クラシオン

黒蝶

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reboot

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「え...?」
彼女の傷の深さは計り知れない。
だが、もしこの場所で彼女が彼女自身でいられるのなら手助けしよう。
「あなたは深く傷つきすぎて、本当は自分がどうしたいのか分からなくなってしまっている。
もし他に居場所がないと感じているなら、この場所に来てください。ここには、あなたを傷つける人は入れませんから」
「どうしてそんなこと...」
「不思議なことに、そういう仕組みになっているみたいなんだ。この店を創ったのは俺じゃないから分からないけど、たとえそんな相手が来たとしても追い出せる」
いきなりこんなことを言われても、相手は半信半疑だろう。
ただ、それが自分にとっての真実なのだ。
「自分なんかと考えているなら、ここで自分の気持ちを探せばいい。
頑張れなんて言わないから、ただここでお茶を飲んで休憩する時間をとるのは難しいかな?」
「私が、休憩...?してもいいんですか?」
「君は頑張って働きすぎている。やっている本人が楽しんでいるならいいけど、そうじゃないならもっと自分を大切にした方がいい」
頑張っても周りから正当な評価を受けないことは、なんて哀しいことなのだろう。
いっぱいいっぱいになるまで頑張っているのに、何故誰もそこを評価しないのか気になる。
見えないところで沢山頑張っている人がいるからこそ、この社会は回っていくのだ。
「君と同じように、必死で家のことをやっているお客様がいらっしゃったことがあったんだ。
その人はただ一言、もう疲れたって言ってた。...家事って大変なのに、無給だから頑張りが見えづらい。
でも、俺は君がすごく頑張っているのを知った。だから、また辛くなったときはここに逃げてきていいんだよ」
上手く言葉で表現できないが、少女の心が少しでも明るさを取り戻してくれればいい。
そう思っていると、彼女はまた泣きはじめてしまった。
「ありがとう、ございます。多分、私は...誰かに認めてほしかったんです。でも、自分が頑張ってるかどうかなんて、自分じゃ分からないから...」
「大丈夫。君は頑張りすぎくらい頑張ってるよ」
泣きじゃくる少女にもう1度飲み物を淹れ、ゆっくり飲むようにすすめる。
全ては無理でも、少しでも傷が癒えてくれればいい...心からそう思った。
砂時計の砂はとてつもなくゆっくりしか落ちなかったもののなんとか落ちきり、彼女は帰っていく。
「ありがとうございました」
あの人にはまだまだ及ばないが、誰かの力になりたい。
『大丈夫。──は人の心を理解しようと努めているから、いつか俺を越えられるよ』
...あなたはそう言っていたけど、俺はまだまだ超えられないと思っています。
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