25 / 27
その他
涙とアイスと・2
しおりを挟む
「柚」
「おはよう、おじいちゃん」
おじいちゃんとの暮らしは平和だ。
勿論家事は全部自分でやっているし料理は当番制だけど、全く苦にならない。
宿題だって終わらせたし、なによりあの言葉を言われずにすむのはとてもいい。
「柚はよく手伝ってくれるんだな」
「おじいちゃんと色々するの、楽しい」
「そうか」
おじいちゃんはあまり口数が多い方ではないけど、私が嫌がっていないか必ず確認してくれる。
──だからか。ここにいていいんだって安心できるのは。
「今日は買い物行くか」
「いいの?」
「みっつまでなら好きなもの買っていいぞ」
「ありがとう」
本当は疲れているだろうに、今日もこうして私を連れ出してくれる。
何を買おうかと化粧品や雑貨を見ていると、おじいちゃんが店員さんに何かを尋ねていた。
私に聞かれたくないことかもしれないからと離れていたけど、用が済んだのかかごを持ってこっちに歩いてくる。
「決まったか?」
「こっちは自分で買うから、この本とシャーペン買ってもいい?」
「これだけでいいのか?」
「あとは使っているものがあるから」
すると、おじいちゃんは私が持っていた化粧品もかごに入れるよう言い、そのまま買ってくれた。
「よかったの?」
「みっつまでと言っただろう」
「ありがとう」
食材が入った買い物袋を持つと、おじいちゃんは私のために買ったものを持ってくれた。
こんなふうに誰かと一緒に歩くのは久しぶりで、心まで温まる気がした。
「ほれ」
「開けていいの?」
「ああ」
もらった箱から出てきたのは、クローバーの鍵がついたネックレス。
「綺麗……」
「こういうのが流行りなんだろ?」
店員さんに聞いていたのはこれのことだったのか。
「ありがとう」
自分のためだけの贈り物なんていつ以来だろう。
早速ネックレスを付けて台所に立った。
「おはよう、おじいちゃん」
おじいちゃんとの暮らしは平和だ。
勿論家事は全部自分でやっているし料理は当番制だけど、全く苦にならない。
宿題だって終わらせたし、なによりあの言葉を言われずにすむのはとてもいい。
「柚はよく手伝ってくれるんだな」
「おじいちゃんと色々するの、楽しい」
「そうか」
おじいちゃんはあまり口数が多い方ではないけど、私が嫌がっていないか必ず確認してくれる。
──だからか。ここにいていいんだって安心できるのは。
「今日は買い物行くか」
「いいの?」
「みっつまでなら好きなもの買っていいぞ」
「ありがとう」
本当は疲れているだろうに、今日もこうして私を連れ出してくれる。
何を買おうかと化粧品や雑貨を見ていると、おじいちゃんが店員さんに何かを尋ねていた。
私に聞かれたくないことかもしれないからと離れていたけど、用が済んだのかかごを持ってこっちに歩いてくる。
「決まったか?」
「こっちは自分で買うから、この本とシャーペン買ってもいい?」
「これだけでいいのか?」
「あとは使っているものがあるから」
すると、おじいちゃんは私が持っていた化粧品もかごに入れるよう言い、そのまま買ってくれた。
「よかったの?」
「みっつまでと言っただろう」
「ありがとう」
食材が入った買い物袋を持つと、おじいちゃんは私のために買ったものを持ってくれた。
こんなふうに誰かと一緒に歩くのは久しぶりで、心まで温まる気がした。
「ほれ」
「開けていいの?」
「ああ」
もらった箱から出てきたのは、クローバーの鍵がついたネックレス。
「綺麗……」
「こういうのが流行りなんだろ?」
店員さんに聞いていたのはこれのことだったのか。
「ありがとう」
自分のためだけの贈り物なんていつ以来だろう。
早速ネックレスを付けて台所に立った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

物置小屋
黒蝶
大衆娯楽
言葉にはきっと色んな力があるのだと証明したい。
けれど、もうやりたかった仕事を目指せない…。
そもそも、もう自分じゃただ読みあげることすら叶わない。
どうせ眠ってしまうなら、誰かに使ってもらおう。
──ここは、そんな作者が希望や絶望をこめた台詞や台本の物置小屋。
1人向けから演劇向けまで、色々な種類のものを書いていきます。
時々、書くかどうか迷っている物語もあげるかもしれません。
使いたいものがあれば声をかけてください。
リクエスト、常時受け付けます。
お断りさせていただく場合もありますが、できるだけやってみますので読みたい話を教えていただけると嬉しいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ひきこもり瑞祥妃は黒龍帝の寵愛を受ける
緋村燐
キャラ文芸
天に御座す黄龍帝が創りし中つ国には、白、黒、赤、青の四龍が治める国がある。
中でも特に広く豊かな大地を持つ龍湖国は、白黒対の龍が治める国だ。
龍帝と婚姻し地上に恵みをもたらす瑞祥の娘として生まれた李紅玉は、その力を抑えるためまじないを掛けた状態で入宮する。
だが事情を知らぬ白龍帝は呪われていると言い紅玉を下級妃とした。
それから二年が経ちまじないが消えたが、すっかり白龍帝の皇后になる気を無くしてしまった紅玉は他の方法で使命を果たそうと行動を起こす。
そう、この国には白龍帝の対となる黒龍帝もいるのだ。
黒龍帝の皇后となるため、位を上げるよう奮闘する中で紅玉は自身にまじないを掛けた道士の名を聞く。
道士と龍帝、瑞祥の娘の因果が絡み合う!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる