ー*ー
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
カムイの顔がすぐ近くにあり、身体の密着度合いから、ようやく横抱きにされたのだと分かった。
「か、カムイ...」
「濡れてるでしょ?いいからじっとしてて」
まるで絵本に出てくるお姫様のように、丁寧に運んでくれる。
「ありがとうございます...。さ、先にお風呂に入りますね!」
なんだか恥ずかしくなって、私はすぐにバスルームへと走る。
(カムイとどんな顔をして会えばいいのか分かりません...)
私は浴槽に頭まではいった。
ー**ー
恥ずかしがるメルも可愛い、なんて思いつつ、俺は夕食の準備をすすめる。
(今日はシチューがいいかな)
俺はそんな呑気にそんなことを考えながら調理していた。
三十分たったが、メルが出てこない。
「メル?入るよ...」
俺はそっとバスルームの扉を開いてみると...
「メル⁉」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メルはのぼせていた。
俺は急いでメルにバスローブを着せ、ベッドまで運ぶ。
「メル...」
俺が名前を呼ぶと、メルが目を開ける。
「カムイ...?」
「大丈夫?」
「はい...。少しだけ、寝てもいいですか?」
「いいけど、俺は別の部屋にいるから着替えて?」
「...!ごめんなさい!」
俺は部屋から出て、ほっと息をつく。
それから、再びシチュー作りを再開した。
ー*ー
またカムイに、迷惑をかけてしまった。
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、襲いくる睡魔には勝てない。
(ダメです...。少しだけ寝ましょう)
私はいつの間にか眠りについていた。
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「...ル」
「ん...」
「メル」
「んんっ...」
「メル、ご飯だよ」
私はあわてて目を開ける。
目の前に、カムイの顔があった。
「ごめんなさい!」
「いや、謝らなくていいんだけど...。具合は大丈夫?」
「はい!もう元気です!」
「それなら、夕食を食べたあとで、少しだけ星をみようか」
「星、ですか?」
「うん。今日は特別だから」
特別とは、一体どういう意味なんだろうか...。
そんなことを考えながら、私はカムイを追って、リビングへと向かった。
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