夜紅譚

黒蝶

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第22章『死者の案内人』

第200話

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「おはよう!」
「おはよう。今日は随分早起きだな」
「室星先生と瞬君が楽しそうにしてたから、つい」
「ふたりはどんな話してたの?」
「えっと…」
桜良に休んでもらって、今日は私と陽向で調理担当をすることになった。
穂乃が来たことに少し驚いたが、今回の一件に関する情報は全て隠してくれているようだ。
「陽向君、その手…」
「ちょっと火傷しちゃったんだ。うっかり鍋に当たっちゃって」
手甲を使った攻撃は反動が大きかったらしく、陽向の手には火傷の痕があった。
本人は大丈夫だと言っていたが、先生のひと睨みで治療することになったのだ。
「…できた。あとは運んで、合宿の続きだな」
「ですね」
「そういえば、白露がお姉ちゃんと手合わせしたいんだって」
「珍しいな。…いいよ、白露が望むなら」
朝食後、すぐに手合わせすることになった。
「突然どうしたんだ?」
《腕が鈍らないようにするためだ》
たしかに私以外のメンバーは刀を使えない。
それだけが理由ではない気がするのは気のせいだろうか。
「ルールを決めよう。まず、当然だけど相手を殺すのは禁止。純粋に霊力をこめた刀だけの使った勝負をする。
先に相手を戦闘不能にするか、降参させた方が勝ち。どうだ?」
《それでいい》
お互い持っているのは木刀だ。
流石に真剣で斬りあうつもりはない。
「じゃあ、砂時計をひっくり返したところからスタートってことで」
《了解した》
「それじゃあ…スタート」
誰もいない格技場で、霊力がぶつかりあう音だけが響いている。
白露の動きは速いが、ついていけないほどじゃない。
手加減してくれているのかもしれないけど、8割ほどの力で動きまわった。
《──破》
「まだだ」
霊力が一段と強くなった一撃を受け止め、どうにか反撃する。
こちらの一撃を当てた瞬間、白露の木刀が宙を舞った。
《俺の負けだ》
「どうしたんだ、突然手合わせしたいなんて」
《…さっきからこのあたりで嫌な気配を感じる》
「そうだな。…だからなのか」
《昨夜から何かあるのは分かるが、俺には見つけられなかった》
相手はあくまで死霊を喰らいたいわけであって、式神には微塵も興味がない。
「このあたりを見回ればなんとかなるかもしれないな…。ありがとう、今夜で決着をつけられそうだ」
ぼろぼろになった木刀を片づけていると、白露に腕を掴まれた。
「どうした?」
《…おまえはやはり混ざりものなのか?》
「どういう意味だ?」
《……すまない、忘れてくれ》
白露にとって、混ざりものという存在が探しているものなのかもしれない。
私では餌になり得るか微妙なラインだが、相手は姿を見せてくれるだろうか。
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