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第29話
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「まだ起きていたのか」
夜紅が苦笑しつつ扉を閉める。
「穂乃はどうしてる?」
《先程就寝した》
「そうか。ならいい」
あれから特に進展もなく解散になり、主は体力の限界を迎えたのか寝具に倒れこむように眠ってしまった。
徐々に慣れてきた電子レンジというものを使っていると、背後から夜紅に声をかけられる。
「それで、何か気になることでもあったのか?」
《…少し気になることがあるが、そちらの件がどうなっているのか話を聞きたい》
夜紅から聞いた話は興味深いもので、彼岸の者が彷徨い歩いているらしい。
それが噂と融合すると厄介なため、生者の教員と怪異や死者について調べている。
「…まさか噂があっちの町でも広まってるとは思わなかった」
《かなり苦戦しているようだな》
「寄生型の怪異っていうのは姿形を簡単に変えられる。正直、相手するだけでもひと苦労だ」
それでも、と夜紅は顔をあげる。
「一度引き受けたんだ。見捨てるような真似はしない」
《…真っ直ぐだな》
「よく言われる。あと少しで烏合学園に帰れる予定だから、それまで穂乃を頼む」
《了解した》
夜紅でも疲弊するほどの相手が現れていることが不思議だ。
町の祓い人たちは何をしているのだろう。
…そうか、依頼がなければ逃げるのだった。
そちらが普通の反応なのかもしれない。
誰しも厄介事は避けたいはずだ。
「気をつけてね」
「うん。穂乃もな」
月曜の朝、主は心配そうに夜紅を見送った。
「私たちも行こう」
《了解した》
寂しそうにする主にできることは少ないが、なんだか見ているだけというのももどかしい。
学園に足を踏み入れた瞬間空気が変わった。
「「おはよう穂乃ちゃん」」
「美和ちゃん、佐和ちゃん、おはよう」
友人と会話する主を見届け、気配の正体を探る。
《カア、アア……》
人間に噛みつこうとしていたそれはこちらを見た途端、不気味な笑みを浮かべる。
《※■〇〇※■■!》
何を話しているのか全く分からないが、襲いかかってくるのはたしかだ。
…理性がない相手なら刀を構えるまでもない。
《もう眠れ》
安らかに眠れるよう祈りつつ拳をたたきつける。
やっていることが矛盾しているような気もするが、これ以外に方法がない。
「あれ、白露…?」
《※■■○!》
死霊少年の頭を下げさせ、相手の愚痴と思われる場所を押さえる。
そのまま傀儡が消え去るのを待ち死霊少年を見ると、何故か苦しそうな表情をしていた。
《どうした》
「ごめん。全然気づかなくて、僕のせいで、」
《誰が悪いわけでもない。この程度なら気にしなくていい》
夜紅が苦笑しつつ扉を閉める。
「穂乃はどうしてる?」
《先程就寝した》
「そうか。ならいい」
あれから特に進展もなく解散になり、主は体力の限界を迎えたのか寝具に倒れこむように眠ってしまった。
徐々に慣れてきた電子レンジというものを使っていると、背後から夜紅に声をかけられる。
「それで、何か気になることでもあったのか?」
《…少し気になることがあるが、そちらの件がどうなっているのか話を聞きたい》
夜紅から聞いた話は興味深いもので、彼岸の者が彷徨い歩いているらしい。
それが噂と融合すると厄介なため、生者の教員と怪異や死者について調べている。
「…まさか噂があっちの町でも広まってるとは思わなかった」
《かなり苦戦しているようだな》
「寄生型の怪異っていうのは姿形を簡単に変えられる。正直、相手するだけでもひと苦労だ」
それでも、と夜紅は顔をあげる。
「一度引き受けたんだ。見捨てるような真似はしない」
《…真っ直ぐだな》
「よく言われる。あと少しで烏合学園に帰れる予定だから、それまで穂乃を頼む」
《了解した》
夜紅でも疲弊するほどの相手が現れていることが不思議だ。
町の祓い人たちは何をしているのだろう。
…そうか、依頼がなければ逃げるのだった。
そちらが普通の反応なのかもしれない。
誰しも厄介事は避けたいはずだ。
「気をつけてね」
「うん。穂乃もな」
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《了解した》
寂しそうにする主にできることは少ないが、なんだか見ているだけというのももどかしい。
学園に足を踏み入れた瞬間空気が変わった。
「「おはよう穂乃ちゃん」」
「美和ちゃん、佐和ちゃん、おはよう」
友人と会話する主を見届け、気配の正体を探る。
《カア、アア……》
人間に噛みつこうとしていたそれはこちらを見た途端、不気味な笑みを浮かべる。
《※■〇〇※■■!》
何を話しているのか全く分からないが、襲いかかってくるのはたしかだ。
…理性がない相手なら刀を構えるまでもない。
《もう眠れ》
安らかに眠れるよう祈りつつ拳をたたきつける。
やっていることが矛盾しているような気もするが、これ以外に方法がない。
「あれ、白露…?」
《※■■○!》
死霊少年の頭を下げさせ、相手の愚痴と思われる場所を押さえる。
そのまま傀儡が消え去るのを待ち死霊少年を見ると、何故か苦しそうな表情をしていた。
《どうした》
「ごめん。全然気づかなくて、僕のせいで、」
《誰が悪いわけでもない。この程度なら気にしなくていい》
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