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「桜良先輩、おはようございます」
「……」
ちょっと怖い噂の相手をした結果、桜良先輩はまた声が出せない状態になってしまった。
綺麗な歌声だっていうのは知ってるけど、普通に歌っているのを聞いたことがない。
「桜良先輩」
「…?」
「もしよかったら、今度カラオケに行きませんか?」
お小遣いは貯めた分があるし、お姉ちゃんがご飯当番のとき代わりに作ったらボーナスが出ることもある。
ボーナスは今のところ全部貯めてあるし、桜良先輩の私服が見てみたいと思ってしまった。
「嫌ならいいんです。ただ、学校以外で会ったことがないから、一緒に行ってみたいなって…駄目ですか?」
桜良先輩は少し考えるような様子を見せて、小さめのノートに書いたものを渡してくれた。
【私、あまり外に出たことがないの。それでもよければ】
「それなら、桜良先輩がいいと思ったときに言ってください。私は基本的にいつでもあいているので…」
【ありがとう】
笑顔の桜良先輩は破壊力強めで、とにかく綺麗で目が離せない。
「あ、今日の放送の仕事しなくちゃ!えっと…」
朝の放送をすませて教室へ向かうと、なんだかざわざわしていて落ち着きがなかった。
「…というわけで、不審者には近づかないようにしてください」
「すごい怖い話だよね」
「たしかに…。白鷺の生徒、大丈夫かな?」
烏合学園の姉妹興和白鷺学園。
お姉ちゃんたちが調べに行っていた学校で、教師が生徒に危害をくわえる事件があったらしい。
詳しくは教えてもらえなかったけど、多分ふたりが解決したんだろう。
「……さん、折原さん」
「は、はい!」
「腕章が届きましたので渡しておきますね」
「ありがとうございます」
お姉ちゃんがつけていた、監査部の証。
バッジは先にきていたけど、腕章が不足していてまだ持っていなかった。
…これで少しはお姉ちゃんに近づけたかな?
「おまたせ。じゃあ、授業はじめるぞ」
授業を受けながら、ずっと桜良先輩が心配だった。
なんだか元気がないように見えたし、何かできることはないだろうか。
「…そうだ」
お昼休み、監査室へ資料を届けるついでに陽向君に話しかけた。
「どうかした?もしかして、何か事件とか…」
「そういうわけじゃないんだけど、その…桜良先輩のことを教えてほしいんだ」
「桜良のこと?」
「うん」
未だに好きな食べ物さえ知らないから、1番詳しそうな陽向君に訊いてみようと思った。
陽向君しか知らない桜良先輩の顔もあるだろうし、どんな些細なことでもいいから知りたい。
教えてくれるか不安だったけど、沢山話してくれた。
「……」
ちょっと怖い噂の相手をした結果、桜良先輩はまた声が出せない状態になってしまった。
綺麗な歌声だっていうのは知ってるけど、普通に歌っているのを聞いたことがない。
「桜良先輩」
「…?」
「もしよかったら、今度カラオケに行きませんか?」
お小遣いは貯めた分があるし、お姉ちゃんがご飯当番のとき代わりに作ったらボーナスが出ることもある。
ボーナスは今のところ全部貯めてあるし、桜良先輩の私服が見てみたいと思ってしまった。
「嫌ならいいんです。ただ、学校以外で会ったことがないから、一緒に行ってみたいなって…駄目ですか?」
桜良先輩は少し考えるような様子を見せて、小さめのノートに書いたものを渡してくれた。
【私、あまり外に出たことがないの。それでもよければ】
「それなら、桜良先輩がいいと思ったときに言ってください。私は基本的にいつでもあいているので…」
【ありがとう】
笑顔の桜良先輩は破壊力強めで、とにかく綺麗で目が離せない。
「あ、今日の放送の仕事しなくちゃ!えっと…」
朝の放送をすませて教室へ向かうと、なんだかざわざわしていて落ち着きがなかった。
「…というわけで、不審者には近づかないようにしてください」
「すごい怖い話だよね」
「たしかに…。白鷺の生徒、大丈夫かな?」
烏合学園の姉妹興和白鷺学園。
お姉ちゃんたちが調べに行っていた学校で、教師が生徒に危害をくわえる事件があったらしい。
詳しくは教えてもらえなかったけど、多分ふたりが解決したんだろう。
「……さん、折原さん」
「は、はい!」
「腕章が届きましたので渡しておきますね」
「ありがとうございます」
お姉ちゃんがつけていた、監査部の証。
バッジは先にきていたけど、腕章が不足していてまだ持っていなかった。
…これで少しはお姉ちゃんに近づけたかな?
「おまたせ。じゃあ、授業はじめるぞ」
授業を受けながら、ずっと桜良先輩が心配だった。
なんだか元気がないように見えたし、何かできることはないだろうか。
「…そうだ」
お昼休み、監査室へ資料を届けるついでに陽向君に話しかけた。
「どうかした?もしかして、何か事件とか…」
「そういうわけじゃないんだけど、その…桜良先輩のことを教えてほしいんだ」
「桜良のこと?」
「うん」
未だに好きな食べ物さえ知らないから、1番詳しそうな陽向君に訊いてみようと思った。
陽向君しか知らない桜良先輩の顔もあるだろうし、どんな些細なことでもいいから知りたい。
教えてくれるか不安だったけど、沢山話してくれた。
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