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第6章『階段の怪談』
第41話
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「…で、何があったんだ?」
陽向に問いかけると、事情を知っている生徒から聞いた話を教えてくれた。
「最後の噺を話している途中で物音がしたそうです。それで一旦噺を止めてあたりを見回すと、蝋燭の火が消えて…」
「次に明かりをつけたときにいなくなっていた、と」
「普通の人間には視えない何かがあるんですかね…」
こうなってしまった以上、自分たちでやって確かめるしかない。
「ふたりでやるか?」
「消えたのは新校舎らしいので、旧校舎でやりましょうよ。もしかしたら何か違ったことがおこるかもしれもせんし…。
けど、ふたりか…。どっちかが消えちゃったら終わりですよね」
陽向が真っ青になっていると、瞬がにっこり笑いながら近づいてきた。
「怖い話するの?僕もやりたい!」
「いいのか?先生から許可は、」
「取ってるよ」
ふたりで十三も階段が思いつくか微妙だったし、何かあったときに対処しづらい。
瞬には悪いが今回は手伝ってもらおう。
「屋上までの階段、だったか」
陽向はあわあわしながら、瞬は目を輝かせながら階段を数える。
昼間は十二段だったはずの階段は十三段存在していた。
「もうこの時点でやばくないですか?俺死にますか?」
「まだ何もはじめてないだろ」
鞄から蝋燭を取り出し、火をつける。
「…これは、あるサイトで人気絶頂だったブロガーの話だ」
特に怖いと感じることもなく、順番に話していく。
そう思っていたが、ダントツで怖い話をしてくる人物がひとり。
「はい、おしまい」
「ち、ちび、おまえ…怪談師目指してたのか?」
「違うよ。ひな君なんでそんなに怯えてるの?もしかして何かきた?」
「話し方が怖いんだよ…」
ふたりがわいわい話しているのを見ていると、かつん、と音がした。
「今の、階段の方からしませんでしたか?」
「階段の方を見るとよくないものを引き寄せると言われているから、そのままスルーしよう」
「そ、そうですね…」
それから、ひとつ話し終えるごとに何かが近づいてくる音がしはじめた。
「やばいやばい、絶対やばい…!」
「あとひとつだから頑張ろう?」
「やばいのが出たら即戦闘だろ?ひたひたいうのが妙にリアルだし、絶対グロいの来るって…」
「最後は私だな。…その昔、ある小さな集落には隠された風習があった」
陽向が怖がっているのは分かっているが、途中で話をやめることもできずぺらぺら喋り続ける。
その間もどんどん何かが迫っていたが、無視して話し終えた。
「終わりだ」
「特に何もおこらなかったね」
「よ、よかった…」
ひた、ひたひた…そんな音がした直後、蝋燭の火が消える。
「みんな、手を繋いでいてくれ。絶対離さないように。いいな?」
がたがたと音がしたものの、特に変化はない。
暗闇に目が慣れるまで、随分時間がかかってしまった。
陽向に問いかけると、事情を知っている生徒から聞いた話を教えてくれた。
「最後の噺を話している途中で物音がしたそうです。それで一旦噺を止めてあたりを見回すと、蝋燭の火が消えて…」
「次に明かりをつけたときにいなくなっていた、と」
「普通の人間には視えない何かがあるんですかね…」
こうなってしまった以上、自分たちでやって確かめるしかない。
「ふたりでやるか?」
「消えたのは新校舎らしいので、旧校舎でやりましょうよ。もしかしたら何か違ったことがおこるかもしれもせんし…。
けど、ふたりか…。どっちかが消えちゃったら終わりですよね」
陽向が真っ青になっていると、瞬がにっこり笑いながら近づいてきた。
「怖い話するの?僕もやりたい!」
「いいのか?先生から許可は、」
「取ってるよ」
ふたりで十三も階段が思いつくか微妙だったし、何かあったときに対処しづらい。
瞬には悪いが今回は手伝ってもらおう。
「屋上までの階段、だったか」
陽向はあわあわしながら、瞬は目を輝かせながら階段を数える。
昼間は十二段だったはずの階段は十三段存在していた。
「もうこの時点でやばくないですか?俺死にますか?」
「まだ何もはじめてないだろ」
鞄から蝋燭を取り出し、火をつける。
「…これは、あるサイトで人気絶頂だったブロガーの話だ」
特に怖いと感じることもなく、順番に話していく。
そう思っていたが、ダントツで怖い話をしてくる人物がひとり。
「はい、おしまい」
「ち、ちび、おまえ…怪談師目指してたのか?」
「違うよ。ひな君なんでそんなに怯えてるの?もしかして何かきた?」
「話し方が怖いんだよ…」
ふたりがわいわい話しているのを見ていると、かつん、と音がした。
「今の、階段の方からしませんでしたか?」
「階段の方を見るとよくないものを引き寄せると言われているから、そのままスルーしよう」
「そ、そうですね…」
それから、ひとつ話し終えるごとに何かが近づいてくる音がしはじめた。
「やばいやばい、絶対やばい…!」
「あとひとつだから頑張ろう?」
「やばいのが出たら即戦闘だろ?ひたひたいうのが妙にリアルだし、絶対グロいの来るって…」
「最後は私だな。…その昔、ある小さな集落には隠された風習があった」
陽向が怖がっているのは分かっているが、途中で話をやめることもできずぺらぺら喋り続ける。
その間もどんどん何かが迫っていたが、無視して話し終えた。
「終わりだ」
「特に何もおこらなかったね」
「よ、よかった…」
ひた、ひたひた…そんな音がした直後、蝋燭の火が消える。
「みんな、手を繋いでいてくれ。絶対離さないように。いいな?」
がたがたと音がしたものの、特に変化はない。
暗闇に目が慣れるまで、随分時間がかかってしまった。
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