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第26章『新たな露』
第236話
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力になるものが対になっているからこそ、妖が式を操ることができたのか。
「教えてくれてありがとう。それなら明日は、一気に片づけないとまずいってことだな」
《…おまえも危ないんじゃないのか》
「どうだろうな。…まあ、私は色々変わってるから大丈夫だろう」
以前もおかしな気配を感じると言われたことがあったが、まさか妖力を持っているのではと疑われているとは思わなかった。
…間違ってはいないが。
「おまえこそ内心焦ってるんじゃないか?…あの子を解放できなかったらどうしようって」
《……約束を果たせていないからな》
「多分、今抱いている感情は寂しさだと思う。自分が知らない感情だからよく分かっていないんだろうけど、大切なものだ」
ずっと人として扱われてこなかった白露にとって、感情というものは未知だらけだろう。
それでもひとつひとつと向き合うところを、短いながらもずっと見てきた。
だから、今の私に言えるのはこれだけだ。
「おまえの寂しさがなくなるように…あの子の寂しさもなくなるように、絶対勝つ。
その後は穂乃と契約ってことになるだろうけど、あの子の面倒も最後までちゃんと見る」
《……そうか》
たった一言ではあったものの、少し調子を取り戻したらしい姿に安堵する。
あとは夜までにどれだけ仕込めるかだ。
「話は終わったか?」
「ああ。白露は見回りに戻るって行っちゃったけどな」
「…腕を見せてみろ」
袖をまくると、包帯が緩んでしまっていた。
「全然気づいてなかった」
「その包帯には特殊な加工をしてある。…簡単に言えば安全装置だ」
「安全装置?」
「おまえが無茶をしそうになったら強制的に止める。もっとも、本気のおまえには勝てないだろうがな」
つまり、今の私は全力を出すか制御されてしまうかの二択しかないということか。
「今日だけ包帯、」
「却下」
もうすでに新しいものが巻かれていて、自力ではずすのは厳しそうだ。
「そういえば、瞬のことは放っておいていいのか?」
「茜の相手をして疲れて寝ている」
「先生ってああいう結界もはれたんだな」
「殆ど使ったことはないがな」
夜になる前にどうしても確認しておきたいことがあって放送室へ戻ると、穂乃が機材の準備をしていた。
「穂乃、もしも…」
「白露の大切な人が助かったら、私が契約する。まだ力があり余ってるなら大丈夫だよね?」
…本当に敵わない。
「頼む。ただし、体力の限界を感じたらすぐ知らせること。いいな?」
「ありがとう、お姉ちゃん」
今はこれでいい。取り敢えず道具の用意をして、大量の札を仕こむことにした。
「教えてくれてありがとう。それなら明日は、一気に片づけないとまずいってことだな」
《…おまえも危ないんじゃないのか》
「どうだろうな。…まあ、私は色々変わってるから大丈夫だろう」
以前もおかしな気配を感じると言われたことがあったが、まさか妖力を持っているのではと疑われているとは思わなかった。
…間違ってはいないが。
「おまえこそ内心焦ってるんじゃないか?…あの子を解放できなかったらどうしようって」
《……約束を果たせていないからな》
「多分、今抱いている感情は寂しさだと思う。自分が知らない感情だからよく分かっていないんだろうけど、大切なものだ」
ずっと人として扱われてこなかった白露にとって、感情というものは未知だらけだろう。
それでもひとつひとつと向き合うところを、短いながらもずっと見てきた。
だから、今の私に言えるのはこれだけだ。
「おまえの寂しさがなくなるように…あの子の寂しさもなくなるように、絶対勝つ。
その後は穂乃と契約ってことになるだろうけど、あの子の面倒も最後までちゃんと見る」
《……そうか》
たった一言ではあったものの、少し調子を取り戻したらしい姿に安堵する。
あとは夜までにどれだけ仕込めるかだ。
「話は終わったか?」
「ああ。白露は見回りに戻るって行っちゃったけどな」
「…腕を見せてみろ」
袖をまくると、包帯が緩んでしまっていた。
「全然気づいてなかった」
「その包帯には特殊な加工をしてある。…簡単に言えば安全装置だ」
「安全装置?」
「おまえが無茶をしそうになったら強制的に止める。もっとも、本気のおまえには勝てないだろうがな」
つまり、今の私は全力を出すか制御されてしまうかの二択しかないということか。
「今日だけ包帯、」
「却下」
もうすでに新しいものが巻かれていて、自力ではずすのは厳しそうだ。
「そういえば、瞬のことは放っておいていいのか?」
「茜の相手をして疲れて寝ている」
「先生ってああいう結界もはれたんだな」
「殆ど使ったことはないがな」
夜になる前にどうしても確認しておきたいことがあって放送室へ戻ると、穂乃が機材の準備をしていた。
「穂乃、もしも…」
「白露の大切な人が助かったら、私が契約する。まだ力があり余ってるなら大丈夫だよね?」
…本当に敵わない。
「頼む。ただし、体力の限界を感じたらすぐ知らせること。いいな?」
「ありがとう、お姉ちゃん」
今はこれでいい。取り敢えず道具の用意をして、大量の札を仕こむことにした。
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