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第4章『操り糸』
第28話
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「……ん?」
顔をあげると、見覚えのある白い天井の他に一対の人形の姿が目に入る。
《起きた》
《よかった》
「ふたりはもう大丈夫なのか?」
《私は平気だ。ありがとう》
《あなたが助けてくれたって、糸使いの人が教えてくれた》
「そうか。けど、私だけじゃないんだよ」
私ひとりではどうにもできなかった。
他のみんながどこにいるか気になったものの、先に訊いておきたいことがある。
「ふたりは自分たちに糸を結びつけたやつのことを覚えているか?」
《分からない。すぐに視界が真っ暗になったから…》
《私はぼんやりシルエットだけ見えたけど、顔は分からない》
「そうか」
完全な解決まではまだ遠くなりそうだが、落ちこんでいる場合ではない。
「そういえば、まだ名前を聞いてなかったな」
《私はクロ。元はシークレットガーデンの守護者をしていたの。そっちの子はシロ》
《こんにちは》
「シークレットガーデンって、旧校舎の屋上のある一角から飛び降りれば辿り着ける秘境か?」
《そうだよ!綺麗な花が沢山咲いてて、お花のお世話がお仕事なの》
ふたりから先生の糸が外されており、見た目ももうマリオネットではなくなっている。
シロは少し幼いようだが、クロはかなりしっかり者のようだ。
「もうふたりが狙われないように、相手がどんな奴なのか探してみるよ」
夜明けまでまだ少し時間がある。
その間に見つけられれば、捕らえられたであろう人間も解放できるかもしれない。
《私たちのこと、怖くないの?》
「全然。ふたりはここにいてくれ。この件が片づいたら新しい服を用意するよ」
《あ…》
恐らく双子であろう女児にそう伝え、その場を離れる。
まだ体が若干重いが、他のみんなは糸の先を探しているはずだ。
『あ、やべ』
『ひな君!』
『よかった、穂乃ちゃんいなくて…』
時折インカムから聞こえてくる声は苦しそうなものばかりだ。
『先生、ひな君が…』
『悪いがすぐ向かえそうにない。折原妹、もう少し耐えられるか?』
『はい。白露、糸が伸びてる方に行ってみよう』
誰とも合流できないまま、気づいたときには旧校舎の屋上まで来ていた。
《キヒヒ…》
「おまえが糸を持ってる奴か?」
《キキ!》
不気味な笑い声をあげ、相手は勢いよく襲いかかってきた。
形は人型だが、鱗だらけの左腕と獣耳からして明らかに人間ではない。
「火遊びは好きか?」
《オマエガ、ツギノマリオネットダ》
「火遊びが好きってことでよさそうだな」
霊力を消耗して回復しきっていない私にできることなんてたかが知れているが、すぐに弓を構える。
相手の口が大きく開くのと同時に札を結びつけた矢を放った。
顔をあげると、見覚えのある白い天井の他に一対の人形の姿が目に入る。
《起きた》
《よかった》
「ふたりはもう大丈夫なのか?」
《私は平気だ。ありがとう》
《あなたが助けてくれたって、糸使いの人が教えてくれた》
「そうか。けど、私だけじゃないんだよ」
私ひとりではどうにもできなかった。
他のみんながどこにいるか気になったものの、先に訊いておきたいことがある。
「ふたりは自分たちに糸を結びつけたやつのことを覚えているか?」
《分からない。すぐに視界が真っ暗になったから…》
《私はぼんやりシルエットだけ見えたけど、顔は分からない》
「そうか」
完全な解決まではまだ遠くなりそうだが、落ちこんでいる場合ではない。
「そういえば、まだ名前を聞いてなかったな」
《私はクロ。元はシークレットガーデンの守護者をしていたの。そっちの子はシロ》
《こんにちは》
「シークレットガーデンって、旧校舎の屋上のある一角から飛び降りれば辿り着ける秘境か?」
《そうだよ!綺麗な花が沢山咲いてて、お花のお世話がお仕事なの》
ふたりから先生の糸が外されており、見た目ももうマリオネットではなくなっている。
シロは少し幼いようだが、クロはかなりしっかり者のようだ。
「もうふたりが狙われないように、相手がどんな奴なのか探してみるよ」
夜明けまでまだ少し時間がある。
その間に見つけられれば、捕らえられたであろう人間も解放できるかもしれない。
《私たちのこと、怖くないの?》
「全然。ふたりはここにいてくれ。この件が片づいたら新しい服を用意するよ」
《あ…》
恐らく双子であろう女児にそう伝え、その場を離れる。
まだ体が若干重いが、他のみんなは糸の先を探しているはずだ。
『あ、やべ』
『ひな君!』
『よかった、穂乃ちゃんいなくて…』
時折インカムから聞こえてくる声は苦しそうなものばかりだ。
『先生、ひな君が…』
『悪いがすぐ向かえそうにない。折原妹、もう少し耐えられるか?』
『はい。白露、糸が伸びてる方に行ってみよう』
誰とも合流できないまま、気づいたときには旧校舎の屋上まで来ていた。
《キヒヒ…》
「おまえが糸を持ってる奴か?」
《キキ!》
不気味な笑い声をあげ、相手は勢いよく襲いかかってきた。
形は人型だが、鱗だらけの左腕と獣耳からして明らかに人間ではない。
「火遊びは好きか?」
《オマエガ、ツギノマリオネットダ》
「火遊びが好きってことでよさそうだな」
霊力を消耗して回復しきっていない私にできることなんてたかが知れているが、すぐに弓を構える。
相手の口が大きく開くのと同時に札を結びつけた矢を放った。
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