87 / 220
Until the day when I get engaged. -In linear light-
第47話
しおりを挟む
ー**ー
数日後、エリックが家にきた。
「メルはまだ寝てるから...。それで?こんな朝早くから何の用事?」
「これをなんとか組み立ててもらえないだろうか」
一つの大きな箱が運ばれてくる...。
「これは、」
「彼女に見せたくないだろうと思ったのだが、どうにも俺では修復できそうにない。頼めるか、カムイ」
「何日かかってもいいの?」
「できるだけ早めに頼む」
「了解」
エリックが帰ったあと、俺は急いでそれを使っていない部屋に運んだ。
(これだけ粉々だと...)
手間取りそうだと思っていると、メルの声がする。
「カムイ?」
ー*ー
カムイがいない。
どこかに出掛けてしまったのだろうか。
「カムイ...?」
すると、突然視界が暗くなる。
「誰でしょう?」
その声は、毎日聞いているもので。
「カムイ!」
「正解」
カムイは腕を解くと、私の前に回りこんでくる。
「おはよう」
「おはようございます」
私はいつものようにキッチンに立つ。
「俺も手伝うよ」
カムイがなれた手つきで包丁を持ち、ニンジンをみじん切りにしていく。
こういう二人で料理する時間も、私は好きだ。
突然カムイの手が止まった。
「カムイ?」
「ごめん、なんでもないよ。ああそうだ、あの奥の部屋には近づいちゃダメだよ」
「どうしてですか?」
「それはね...お化けが出てくるからだよ」
ー**ー
...もう少しマシな言い訳はなかったのだろうか。
流石にメルでもこんな話は信じないだろう。
そう思っていると...
「お、お化けさんですか...?」
純真無垢なメルは完全に信じてしまったらしく、ガタガタと身体を震わせている。
俺は包丁をおき、メルの手を握った。
「大丈夫だよ、部屋に近づかなかったらイタズラはしないって言ってたよ。それに、数日したら出ていくって」
ここまでくればやけくそだ。
「そうなんですか?いいお化けさんなんですね...。分かりました。あのお部屋には近づきません」
「ありがとう」
...ごめん、メル。
でも、あんなものをきみに見せるわけにはいかない。
あのグロいものを見るのは、俺だけでいい。
(作業はメルが寝てから始めるか)
ー*ー
「おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
私はいつものように眠る。
いつの間にか朝になり、今日もいつもどおりの日々を...
「おはようございます、カムイ...⁉そのクマはどうしたんですか?」
「ああメル、おはよう。なんでもないよ」
なんでもないという感じではなかったが、何も聞かないことにした。
それから数日後、明らかにカムイの様子がおかしかった。
朝食を作っていると、野菜を指も一緒に切りそうになったり、顔色が酷かったり。
(体調が悪いのでしょうか?)
朝食を食べたあと、私は思いきって言ってみた。
「カムイ、お願いがあります」
「なに?」
「お、お昼寝してください」
ー**ー
いきなりの提案に俺は驚いた。
(お昼寝って...)
俺は思わず笑ってしまう。
「し、真剣に言ってるんです」
ぷうっと頬をふくらませるメルがすごく可愛くて。
「いいけど...条件があります」
「な、なんでしょうか?」
「メル、膝かして」
「えっ...」
動揺するメルをよそに、俺はメルの膝の上に頭をのせる。
「カムイ...っ」
「ん...?」
「これで眠れるんですか?」
「うん。メルがいるから」
「...!それなら我慢します」
「ありがとう」
俺は幸福者だな...といつも思う。
こんなに可愛い恋人がいて、それなりに仕事もして。
このままずっと、こんな穏やかな日々が続きますように...。
そんならしくもないことを考えながら、重い瞼を閉じた。
ー*ー
(...は、恥ずかしいです!)
私は寝ているカムイの頭をそっと撫でる。
髪がとてもサラサラで、とても綺麗だった。
寝顔はとても穏やかで、少し安心した。
(あ...。このままでは風邪をひいてしまいます)
私は近くにあったブランケットをなんとかとって、カムイを起こさないようにそっとかける。
カムイはにこにこしていて、とても幸せそうだ。
(よかったです...ちゃんと寝てくれて)
私もうつらうつらしていたのだが、いつの間にか眠ってしまっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ん...」
私が起きると、膝がとても温かかった。
(カムイ、まだ寝ています)
もしかすると夜、何かしていたのだろうか?
色々気になるが、直接聞いても答えてもらえないような気がした。
(どうしましょう...。ノートに書いてもなんでもないと言われそうですし...)
色々考えた結果、あることを思いついた。
「これしかありません!」
「...何がこれしかないの?」
「カムイ!ごめんなさい、起こしましたか...?」
「ううん、さっき起きたばかりだよ。メルのお陰でよく眠れたよ。ありがとう」
カムイは起きあがって私の頭を撫でてくれる。
ソファーが少しだけ揺れて、カムイが立ち上がる。
「ご飯作らないとね」
「はい!」
私はあくまでいつものように振る舞う。
(今夜、やってみましょう!)
