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第1章『はじまりの拾物』
第5話
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「…それで、何があった?」
「この人に助けてもらったの。契約?をして、私の霊力をあげた…みたい」
私もあんまりどうなったのか分かっていないから、あやふやな言い方しかできない。
「契約したのか!?」
《まだ仮契約だ。俺の霊力が尽きて、暴れまわるわけにはいかなかったからな》
「契約って、どうすればできるの?」
お姉ちゃんは私を真っ直ぐ見て、いつも異常に真剣な声で話す。
「契約するってことは、そいつの命を預かるってことだ。粗末にしたり、道具のように扱うことは私が許さない。
誰かと一緒にいるってことは、その誰かを最後まで護りきる覚悟が必要になる。…その覚悟はあるか?」
男の人は私を助けてくれた。
心配してくれたり、怪我を診てくれたりもして悪い人だとは思わない。
……一緒にいたら、この人を笑顔にできるかな?
「私は、一緒にいたい」
《俺のような出来損ないとか?》
「あなたは私の心配をしてくれたし、さっきは助けてくれなかったら多分死んじゃってたと思う。
私はお姉ちゃんたちみたいに強くないけど、一緒にいてくれる?」
男の人は吃驚していたけど、ふっと笑って手を差し出してきた。
「穂乃、そいつに名前をつけろ。それが契約の証になるから」
「…ちょっと考えてもいい?」
「よく考えるといい。その間、悪いが話を聞かせてもらうぞ」
《…俺が捨てられた理由なら話してもいい。大して面白くもない話だがな》
男の人はそう言って、自分のことを話してくれた。
霊力が少ない持ち主から、莫大な力を喰う役立たずはいらないと言われたこと。
自分には探している相手がいるからまだ消えたくないこと。
だけど、もし次の契約相手がいないなら消えるしかないこと。
「酷い…」
《そんなことを言ってくれるのか、人間。…この世界もまだ捨てたものではないな》
「…お姉ちゃん、私やっぱり契約したい」
今の話を聞いて決めた。
沢山酷いことをされても探したい相手がいて、自分が消えるかもしれなくても覚悟を決めていて…学ぶことが沢山ありそうだから。
お姉ちゃんは小さく息を吐いて、はっきり言った。
「ふたりが合意の上なら私はその意志を尊重するよ」
「ありがとう!」
《…本当に、俺でいいのか?》
「うん。今から名前考えるからちょっと待ってて」
頭がぐるぐるするけど、人の名前を考えるのは初めてだ。
さっきの攻撃が綺麗だったのを思い出して、ある単語が出てきた。
「…白露」
《はくろ?》
「そう、白露!綺麗だから」
《……まあ、響きは悪くない》
「それじゃあ決まり!よろしくね、白露」
握手していたら頭がふわふわして、そこから記憶がない。
ただ、とっても楽しい日が待っている気がする。
「この人に助けてもらったの。契約?をして、私の霊力をあげた…みたい」
私もあんまりどうなったのか分かっていないから、あやふやな言い方しかできない。
「契約したのか!?」
《まだ仮契約だ。俺の霊力が尽きて、暴れまわるわけにはいかなかったからな》
「契約って、どうすればできるの?」
お姉ちゃんは私を真っ直ぐ見て、いつも異常に真剣な声で話す。
「契約するってことは、そいつの命を預かるってことだ。粗末にしたり、道具のように扱うことは私が許さない。
誰かと一緒にいるってことは、その誰かを最後まで護りきる覚悟が必要になる。…その覚悟はあるか?」
男の人は私を助けてくれた。
心配してくれたり、怪我を診てくれたりもして悪い人だとは思わない。
……一緒にいたら、この人を笑顔にできるかな?
「私は、一緒にいたい」
《俺のような出来損ないとか?》
「あなたは私の心配をしてくれたし、さっきは助けてくれなかったら多分死んじゃってたと思う。
私はお姉ちゃんたちみたいに強くないけど、一緒にいてくれる?」
男の人は吃驚していたけど、ふっと笑って手を差し出してきた。
「穂乃、そいつに名前をつけろ。それが契約の証になるから」
「…ちょっと考えてもいい?」
「よく考えるといい。その間、悪いが話を聞かせてもらうぞ」
《…俺が捨てられた理由なら話してもいい。大して面白くもない話だがな》
男の人はそう言って、自分のことを話してくれた。
霊力が少ない持ち主から、莫大な力を喰う役立たずはいらないと言われたこと。
自分には探している相手がいるからまだ消えたくないこと。
だけど、もし次の契約相手がいないなら消えるしかないこと。
「酷い…」
《そんなことを言ってくれるのか、人間。…この世界もまだ捨てたものではないな》
「…お姉ちゃん、私やっぱり契約したい」
今の話を聞いて決めた。
沢山酷いことをされても探したい相手がいて、自分が消えるかもしれなくても覚悟を決めていて…学ぶことが沢山ありそうだから。
お姉ちゃんは小さく息を吐いて、はっきり言った。
「ふたりが合意の上なら私はその意志を尊重するよ」
「ありがとう!」
《…本当に、俺でいいのか?》
「うん。今から名前考えるからちょっと待ってて」
頭がぐるぐるするけど、人の名前を考えるのは初めてだ。
さっきの攻撃が綺麗だったのを思い出して、ある単語が出てきた。
「…白露」
《はくろ?》
「そう、白露!綺麗だから」
《……まあ、響きは悪くない》
「それじゃあ決まり!よろしくね、白露」
握手していたら頭がふわふわして、そこから記憶がない。
ただ、とっても楽しい日が待っている気がする。
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