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逆境を壊す
第49話
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「【お邪魔します】」
「どうぞ。ゆっくりしていってね」
あれからすぐに神社を後にしたけど、あたりがあまりに真っ暗でバイクを長距離走らせるのも危ない気がした。
そこで、桜雪に事情を説明してそのまま俺の部屋に泊まってもらうことにしたのだ。
「着替えは多分個々にあるものなら使えるはずだから好きに使って」
「【ありがとう】」
流石に下着まではないけど、ぶかぶかなパーカーなら着られるだろう。
…と思っていたら、鞄から小さい袋を取り出した。
「何が入ってるの?」
「【下着と靴下の換えはいつも持ってるんだ】」
「そうだったんだ。先にお風呂入ってくれる?」
「【いいの?】」
「いいよ。俺はちょっとやることがあるから」
「【ありがとう】」
桜雪を見送りながら、さっきのは失礼だったかもしれないと内心慌てていた。
いきなり聞いて驚かせたかもしれない。
ゲームや漫画を並べて年越しそばを作る。
まだ早いかもしれないけど、今準備しておけば楽だ。
「……」
「もうあがったんだ。ゆっくり入ってよかったのに」
桜雪は少し恥ずかしそうにしながら、さらさらと何かを書いて見せてくれた。
「【元々普段から早風呂なんだ。あと、少しでも長く穂さんと一緒にいたかったから】」
…なんだこの可愛い回答は。
時々着ているもこもこのパーカーは桜雪にはぶかぶかで、ワンピース丈になっている。
見ているだけでなんだかどきどきしてしまった。
「ありがとう。俺も一緒にいられるの、すごく嬉しいな。お風呂入ってる間、ゲームとか本とか好きに使ってね。
冷蔵庫の中のものは、タッパーに入れてるもの以外なら好きに飲み食いして。コップはここに置いておくね」
取り敢えず、電子レンジ対応の無地のコップを出しておいた。
今度新しいマグカップを買ってこよう。
俺もそんなに長風呂する方ではないので15分くらいで出て、できるだけ音をたてないように気をつけながらリビングへ戻る。
「おまたせ」
「……」
一瞬寝ているのかと思ったけど、本に夢中で気づいていないみたいだった。
いきなり声をかけたら驚かせてしまうかもしれないと思ったけど、何を熱心に読んでいるのか気になる。
背表紙に【楽しい曲づくり】と書いてあるのを確認して、一瞬背筋が凍った。
ただ、それだけ近づくと読んでいるのを邪魔してしまったみたいで桜雪と視線がぶつかる。
「……!?」
「ごめんごめん。呼んでも気づいてないみたいだから、すごく集中してるなと思って…」
桜雪はすごく照れているのか、頬が赤くなっている。
やっぱり可愛い、なんて伝えたら困らせてしまうだろうか。
「温かいお茶淹れるけど飲む?」
桜雪が頷いたのを確認して茶葉を用意する。
ふたり分用意しているだけで、心が少し温まった。
「どうぞ。ゆっくりしていってね」
あれからすぐに神社を後にしたけど、あたりがあまりに真っ暗でバイクを長距離走らせるのも危ない気がした。
そこで、桜雪に事情を説明してそのまま俺の部屋に泊まってもらうことにしたのだ。
「着替えは多分個々にあるものなら使えるはずだから好きに使って」
「【ありがとう】」
流石に下着まではないけど、ぶかぶかなパーカーなら着られるだろう。
…と思っていたら、鞄から小さい袋を取り出した。
「何が入ってるの?」
「【下着と靴下の換えはいつも持ってるんだ】」
「そうだったんだ。先にお風呂入ってくれる?」
「【いいの?】」
「いいよ。俺はちょっとやることがあるから」
「【ありがとう】」
桜雪を見送りながら、さっきのは失礼だったかもしれないと内心慌てていた。
いきなり聞いて驚かせたかもしれない。
ゲームや漫画を並べて年越しそばを作る。
まだ早いかもしれないけど、今準備しておけば楽だ。
「……」
「もうあがったんだ。ゆっくり入ってよかったのに」
桜雪は少し恥ずかしそうにしながら、さらさらと何かを書いて見せてくれた。
「【元々普段から早風呂なんだ。あと、少しでも長く穂さんと一緒にいたかったから】」
…なんだこの可愛い回答は。
時々着ているもこもこのパーカーは桜雪にはぶかぶかで、ワンピース丈になっている。
見ているだけでなんだかどきどきしてしまった。
「ありがとう。俺も一緒にいられるの、すごく嬉しいな。お風呂入ってる間、ゲームとか本とか好きに使ってね。
冷蔵庫の中のものは、タッパーに入れてるもの以外なら好きに飲み食いして。コップはここに置いておくね」
取り敢えず、電子レンジ対応の無地のコップを出しておいた。
今度新しいマグカップを買ってこよう。
俺もそんなに長風呂する方ではないので15分くらいで出て、できるだけ音をたてないように気をつけながらリビングへ戻る。
「おまたせ」
「……」
一瞬寝ているのかと思ったけど、本に夢中で気づいていないみたいだった。
いきなり声をかけたら驚かせてしまうかもしれないと思ったけど、何を熱心に読んでいるのか気になる。
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「……!?」
「ごめんごめん。呼んでも気づいてないみたいだから、すごく集中してるなと思って…」
桜雪はすごく照れているのか、頬が赤くなっている。
やっぱり可愛い、なんて伝えたら困らせてしまうだろうか。
「温かいお茶淹れるけど飲む?」
桜雪が頷いたのを確認して茶葉を用意する。
ふたり分用意しているだけで、心が少し温まった。
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