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第6章『階段の怪談』
第39話
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久しぶりに立ち寄った高校棟で、貼り出されていた成績表を見る。
そこにはいつもどおりの成績が明記されていた。
「相変わらずすごいな、ふたりは」
「いやいや、俺はまだまだですよ。桜良には追いつけません」
「私は陽向より時間があるから、余裕を持って勉強しているだけ」
やはりふたりの会話は微笑ましい。
見ているだけで仲の良さが伝わってくる。
「もう夏休みの時期だが、今年もそうなのか?」
「はい。1学期終了です」
「けど、それに合わせてまた変な噂が流れてて…去年は佰物語してた生徒がいましたよね?」
「ああ。夜の見回りで先生と見つけた」
「今年はちょっと別の怪談ものが流行りみたいで…階段の怪談って知ってますか?」
「十二怪談のことか?」
旧校舎または新校舎の屋上へ続く階段は十二段ある。
だが、不思議なことにそれが十三段になることがあるらしい。
一段増えているときその場で怪談話をしていると、得体のしれない何かに連れ去られてしまう…という内容だったはずだ。
「十三段ある階段の上で怪談話をすると…その先は詳細不明になっているみたいなんです」
「誰かが意図的に噂を曲げたのか、風化していたから忘れられてしまったのか…調べてみないと分からないな」
だが、私たちが怪談話をしていれば別の存在が近づいてきてしまうかもしれない。
「誰かがするまで待つしかないって感じですかね…」
「消えてからじゃ遅いから、毎晩見回りするよ。穂乃は友だちと旅行を計画してるから、時間が余るんだ」
「俺も見回りします!なんか放っておけないし…」
「いいのか?」
自分で言うのもおかしいが、割と負担がかかることがある。
特に陽向みたいに一緒に過ごしたい相手がいるなら尚更だ。
「先輩だってわざわざ学校来るんでしょ?それに、新校舎もってことは二手に分かれて探した方がいいじゃないですか」
「それもそうか。…なら、新校舎を頼む」
「分かりました」
私が学校に行くのは先生の診察を受けるからだ、なんて言えない。
「桜良、ごめん」
「謝らないでください。夜食を用意して待っています」
桜良は桜良で噂の書き換え原稿を用意してくれるつもりのようだ。
ふたりに感謝しつつ、中等部へ足を運ぶ。
「穂乃、迎えに来たぞ」
「お姉ちゃん、見て!」
穂乃は絵画コンクールで金賞をとったらしく、賞状を見せてくれた。
「すごいな。私には穂乃みたいな絵は描けないよ」
「えへへ…嬉しいな」
「今夜は一緒に食べられるから、なんでも好きなものを言ってくれ」
「何にしようかな…」
スーパーへ行く途中、蝋燭を持った生徒とすれ違う。
嫌な予感がしたが、目の前に見えた特売品の文字に心が躍った。
そこにはいつもどおりの成績が明記されていた。
「相変わらずすごいな、ふたりは」
「いやいや、俺はまだまだですよ。桜良には追いつけません」
「私は陽向より時間があるから、余裕を持って勉強しているだけ」
やはりふたりの会話は微笑ましい。
見ているだけで仲の良さが伝わってくる。
「もう夏休みの時期だが、今年もそうなのか?」
「はい。1学期終了です」
「けど、それに合わせてまた変な噂が流れてて…去年は佰物語してた生徒がいましたよね?」
「ああ。夜の見回りで先生と見つけた」
「今年はちょっと別の怪談ものが流行りみたいで…階段の怪談って知ってますか?」
「十二怪談のことか?」
旧校舎または新校舎の屋上へ続く階段は十二段ある。
だが、不思議なことにそれが十三段になることがあるらしい。
一段増えているときその場で怪談話をしていると、得体のしれない何かに連れ去られてしまう…という内容だったはずだ。
「十三段ある階段の上で怪談話をすると…その先は詳細不明になっているみたいなんです」
「誰かが意図的に噂を曲げたのか、風化していたから忘れられてしまったのか…調べてみないと分からないな」
だが、私たちが怪談話をしていれば別の存在が近づいてきてしまうかもしれない。
「誰かがするまで待つしかないって感じですかね…」
「消えてからじゃ遅いから、毎晩見回りするよ。穂乃は友だちと旅行を計画してるから、時間が余るんだ」
「俺も見回りします!なんか放っておけないし…」
「いいのか?」
自分で言うのもおかしいが、割と負担がかかることがある。
特に陽向みたいに一緒に過ごしたい相手がいるなら尚更だ。
「先輩だってわざわざ学校来るんでしょ?それに、新校舎もってことは二手に分かれて探した方がいいじゃないですか」
「それもそうか。…なら、新校舎を頼む」
「分かりました」
私が学校に行くのは先生の診察を受けるからだ、なんて言えない。
「桜良、ごめん」
「謝らないでください。夜食を用意して待っています」
桜良は桜良で噂の書き換え原稿を用意してくれるつもりのようだ。
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「お姉ちゃん、見て!」
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「すごいな。私には穂乃みたいな絵は描けないよ」
「えへへ…嬉しいな」
「今夜は一緒に食べられるから、なんでも好きなものを言ってくれ」
「何にしようかな…」
スーパーへ行く途中、蝋燭を持った生徒とすれ違う。
嫌な予感がしたが、目の前に見えた特売品の文字に心が躍った。
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