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第28章『激甘毒林檎』
第254話
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「あの、詩乃先輩」
「どうした?」
桜良は何かを見つけたらしく、分厚いスクラップから記事を取り出した。
「もしかすると無関係かもしれませんが、なんだか状況が似ている気がして…」
その記事の見出しだけで、桜良が言わんとしていることは理解した。
【白雪姫殺人事件、迷宮入りか】
…中身を見る限り、この事件が噂と融合してしまっているように思う。
「遺体の口内から林檎の芯が出てきて、全員眠るように横たわっていた…か」
「犯人が見つからないのは怪異が犯人だからとは考えられないでしょうか?」
桜良は私とは逆の仮説を立てたらしい。
事件が噂になったから怪異と化しているのか、何らかの原因で暴走した怪異がおこした事件なのか。
「私は、事件が原因で何者かがかいいとして具現化したんだと思った」
「たしかに…そうとも考えられますね」
だが、現時点ではどちらも証明しきれない。
事件が怪異となった場合は、怪異の正体が謎のままになる。
怪異が事件をおこした場合は、事件の発端が分からずじまいだ。
どちらにせよ、何故今なのかという疑問も残されたままになっている。
「もう少し情報がほしいな」
「そうですね」
スクロールして画面を確認すると、興味深い書き込みが見つかった。
「…桜良、意見を聞かせてほしい」
「何か気になるものがあるんですか?」
「これ、どう思う?」
【果樹園の林檎の木の下から死体が出てきたって話を聞いたんだけど、何か知ってる人いる?】
その内容もまた事件と酷似していた。
「『眠るように亡くなっていた体内から林檎が発見された』…?」
「目撃情報によると、結構腐敗が進んでいたらしい。不自然じゃないか?」
「そうですね。胃の内容物が分からなくなっているはずなのに不自然です。
それとも、死体の横にあったということでしょうか?それもそれでおかしな話になりますが…」
真っ赤な林檎という記載が事実なら、たしかに不審な点が多い。
地中の林檎は死体より早く腐るはずだ。
にも関わらず、林檎は真っ赤に熟れていたらしい。
『先輩、ちょっといいですか?』
「どうした?」
『眠り続けてるクラスがあるって言ってましたよね?…そのクラス、先週果樹園の手伝いに行ってたみたいなんです』
「画像を送るから確認してくれ」
掲示板で話題になっている果樹園の看板の写真を送ると、陽向が驚いたように声をあげた。
『ここです!なんで分かったんですか!?』
「…詳しいことは後で話すから、そこでとったであろう林檎があれば持ってきてほしい」
『了解です!』
脳内で様々な仮説をたてては消す。
何が本当なのか分からなくなってしまった。
「どうした?」
桜良は何かを見つけたらしく、分厚いスクラップから記事を取り出した。
「もしかすると無関係かもしれませんが、なんだか状況が似ている気がして…」
その記事の見出しだけで、桜良が言わんとしていることは理解した。
【白雪姫殺人事件、迷宮入りか】
…中身を見る限り、この事件が噂と融合してしまっているように思う。
「遺体の口内から林檎の芯が出てきて、全員眠るように横たわっていた…か」
「犯人が見つからないのは怪異が犯人だからとは考えられないでしょうか?」
桜良は私とは逆の仮説を立てたらしい。
事件が噂になったから怪異と化しているのか、何らかの原因で暴走した怪異がおこした事件なのか。
「私は、事件が原因で何者かがかいいとして具現化したんだと思った」
「たしかに…そうとも考えられますね」
だが、現時点ではどちらも証明しきれない。
事件が怪異となった場合は、怪異の正体が謎のままになる。
怪異が事件をおこした場合は、事件の発端が分からずじまいだ。
どちらにせよ、何故今なのかという疑問も残されたままになっている。
「もう少し情報がほしいな」
「そうですね」
スクロールして画面を確認すると、興味深い書き込みが見つかった。
「…桜良、意見を聞かせてほしい」
「何か気になるものがあるんですか?」
「これ、どう思う?」
【果樹園の林檎の木の下から死体が出てきたって話を聞いたんだけど、何か知ってる人いる?】
その内容もまた事件と酷似していた。
「『眠るように亡くなっていた体内から林檎が発見された』…?」
「目撃情報によると、結構腐敗が進んでいたらしい。不自然じゃないか?」
「そうですね。胃の内容物が分からなくなっているはずなのに不自然です。
それとも、死体の横にあったということでしょうか?それもそれでおかしな話になりますが…」
真っ赤な林檎という記載が事実なら、たしかに不審な点が多い。
地中の林檎は死体より早く腐るはずだ。
にも関わらず、林檎は真っ赤に熟れていたらしい。
『先輩、ちょっといいですか?』
「どうした?」
『眠り続けてるクラスがあるって言ってましたよね?…そのクラス、先週果樹園の手伝いに行ってたみたいなんです』
「画像を送るから確認してくれ」
掲示板で話題になっている果樹園の看板の写真を送ると、陽向が驚いたように声をあげた。
『ここです!なんで分かったんですか!?』
「…詳しいことは後で話すから、そこでとったであろう林檎があれば持ってきてほしい」
『了解です!』
脳内で様々な仮説をたてては消す。
何が本当なのか分からなくなってしまった。
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