路地裏のマッチ売りの少女

黒蝶

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Until the day when I get engaged. -In linear light-

第47話

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ー**ー
数日後、エリックが家にきた。
「メルはまだ寝てるから...。それで?こんな朝早くから何の用事?」
「これをなんとか組み立ててもらえないだろうか」
一つの大きな箱が運ばれてくる...。
「これは、」
「彼女に見せたくないだろうと思ったのだが、どうにも俺では修復できそうにない。頼めるか、カムイ」
「何日かかってもいいの?」
「できるだけ早めに頼む」
「了解」
エリックが帰ったあと、俺は急いでそれを使っていない部屋に運んだ。
(これだけ粉々だと...)
手間取りそうだと思っていると、メルの声がする。
「カムイ?」
ー*ー
カムイがいない。
どこかに出掛けてしまったのだろうか。
「カムイ...?」
すると、突然視界が暗くなる。
「誰でしょう?」
その声は、毎日聞いているもので。
「カムイ!」
「正解」
カムイは腕を解くと、私の前に回りこんでくる。
「おはよう」
「おはようございます」
私はいつものようにキッチンに立つ。
「俺も手伝うよ」
カムイがなれた手つきで包丁を持ち、ニンジンをみじん切りにしていく。
こういう二人で料理する時間も、私は好きだ。
突然カムイの手が止まった。
「カムイ?」
「ごめん、なんでもないよ。ああそうだ、あの奥の部屋には近づいちゃダメだよ」
「どうしてですか?」
「それはね...お化けが出てくるからだよ」
ー**ー
...もう少しマシな言い訳はなかったのだろうか。
流石にメルでもこんな話は信じないだろう。
そう思っていると...
「お、お化けさんですか...?」
純真無垢なメルは完全に信じてしまったらしく、ガタガタと身体を震わせている。
俺は包丁をおき、メルの手を握った。
「大丈夫だよ、部屋に近づかなかったらイタズラはしないって言ってたよ。それに、数日したら出ていくって」
ここまでくればやけくそだ。
「そうなんですか?いいお化けさんなんですね...。分かりました。あのお部屋には近づきません」
「ありがとう」
...ごめん、メル。
でも、あんなものをきみに見せるわけにはいかない。
あのグロいものを見るのは、俺だけでいい。
(作業はメルが寝てから始めるか)
ー*ー
「おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
私はいつものように眠る。
いつの間にか朝になり、今日もいつもどおりの日々を...
「おはようございます、カムイ...⁉そのクマはどうしたんですか?」
「ああメル、おはよう。なんでもないよ」
なんでもないという感じではなかったが、何も聞かないことにした。
それから数日後、明らかにカムイの様子がおかしかった。
朝食を作っていると、野菜を指も一緒に切りそうになったり、顔色が酷かったり。
(体調が悪いのでしょうか?)
朝食を食べたあと、私は思いきって言ってみた。
「カムイ、お願いがあります」
「なに?」
「お、お昼寝してください」
ー**ー
いきなりの提案に俺は驚いた。
(お昼寝って...)
俺は思わず笑ってしまう。
「し、真剣に言ってるんです」
ぷうっと頬をふくらませるメルがすごく可愛くて。
「いいけど...条件があります」
「な、なんでしょうか?」
「メル、膝かして」
「えっ...」
動揺するメルをよそに、俺はメルの膝の上に頭をのせる。
「カムイ...っ」
「ん...?」
「これで眠れるんですか?」
「うん。メルがいるから」
「...!それなら我慢します」
「ありがとう」
俺は幸福者だな...といつも思う。
こんなに可愛い恋人がいて、それなりに仕事もして。
このままずっと、こんな穏やかな日々が続きますように...。
そんならしくもないことを考えながら、重い瞼を閉じた。
ー*ー
(...は、恥ずかしいです!)
私は寝ているカムイの頭をそっと撫でる。
髪がとてもサラサラで、とても綺麗だった。
寝顔はとても穏やかで、少し安心した。
(あ...。このままでは風邪をひいてしまいます)
私は近くにあったブランケットをなんとかとって、カムイを起こさないようにそっとかける。
カムイはにこにこしていて、とても幸せそうだ。
(よかったです...ちゃんと寝てくれて)
私もうつらうつらしていたのだが、いつの間にか眠ってしまっていた。
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「ん...」
私が起きると、膝がとても温かかった。
(カムイ、まだ寝ています)
もしかすると夜、何かしていたのだろうか?
色々気になるが、直接聞いても答えてもらえないような気がした。
(どうしましょう...。ノートに書いてもなんでもないと言われそうですし...)
色々考えた結果、あることを思いついた。
「これしかありません!」
「...何がこれしかないの?」
「カムイ!ごめんなさい、起こしましたか...?」
「ううん、さっき起きたばかりだよ。メルのお陰でよく眠れたよ。ありがとう」
カムイは起きあがって私の頭を撫でてくれる。
ソファーが少しだけ揺れて、カムイが立ち上がる。
「ご飯作らないとね」
「はい!」
私はあくまでいつものように振る舞う。
(今夜、やってみましょう!)
心のなかで勝手にそう決心した。
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