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閑話『ひと夏の思い出を』
合宿慣れ
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「そこまで。穂乃の勝ち」
「負けちゃった…残念」
瞬君とお姉ちゃんと一緒にやっているのは、水鉄砲で空のペットボトルを倒すゲーム。
お姉ちゃんは審判で、遊び感覚でできるからって他の人たちも一緒にやってくれる。
なんだかそれが楽しかった。
「穂乃ちゃん、前見たときよりもっと上手くなってるよね…。いっぱい練習したの?」
「うん。流石に家で水鉄砲は使えないから、じょうろの水を遠くからプランターに入れられるか、とか…。
あ、あとは白露と鬼ごっこして、ホースの水をかけられるかとかはやったよ。上手になれたかな?」
「僕の想像してた練習とぜんぜん違う…」
「思ったよりハードな練習をしてたんだな」
瞬君だけじゃなくてお姉ちゃんにもそう言われちゃって、首を傾げる。
絶対にお姉ちゃんの方が厳しい鍛錬をしているのに、どうしてハードだと思ったんだろう。
「あ、ひな君」
「お疲れ。何これ射的?」
「そんな感じ。穂乃ちゃんと勝負してみてよ」
「今休憩中だし…よし、勝負しよう」
陽向君の両手には絆創膏が沢山貼られていて、なんだかすごく痛そうだった。
一生懸命練習しているからっていうのは分かるけど、厳しい修行をしたんだってことは分かる。
「そこまで。穂乃の勝ち」
それでも、水鉄砲だけは負けられない。
「え、穂乃ちゃん強…うわ!?」
陽向君の声にはっと顔をあげると、持っている水鉄砲から水がとめどなく流れていた。
「ひな君、何してるの?」
「止まらないんだって…。もうトリガーから指離してるのに」
暴発しているみたいで、全然止まる気配がない。
その光景に固まっていると、お姉ちゃんが全速力で陽向君に近づいて手を握った。
「私が持っておくから先生を呼んできてくれ」
「分かった、僕が行く」
「私も行ってくるね」
室星先生を呼んで戻った頃には、ふたりともびしょ濡れになっていた。
「何をどうしてそうなった?」
「急に水が溢れ出して…俺にも分からないです」
「全然止まらなかったんだけど、どこにあれだけの水が…」
先生は壊れた水鉄砲を見つめて、散らばった部品を集める。
…と思ったら、先生の手のひらから卵みたいなものが出てきた。
「それが原因ですか?」
「おそらくそうだな。偶然だと思うが、これは俺が預かる。折原と岡副はシャワーを浴びてくるように。いいな?」
「分かった」
「了解です」
瞬君に手を握られて、桜良先輩のところへご飯を作りに行く。
久しぶりにお姉ちゃんと長い時間を過ごせて楽しかった。
…この生活にも慣れてきたし、ちょっとは役に立てているといいな。
「負けちゃった…残念」
瞬君とお姉ちゃんと一緒にやっているのは、水鉄砲で空のペットボトルを倒すゲーム。
お姉ちゃんは審判で、遊び感覚でできるからって他の人たちも一緒にやってくれる。
なんだかそれが楽しかった。
「穂乃ちゃん、前見たときよりもっと上手くなってるよね…。いっぱい練習したの?」
「うん。流石に家で水鉄砲は使えないから、じょうろの水を遠くからプランターに入れられるか、とか…。
あ、あとは白露と鬼ごっこして、ホースの水をかけられるかとかはやったよ。上手になれたかな?」
「僕の想像してた練習とぜんぜん違う…」
「思ったよりハードな練習をしてたんだな」
瞬君だけじゃなくてお姉ちゃんにもそう言われちゃって、首を傾げる。
絶対にお姉ちゃんの方が厳しい鍛錬をしているのに、どうしてハードだと思ったんだろう。
「あ、ひな君」
「お疲れ。何これ射的?」
「そんな感じ。穂乃ちゃんと勝負してみてよ」
「今休憩中だし…よし、勝負しよう」
陽向君の両手には絆創膏が沢山貼られていて、なんだかすごく痛そうだった。
一生懸命練習しているからっていうのは分かるけど、厳しい修行をしたんだってことは分かる。
「そこまで。穂乃の勝ち」
それでも、水鉄砲だけは負けられない。
「え、穂乃ちゃん強…うわ!?」
陽向君の声にはっと顔をあげると、持っている水鉄砲から水がとめどなく流れていた。
「ひな君、何してるの?」
「止まらないんだって…。もうトリガーから指離してるのに」
暴発しているみたいで、全然止まる気配がない。
その光景に固まっていると、お姉ちゃんが全速力で陽向君に近づいて手を握った。
「私が持っておくから先生を呼んできてくれ」
「分かった、僕が行く」
「私も行ってくるね」
室星先生を呼んで戻った頃には、ふたりともびしょ濡れになっていた。
「何をどうしてそうなった?」
「急に水が溢れ出して…俺にも分からないです」
「全然止まらなかったんだけど、どこにあれだけの水が…」
先生は壊れた水鉄砲を見つめて、散らばった部品を集める。
…と思ったら、先生の手のひらから卵みたいなものが出てきた。
「それが原因ですか?」
「おそらくそうだな。偶然だと思うが、これは俺が預かる。折原と岡副はシャワーを浴びてくるように。いいな?」
「分かった」
「了解です」
瞬君に手を握られて、桜良先輩のところへご飯を作りに行く。
久しぶりにお姉ちゃんと長い時間を過ごせて楽しかった。
…この生活にも慣れてきたし、ちょっとは役に立てているといいな。
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