道化師より

黒蝶

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24枚目

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「次の場所、楽しみだね」
「そうですね」
今度は特に観光地としては紹介されていない場所……カメラに景色を収めてきた結さんだからこそ知っている場所だ。
「懐かしい……あのときは紅葉特集のために来たんだけど、今とは見えるものが全然違ったよ」
「綺麗ですね」
「うん。風景ならいい感じに撮れるかも」
屈託のない笑みを浮かべている結さんは誰よりも強い。
だが、その心は理不尽に踏み荒らされた。
今は微笑んでいるが、夜うなされていたのも知っている。
「このあたりだったはずなんだけど……あ、あそこだ」
あまり人に会いたくないのか、僕を気遣ってくれたのか。
細い路地を抜けた先にある、一軒だけそびえたつ建物。
中に入ると女将さんが迎え入れてくれた。
「中島様ですね。お待ちしておりました」
「よろしくお願いします」
「今回はご旅行と伺いましたが、近くの神社へは行かれましたか?」
「いえ。駅から直行したので」
「でしたら……」
色々な場所を提案してくれて、結さんと人との繋がりを感じた。
取材に来たと言っていたし、きっとそのとき知り合った人なんだろう。
彼女が育んできた絆は今もここで芽を出している。
「蓮、疲れてなければちょっと行ってみない?」
「そうしましょう」
荷物だけ置いてすぐ部屋を出る。
ライと一緒に写真を撮ってもらいながら、ひたすら観光を楽しんだ。
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