心のなかで勝手にそう決心した。
数日後、エリックが家にきた。
「メルはまだ寝てるから...。それで?こんな朝早くから何の用事?」
「これをなんとか組み立ててもらえないだろうか」
一つの大きな箱が運ばれてくる...。
「これは、」
「彼女に見せたくないだろうと思ったのだが、どうにも俺では修復できそうにない。頼めるか、カムイ」
「何日かかってもいいの?」
「できるだけ早めに頼む」
「了解」
エリックが帰ったあと、俺は急いでそれを使っていない部屋に運んだ。
(これだけ粉々だと...)
手間取りそうだと思っていると、メルの声がする。
「カムイ?」
ー*ー
カムイがいない。
どこかに出掛けてしまったのだろうか。
「カムイ...?」
すると、突然視界が暗くなる。
「誰でしょう?」
その声は、毎日聞いているもので。
「カムイ!」
「正解」
カムイは腕を解くと、私の前に回りこんでくる。
「おはよう」
「おはようございます」
私はいつものようにキッチンに立つ。
「俺も手伝うよ」
カムイがなれた手つきで包丁を持ち、ニンジンをみじん切りにしていく。
こういう二人で料理する時間も、私は好きだ。
突然カムイの手が止まった。
「カムイ?」
「ごめん、なんでもないよ。ああそうだ、あの奥の部屋には近づいちゃダメだよ」
「どうしてですか?」
「それはね...お化けが出てくるからだよ」
ー**ー
...もう少しマシな言い訳はなかったのだろうか。
流石にメルでもこんな話は信じないだろう。
そう思っていると...
「お、お化けさんですか...?」
純真無垢なメルは完全に信じてしまったらしく、ガタガタと身体を震わせている。
俺は包丁をおき、メルの手を握った。
「大丈夫だよ、部屋に近づかなかったらイタズラはしないって言ってたよ。それに、数日したら出ていくって」
ここまでくればやけくそだ。
「そうなんですか?いいお化けさんなんですね...。分かりました。あのお部屋には近づきません」
「ありがとう」
...ごめん、メル。
でも、あんなものをきみに見せるわけにはいかない。
あのグロいものを見るのは、俺だけでいい。
(作業はメルが寝てから始めるか)
ー*ー
「おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
私はいつものように眠る。
いつの間にか朝になり、今日もいつもどおりの日々を...
「おはようございます、カムイ...⁉そのクマはどうしたんですか?」
「ああメル、おはよう。なんでもないよ」
なんでもないという感じではなかったが、何も聞かないことにした。
それから数日後、明らかにカムイの様子がおかしかった。
朝食を作っていると、野菜を指も一緒に切りそうになったり、顔色が酷かったり。
(体調が悪いのでしょうか?)
朝食を食べたあと、私は思いきって言ってみた。
「カムイ、お願いがあります」
「なに?」
「お、お昼寝してください」
ー**ー
いきなりの提案に俺は驚いた。
(お昼寝って...)
俺は思わず笑ってしまう。
「し、真剣に言ってるんです」
ぷうっと頬をふくらませるメルがすごく可愛くて。
「いいけど...条件があります」
「な、なんでしょうか?」
「メル、膝かして」
「えっ...」
動揺するメルをよそに、俺はメルの膝の上に頭をのせる。
「カムイ...っ」
「ん...?」
「これで眠れるんですか?」
「うん。メルがいるから」
「...!それなら我慢します」
「ありがとう」
俺は幸福者だな...といつも思う。
こんなに可愛い恋人がいて、それなりに仕事もして。
このままずっと、こんな穏やかな日々が続きますように...。
そんならしくもないことを考えながら、重い瞼を閉じた。
ー*ー
(...は、恥ずかしいです!)
私は寝ているカムイの頭をそっと撫でる。
髪がとてもサラサラで、とても綺麗だった。
寝顔はとても穏やかで、少し安心した。
(あ...。このままでは風邪をひいてしまいます)
私は近くにあったブランケットをなんとかとって、カムイを起こさないようにそっとかける。
カムイはにこにこしていて、とても幸せそうだ。
(よかったです...ちゃんと寝てくれて)
私もうつらうつらしていたのだが、いつの間にか眠ってしまっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ん...」
私が起きると、膝がとても温かかった。
(カムイ、まだ寝ています)
もしかすると夜、何かしていたのだろうか?
色々気になるが、直接聞いても答えてもらえないような気がした。
(どうしましょう...。ノートに書いてもなんでもないと言われそうですし...)
色々考えた結果、あることを思いついた。
「これしかありません!」
「...何がこれしかないの?」
「カムイ!ごめんなさい、起こしましたか...?」
「ううん、さっき起きたばかりだよ。メルのお陰でよく眠れたよ。ありがとう」
カムイは起きあがって私の頭を撫でてくれる。
ソファーが少しだけ揺れて、カムイが立ち上がる。
「ご飯作らないとね」
「はい!」
私はあくまでいつものように振る舞う。
(今夜、やってみましょう!)
心のなかで勝手にそう決心した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
96
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる