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第28章『激甘毒林檎』
第256話
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「…できた」
「薬学の知識をもうちょっと増やさないと駄目そうだ」
先生のあまりの手際のよさに驚いた。
「早く怪異の実態を調べないといけないな」
薬を瞬に投与しながら静かに呟く。
その言葉は私に深く刺さった。
「必ず正体を見破る。…解毒剤の作り方、今度教えてくれ」
「分かった」
茜は結月が預かってくれていると桜良が連絡をくれた。
それなら私にできるのは、噂について徹底的に調べることだけだ。
「…みんな聞いてくれ。動ける人だけでいい。ちょっと協力してほしいんだ」
──そして夜、新校舎でひとり涙する。
何かが近づいてくる気配がするが、もう少し耐えなければならない。
《そちらの方、どうやら深い悲しみを抱えているようだ。…これを食べればなんでも願いが叶うよ》
俯いたまま相手の手を掴むと、勢いよく飛び退いた。
《なんだ、これは…》
「おまえの罪を暴く札だ。それ、毒が入ってるな?」
全身黒い布で覆われた格好をしたその人物がどんな表情をしているか分からない。
…だから、これから話すことは全て仮定の話だ。
「おまえは白雪姫の継母役を押し付けられた殺人鬼だな?
…まあ、正確に言えば殺人鬼という役を押し付けられた存在っていうのが正しそうだけど」
《な、何を言う…》
「おまえは元々人間だった。その頃の記憶がないのかもしれないけど、私はそう思ってる」
記事を読んでいて、殺された人たちには共通点があるというのが分かった。
「犯人に仕立てあげられた人物がいたという記事を見つけたんだ。…園田正宗さん、だったかな」
《な、何故その名前を…》
「記事で読んだだけだ。本当の犯人は分からずじまいだった。
…だけどおまえは犯人を見つけた。その犯人に復讐できればそれでよかったんじゃないか?」
彼は何も言わない。…それが答えということだろうか。
「それがあの林檎園に関係していると踏んだんだが、違うか?」
《……何故分かった?》
「勘」
《つまらない話だが教えてやる。…俺には親友がいた。たったひとりのな》
ボロ布を取り去ったその顔には大きな痣がある。
《この痣は幼い頃できたものだ。派手に転んでしまってな》
「苦労したんだな」
《そうだったかもしれない。…今となっては憎しみしかないが》
「どういうことだ?」
そう問いかけると、男の周囲の草花が枯れていく。
札を握りしめたままなんとか距離を保った。
《誰かに押されてできた傷だ。…それが親友だと思ってた奴だったなんて笑えるだろ?
あいつが俺から人を遠ざけ、それに気づかなかった馬鹿な俺は騙された!…馬鹿だと笑ってくれ》
男の苦悩が見え隠れして、見ているだけで苦しくなる。
園田正宗という人物は、とても誠実だったのだろう。
「薬学の知識をもうちょっと増やさないと駄目そうだ」
先生のあまりの手際のよさに驚いた。
「早く怪異の実態を調べないといけないな」
薬を瞬に投与しながら静かに呟く。
その言葉は私に深く刺さった。
「必ず正体を見破る。…解毒剤の作り方、今度教えてくれ」
「分かった」
茜は結月が預かってくれていると桜良が連絡をくれた。
それなら私にできるのは、噂について徹底的に調べることだけだ。
「…みんな聞いてくれ。動ける人だけでいい。ちょっと協力してほしいんだ」
──そして夜、新校舎でひとり涙する。
何かが近づいてくる気配がするが、もう少し耐えなければならない。
《そちらの方、どうやら深い悲しみを抱えているようだ。…これを食べればなんでも願いが叶うよ》
俯いたまま相手の手を掴むと、勢いよく飛び退いた。
《なんだ、これは…》
「おまえの罪を暴く札だ。それ、毒が入ってるな?」
全身黒い布で覆われた格好をしたその人物がどんな表情をしているか分からない。
…だから、これから話すことは全て仮定の話だ。
「おまえは白雪姫の継母役を押し付けられた殺人鬼だな?
…まあ、正確に言えば殺人鬼という役を押し付けられた存在っていうのが正しそうだけど」
《な、何を言う…》
「おまえは元々人間だった。その頃の記憶がないのかもしれないけど、私はそう思ってる」
記事を読んでいて、殺された人たちには共通点があるというのが分かった。
「犯人に仕立てあげられた人物がいたという記事を見つけたんだ。…園田正宗さん、だったかな」
《な、何故その名前を…》
「記事で読んだだけだ。本当の犯人は分からずじまいだった。
…だけどおまえは犯人を見つけた。その犯人に復讐できればそれでよかったんじゃないか?」
彼は何も言わない。…それが答えということだろうか。
「それがあの林檎園に関係していると踏んだんだが、違うか?」
《……何故分かった?》
「勘」
《つまらない話だが教えてやる。…俺には親友がいた。たったひとりのな》
ボロ布を取り去ったその顔には大きな痣がある。
《この痣は幼い頃できたものだ。派手に転んでしまってな》
「苦労したんだな」
《そうだったかもしれない。…今となっては憎しみしかないが》
「どういうことだ?」
そう問いかけると、男の周囲の草花が枯れていく。
札を握りしめたままなんとか距離を保った。
《誰かに押されてできた傷だ。…それが親友だと思ってた奴だったなんて笑えるだろ?
あいつが俺から人を遠ざけ、それに気づかなかった馬鹿な俺は騙された!…馬鹿だと笑ってくれ》
男の苦悩が見え隠れして、見ているだけで苦しくなる。
園田正宗という人物は、とても誠実だったのだろう。
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